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■ 前稿に書いたように火の見櫓の脚の型(タイプ)の分布状況が地域によって違う、ということに以前から気がついていた。単なる印象に留めるのではなく、実際に調べてみようと思い立ち、どんな観点から脚を分類すればよいのか数日前からあれこれ考えていた。昨日(23日)は朝カフェで読書しないで、いつもカバンに入れて持ち歩いている雑記帳にメモしながら考えた(※閲覧されている方へ メモの文字は読めないと思います。左端のスケッチ図をご覧願います)。脚の型の分類には火の見柱(1本柱)、火の見梯子(2本柱)を含めない。まとめることができた。以下はその報告。
火の見櫓の脚部は構造上重要な部位で、大概柱材を二次部材(補強部材)によって補強している(ごく少数だが、補強せず柱材だけの場合もある)。従って、脚の型はどのような二次部材によって、どのように補強しているのか、「使用部材」と「補強方法」に注目して分類するのが妥当だろう。
柱材を補強する二次部材は直線状のものと曲線状のものの2種類。補強材として脚部に用いる曲線状の部材はアーチ状のものにほぼ限定されるだろうから(なんでも例外はあるもの)、それぞれ「直線材」と「アーチ材」と呼ぶことにする。
補強方法、即ち補強材の使い方はいろいろある。どのように分類すればよいだろう・・・。脚部の柱上端(付け根)から下端(柱脚)まで全体的に補強材を設置しているのか、部分的に設置しているのか、ということに注目する。更に柱材と補強部材をつないで構造的に一体化するために設置されている短材も考慮する。このように考えて、下表のようにまとめた。
①補強無し
②片掛ブレースと③交叉ブレース:脚の補強ではなく、櫓一般部と同様に脚と横架材から成る垂直構面の補強。②③の型を脚無し、と扱ってきている。この2つの型の場合、櫓内に出入りすることが困難であることから、外付け梯子を設置して対応している。
④直線材中留め:直線材を柱の中間で留めている。
⑤直線材下留め:直線材を柱の下端で留めている。基礎コンクリートから立ち上げた柱脚固定のための部材(束?)に接合してある場合には判断に注意を要す。
⑥アーチ材中留め:アーチ材を柱の中間で留めている。
⑦アーチ材柱材たばね:アーチ材を柱の中間から下は柱に沿わせて柱下端まで一緒に伸ばしている、そうアーチ材と柱を束ねるように。⑥との違いに注意を要す。
⑧アーチ材下留め:アーチ材を柱下端で留めている。⑨との違いは脚部にトラスを組んでいるかどうか。短材2本以下か3本以上かを目安に判断する。短材が2本であっても、脚の大きさや、短材の設置され方などを勘案してトラスと判断することもある。
⑨トラス:柱材と補強部材を短材で繋ぎ、一体化している。短材を3本以上使っている場合はトラス(三角形)を構成していなくても、「トラスもどき」として同型として扱う。
⑩複合型:①から⑨までの複合型 櫓の正面だけ出入り可能な補強方法(②③以外)を採用し、他の面は③としているもの(③以外の場合もあり得る)。
⑪その他:①から⑩に分類できない稀な事例。
このような型によって長野県内4地域(北信、東信、中信、南信)の火の見櫓の脚を分類してみたところ、地域により分布状況に顕著な違いが見られた。次稿で結果報告をしたい。