岡田美術館・特別展のリーフレット(一部)
■ 今年の春、東京都美術館で開催された「若冲展」は会期1ヶ月間の入館者が44万人を超えたそうだ。私もこの展覧会が観たくて上京したが、3時間待ちと分かり、あきらめた(過去ログ)。そのために若冲のどのような作品が展示されたのか知らないが、岡田美術館のリーフレットに載っているこの「孔雀鳳凰図」が話題の作品だったようだ。
この作品は岡田美術館(2013年10月に箱根・小涌谷に開館した美術館)のコレクションで、同館の特別展「若冲と蕪村」で観ることができることを知り、出かけた。
今年は若冲と蕪村の生誕300年に当たる年(ふたりは共に1716年生まれ)ということで企画された特別展で、会期は12月18日(日)まで。となると、平日に出かけるしかない。それで13日に上京し、14日に朝から出かけた次第。
美術館は全5階からなる展示室で構成されている。まず1階の展示室で目に入ったのが、子どもの身長くらいある埴輪。埴輪や銅鐸は日本史の教科書などで馴染み。埴輪は卓上の飾りくらいの大きさだと思っていたから、その大きさにびっくり。展示品には修復の痕も見当たらない。
そうか、こんな完全品が世の中にあるんだ! この美術館のコレクションはすごい。
3階の絵画の展示室には、狩野探幽・俵屋宗達・尾形光琳・喜多川歌麿・葛飾北斎・横山大観・菱田春草・・・、私でも名前を知っている作家の作品が並ぶ。
4階が企画展の会場。伊藤若冲の「孔雀鳳凰図」絹本著色の存在感が際立っている。作品の前に立ち、じっくり鑑賞する。東京都美術館の「若冲展」では人垣の後方から観る、という状況だったのではないか。
豊かな色彩、精緻な表現。とにかく美しい。この2福は1933年(昭和8年)に行方が分からなくなり、2015年(平成27年)に83年ぶりに発見されたという。
「笠に鶏図」、「月に叭々鳥(ははちょう)図」墨画は奔放にも見える表現が魅力。絹本著色と墨画の関係は純文学とエッセイの関係に喩えればよいか。若冲は自在に筆を使い、自在に造形し、自在に彩色していて、両方の表現に極めて長けていたことが分かる。
美術館を訪ねた12月14日に偶々館長のギャラリートークがあり、若冲と蕪村の作品解説を聴くことができた。
贅沢な時間を過ごすことができた。