■ 信濃毎日新聞が毎年夏に連載する「山ろく清談」は軽井沢をはじめとする県内の避暑地で、各界で活躍する著名な人々に対して行うインタビュー記事。今年の連載は今朝(19日)の東京理科大学学長、藤嶋 昭氏の「身近な不思議 見つめて」で終わった。
先日読んだ『マンボウ思い出の昆虫記』に本の著者・北杜夫の「山ろく清談」の記事が1頁割いて紹介されている。1966年8月19日付だからちょうど47年前の今日の記事だ。インタビューはその年に手に入れたという北杜夫の軽井沢の別荘で行われている。
上掲書112頁に紹介された「山ろく清談」の記事
**ユーモアもふくんで、女っ気がなくても、絶対におもしろく読める山岳小説になると思いますよ。なにしろ、別荘買って無一文ですからね。ベストセラーにならないと飢えるんです。** 最後に北杜夫はこのように語っている。
北杜夫のファンなら、この山岳小説が『白きたおやかな峰』新潮社であることはすぐに分かるだろう。
**イロケのありすぎる小説はあふれているでしょう。ぼくはアマノジャクだからその逆をいくんです。**とも語っている。
この小説はカラコルムのディラン峰遠征に医師として参加した体験をベースに書かれているが、この時の隊長の小池隆一氏は旧制松本高校のOBで北杜夫の1期先輩。過日、あがたの森で行われた斎藤由香さん(北杜夫の長女)の講演会(←過去ログ)に、小池氏の奥さんと息子さんが来ておられた。
いかんなあ、話が例によってそれてきてしまった。「山ろく清談」のことを書いていたのに・・・。
今年最後の「山ろく清談」で藤嶋氏は**世の中は不思議なことばかりです。植物は成長し、花を咲かせ、種を作る。それを不思議だと思ったら、植物界はよくできていると気付くわけです。**と語り、続けて**自然に感動して欲しいのに、みんな当たり前だと思ってしまっている。**と指摘している。
なぜだろうという自然への問いかけが大切というわけだ。これが自然科学の出発点とも言える。
「山ろく清談」は確か60年くらい続いているのでは。休日に図書館に出かけて今年の記事をもう一度読みなおそうと思う。