■ 20代の女性、Kさんとの会話
「Kさん、一寸法師の身長ってどのくらいか知ってる?」
「1寸は・・・、知らないです」
「1寸は約3cmだよ」
「え、そんなにちっちゃいんですか? 小さいからだに大きな望み お椀の舟に箸のかい 京へはるばるのぼりゆく」
「Kちゃん、よく覚えているね、お椀の舟に箸のかいの前後の歌詞は、忘れていたよ」
「私 一寸法師の歌、おばあちゃんから教わって、知ってます」
「すばらしい!」
「え、でもお椀って深さが5cmくらいありません? 身長が3cmだったら、顔がお椀から上に出なくないですか?」
「そうだよね」
「それに、箸をかい、かいって舟をこぐ、え~と、棒ですよね、身長3cmの子には長すぎません?」
「・・・、確かに」
ここで、Kさんがスマホで一寸法師を検索して、画像を僕に見せてくれた。いくつかあるが、一寸法師の身長はどれも10cm以上ありそうな感じでお椀や箸との大きさのバランスに違和感はない。
「U1さん、一寸法師って、ただ、小さい子どもって意味で、身長が3cmということじゃないのかも」
「なるほどね」
「でも・・・、U1さん思い出しました? 歌詞は ♪指にたりない一寸法師、って始まるんですよね」
手を見ながら「そうだよね、思い出したよ。指って10cmなんてないなぁ」
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このような昔話に数理的な厳密性を当てはめようとすることは無理。対象によって相応しいアプローチ、理解の仕方が違うということだろう。