透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

建てぐるみ

2021-05-08 | A あれこれ

 諏訪地方には「建てぐるみ」と呼ばれる民家の形式がある。蔵を住宅でくるんでいるから建てぐるみなのだと私は思う。蔵は火災に強く、大切なものを保管する役目を持っている。だから金庫が建築化されたもの、と言えなくもない。蔵を完全にくるんでしまわないで見えるようにしているのは、ドーダ(過去ログ)の表現なのかも。







② 破風を交叉させてすずめ踊りと呼ばれる形にしてあり、妻だれと呼ばれる雨除けを付けてある。




 


1271 諏訪市湖南の火の見櫓

2021-05-08 | A 火の見櫓っておもしろい


1271 諏訪市湖南 4無44型 撮影日2021.05.08

 前稿の火の見櫓(1269)は屋根が小さかったが、この火の見櫓は屋根がやけに大きい。頭でっかちな火の見櫓。櫓は太目、太っちょ櫓。





注目はこの最下部。脚が無いのは別に珍しくもないが、ブレースのリングから下を埋めてあるのはそれ程多くはない。なぜこんなことにしたのか、分からない・・・。

この櫓は昭和34年11月3日竣工(銘板による)。


 


1270 諏訪市湖南の火の見櫓

2021-05-08 | A 火の見櫓っておもしろい


1270 諏訪市湖南 4脚44(隅切り)型 撮影日2021.05.08

 湖南という地名が示す通り、諏訪湖の南側にある地区に立つ背の高い火の見櫓。踊り場が2カ所あり、上の踊り場には消火ホースを掛けるためのフックが設置されている。このフックの高さは地上11メートルくらいだろうから、屋根のてっぺんまで15、6メートルくらいありそうだ。このような俯瞰的なアングルの写真が撮れる場所があるとうれしい。



見張り台との大きさのバランスを見ると屋根が小さい。この大きさだと半鐘を叩く消防団員は雨が降っていれば濡れてしまうだろう。もっとも梯子を登ってくる間に濡れてしまうだろうが。



下の踊り場にも半鐘が吊り下げられている。見張り台まで登るのは怖いくて大変だから、という理由が直ちに浮かぶ。この櫓は4つのパーツからなり、3カ所の接合部があるが、その内の2カ所が上の写真に写っている。4本の柱材の等辺山形鋼を上下重ね、それぞれ10本のリベットで接合していることが分かる。



背の高い火の見櫓を脚。このくらいガッチリできていると見た目にも安心感があって好ましい。 設置されている銘板に建設年月日が昭和36年8月10日と記されている。昭和30年代に建設された火の見櫓が多い。


 


抽象か具象か

2021-05-08 | A あれこれ

 

 建築設計という行為は極めて曖昧で抽象的なイメージを次第に具体的な物へと落とし込んでいく一連の作業、ということができるだろう。どこまで具体的な物に落とし込むか、ということに関しては設計者によって随分異なる。

左は金沢21世紀美術館。SANNA(妹島和世さんと西沢立衛さん)設計。この美術館はサイズの異なる白い箱(ホワイトキューブと表現したりもするが)をいくつも並べ、それらをガラスの円柱で束ねるという構成が抽象的な外観を創っていて、それが特徴になっている。

白い箱が展示空間になっているが、そのうちのひとつは写真のように屋根というか天井が正方形に切り取られた静かな冥想空間。見学した時は真っ青な空をジェット機が通過していった。まるで映像アートを観るようだった。

この白くペンキされた部分の材料がなんであるのかは分からない。この美術館は形といい材料といい抽象的で、具象化へのプロセスのかなり手前で止められている。

それに対して内藤廣さん設計の安曇野ちひろ美術館に使われている形や材料は具体的だ。右の写真を見れば材料が木であることは容易に分かるし、木肌によって具体的にはカラマツであることも分かるだろう。外観だって倉庫のようで具体的だ。

抽象から具象へのプロセスのどこで建築化するか・・・。この頃の建築はますます両極化する傾向にあるように思う。

具象がいいな、とずっと思っていたが知的な抽象も悪くないな、と「金沢」を見学したときは思った。


初稿 2009.04.23  加筆再掲