■ 信濃毎日新聞の文化欄に「音の河へ 武満 徹 信州で紡いだ調べ」という記事が連載されている。11月30日付の同記事に火の見櫓の写真が載っていた。武満 徹の曲と火の見櫓? え、どういうこと・・・?
「池の水輪 こだまする放送」
ニューヨーク・フィルから創立125周年を記念する作品を委嘱された武満 徹は1967年、御代田町(軽井沢町の隣の町)の普賢山落の山荘で構想を練った。この曲は初演が11月であることから「ノヴェンバー・ステップス」と名付けられたと記事にある。傑作と評されるこの曲と火の見櫓が関係ある?
武満は1987年放送のNHKの番組「旅・そして樹との対話」で意外なものにインスピレーションを受けたと明かしたという。**「(御代田にある)農家の有線放送というのが山にこだまするわけ。『〇〇さん電話が入っているよ!』と。僕はオーケストラを、ああいうふうに使おうと思ってね。西洋の楽器をまるで農家の有線放送みたいに扱って、田んぼの中を風が渡るように書いた」**
記事には続けて**作曲当時、普賢山落から1キロメートルほど南西の同町塩野区には、住民共用の電話があり、着信があると火の見やぐらに取り付けたスピーカーで放送していた。** とある。
なるほど。記事を読んで「ノヴェンバー・ステップス」と火の見櫓と関係があることが分かった。見出しの「こだまする放送」とは火の見櫓に設置されたスピーカーから地域に流れるお知らせだったのだ。
ちなみに「池の水輪」については**「信州に小さな山小屋をもっていますが、真楽寺というお寺があって、池があるんですけれど、時々石を投げたりして、水輪が拡がるのを見ていると、実にきれいだと。そういうものを自分の音楽の中に入れたいと思って」**と大岡昇平との対談で語っているそうだ。
「ノヴェンバー・ステップス」 オーケストラによって尺八と琵琶を際立たせる構成、すばらしいのひと言。
※ 拙ブログでは引用箇所を**で示しています。本稿の大半は信濃毎日新聞11月30日朝刊15面の文化欄から引用させていただきました。