透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

脳と脳の間で情報通信する技術の開発!

2015-08-04 | D 新聞を読んで

■ 信濃毎日新聞8月3日付朝刊の文化欄に「脳と脳 意思疎通できる?」という見出しの科学記事が掲載された。

「意思」や「知覚」を相手に伝えるには言葉や動作で表現する必要があるが、それを直接脳と脳との間で通信して伝えることができないか・・・。そんな可能性を探る実験的研究が始まっているという。

脳と脳との間で情報通信するのに必要な技術は以下のようなフェ―ズに分かれる。
①脳神経が活動する際に出る電気的な信号がどんな意思や知覚を表しているかを読み取る技術
②読み取った情報を送信する技術
③受信側の脳で意思や知覚の内容を生成する技術

こんなSFのようなことが可能になるのだとしたら・・・。



ここで思い出すのはスタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』というSF小説だ。惑星ソラリスを覆う海は「知的生命体」だ。ソラリスの海は人の脳の思考活動や記憶を読み解く能力があってそれを具現化してみせるのだ。

物語でこのソラリスの海はソラリスを探査する宇宙ステーションの主人公クリスの脳内情報を読み取って、彼の前に10年前に死亡した恋人ハリーを出現させる・・・。

新聞記事にはサルの脳どうしをつなぐ(①と③がサルの脳)というイメージのイラストが載っているが、③の受信側を自分の脳とすることはイメージしにくい。自分の脳内に直接相手の意思が生成されるとはどういうことなのか・・・。③をスマホのような携帯端末だとして、それに相手の「意思」や「知覚」を表示することができるとしたら・・・。

相手が何を考えているのか言葉を交わさなくても分かってしまう。嘘をついても分かってしまう。そんなSF的世界の到来は人間社会を成り立たなくしてしまうのではないだろうか・・・。

いやコミュニケーションの形式はもしかしたら未来にはこんなことになるのかもしれない。直接会話からメールでの間接的な会話へ、そして脳と脳との直接的な情報交換へ。それは冷たくて、不気味な世界のような気がする・・・。