透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「住み継ぐ家の物語 Ⅱ」

2016-12-23 | A 読書日記



 かわかみ建築設計室(*1)の川上恵一さんがこのたび『住み継ぐ家の物語 Ⅱ』/オフィスエム を上梓され、私にも送ってくださった。感謝。

2008年に上梓された『住み継ぐ家の物語 』の続編だ。本書には40年にも及ぶ設計活動の中から生まれたいくつかの作品が美しい写真と文章で紹介されている。

**家とともに家族の歴史が積み重なってゆく豊かさ 建築には時間という価値もある 記憶をつなぐ家づくり**
**建築は風土である 家は土に建ち、新しい風にふれて生きてゆく**

歴史と風土、よく取り上げられるこのふたつの言葉。川上さんは時間・歴史と風景・風土を常に意識して建築の設計に取り組んでおられることが本書に示されたキーワードから分かる。タイトルは「時」を意識したものになっているし、カバーの写真からも「時」を感じる(写真)。

時間がぎっしり詰まった民家の再生、風景の一部のような建築、本書に掲載された作品からも前述したことがよく分かる。

川上さんは本書の中で**建築は3次元の立体空間を設計するものだと思われるが、そこに歴史という時間軸が加わった4次元をデザインする行為である。**(68頁)と、はっきり書いている。




安曇野市三郷(旧三郷村)にあったこの繭蔵は神奈川県相模原市に移築され、デイサービスセンターとして使われている。この仕事のことも本書に紹介されている。移築のことは聞いていた。どんな姿になるのか、知りたかったから、掲載されている写真を興味深く見た。


*1 かわかみ建築設計室 松本市大手5-1-3(旧松岡医院)

電車で松本を訪れる観光客の多くは松本駅から徒歩で松本城に向かうだろう。途中、女鳥羽川に架かる千歳橋を渡ることになるが、その橋の袂から川に沿って縄手通りが四柱神社の鳥居の先まで続いている。休日にはこの通りは多くの観光客で賑わう。この商店街は川上さんの設計、2001年に国土交通省手づくり郷土賞を受賞。



 


「サンマの丸かじり」

2016-12-23 | A 読書日記



■ 久しぶりの朝カフェ読書。昨日(21日)、出勤前に松本市内のスタバで『サンマの丸かじり』東海林さだお/文春文庫を読む。

「チクワの穴をよく見れば」、「コンニャクと日本人」、「許されざる太巻き」、「卵かけご飯の次は醤油かけご飯だッ」等々ユニークなタイトルのエッセイが収録されている。一般人が気にもしない些細なことが東海林さんは気になるらしい。

「なぜだろう」。東海林さんは食べ物に関する素朴な疑問を取り上げて、考察する。その考察ぶりがおもしろい。微妙なニュアンスを実にうまくというか、的確に表現する。表現力がすばらしい。で、私は「なるほど!」と納得する。各エッセイの長さは6ページ、隙間時間読書に最適だ。