透明タペストリー

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「堤未果のショック・ドクトリン」

2023-07-16 | A 読書日記

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『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』堤 未果(幻冬舎新書2023年)

 今最も読まれている新書(7月3日~9日 福岡・丸善博多店でランキング1位)。この本がしばらく前から気になっていて、『言語の本質』(過去ログ)を読み終える前に買い求めていた。

書名になっているショックド・クトリンという言葉について、カバーの裏面に次のように説明されている。**テロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に、為政者や巨大資本がどさくさに紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法**

本書は次のような章立てになっている。第1章 マイナンバーという国民監視テク、第2章 命につけられる値札――コロナショック・ドクトリン、第3章 脱炭素ユートピアの先にあるディストピア。

マイナンバー、コロナ、脱炭素。この中で特に気になるのはやはりマイナンバーだ。著者の堤さんが信濃毎日新聞に寄稿した記事を読んだ(2023.06.09)。堤さんは「運用トラブル続出のマイナカード 立ち止まってシステム改善を」と題した記事に**ここで一度立ち止まり、他国の失敗と成功を吟味しつつ、丁寧にシステムをつくり直すことだ。便利なだけでなく、誰もが安心できる制度設計への誠意ある尽力は、幸せなデジタル大国を目指す国への信頼を高めるだろう。**と書いている。

国は「あれば便利マイナンバーカード」を「無いと生活できないマイナンバーカード」に変えようとしている。ここで注意しなくてはならないのば、このカードは国にとっては便利だけれど、国民にとって特に便利なことはない、ということ。紙の保険証のどこが不便だろう。今の運転免許証に何か不便なことでも? 

本書に情報システム学会の八木晃二常務理事の言葉が紹介されている。**「銀行通帳、銀行印、運転免許証、保険証が入った手提げ金庫の外側には、氏名、誕生日、マイナンバーが貼ってある。金庫は4桁数字のみで開錠可能、つまりこれを常に持ち歩く発想に近いのがなんとも・・・」**(100頁) 高齢者は4桁数字が無くてもOK、などと言い出した国。国民の情報を集めるだけ集めて、その漏洩に関しては、そんなの関係ねぇという姿勢。

アメリカにも社会保障番号という一生変わらない個人番号があるそうだが、本に掲載されているそのカードにはDO NOT CARRY IT WITH YOU.と表記されている(82頁)。そう、持ち歩いちゃいけないという注意喚起。それをこの国は国民が常に持ち歩くようにしようとしている。

もちろん紛失や盗難によるトラブルの責任は国民にあるとしているし、情報漏洩があったとしても国は責任を取らないだろう。本書には「日本のマイナンバー情報は何回も漏れてます」という見出しの節がある(101頁~)。既に某国に漏洩していると指摘され、国会でも取り上げられているし、週刊誌にもこのことに関する記事が載った。

セキュリティの脆弱性と必要性のなさが指摘されるマイナンバーカードを全国民に作らせる本当の理由、堤さんの説明(114頁)はここには載せない。

国は今後更にこのカードへの紐づけ情報も、その情報の利用範囲(もちろん国の)も広げるかもしれない・・・。


 


清澄な朝

2023-07-16 | E 朝焼けの詩


朝焼けの詩 2023.07.16 05:03AM

毎朝未明から聞いているNHKの「ラジオ深夜便」、夜11時5分から翌朝5時まで放送の番組。昨夜からの担当は後藤繁栄(しげよし)アンカーだった。後藤さんは番組の最後に毎回「今日一日何か楽しいことがあるといいですね」と言う。自分の気持ちというか、願いと合っていて、「そうだな」といつも思う。

番組終了と同時に起きてリビングの窓から東の空を見るのが日課だ。梅雨明けまぢかの清澄な空、今日は何か楽しいことがあるだろう。