透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

火の見櫓のある風景を描く

2023-07-02 | A 火の見櫓のある風景を描く


長野県朝日村 2023.07.02

 この風景の魅力は奥行き方向に重なる「層」にあることに気が付いた。なだらかな斜面の畑の土手の重なり、中景に住宅と片流れ屋根の消防団詰所と火の見櫓、そして遠景の山並み。層構成による遠近感の表現。

線描に要した時間はおよそ20分、着色に40分。着色にも時間をかけないように・・・。

「火の見櫓のある風景」と「風景の中の火の見櫓」とではスケッチの表現が違う。これは前者、「火の見櫓のある風景」。


 


ブックレビュー 2023.06

2023-07-02 | A ブックレビュー

480

 早くも7月。6月に読んだ本は6冊で、単行本が1冊で残りの5冊は新書だった。

『優しいコミュニケーション ――「思いやり」の言語学』村田和代(岩波新書2023年)
コミュニケーションは社会生活の基本のき。社会言語学者がコミュニケーションにおける優しさとは何か、いくつのも事例を挙げて解き明かす。

『カラー版 名画を見る眼Ⅰ』高階秀爾(岩波新書1969年第1刷、2023年カラー版第1刷)
名著。第Ⅰ巻はルネッサンスから十九世紀までの15作品を取り上げている。作品の読み解き、時代背景の説明。今読んでいる第Ⅱ巻は印象派から抽象絵画までの14作品を取り上げる。代表的な作品によって西洋絵画の流れを概観する。

『マイ遍路 札所住職が歩いた四国八十八ヶ所』白川密成(新潮新書2023年)
四国遍路の記録。札所(第57番札所・栄福寺)住職自ら著した本。

『ミライの源氏物語』山崎ナオコーラ(淡交社2023年)
源氏物語を現代の社会規範に照らし合わせて読むと・・・。読みながらあれこれ考えて、作品に参加する。それが『源氏物語』を未来へつなぐことになる。

『絵の教室』安野光雅(中公新書2005年初版、2021年15版)
絵の教科書。安野さんが描いた風景画が何点か掲載されている。遠景の山並み、中景の畑や木々の緑、スケッチをする上で大いに参考になった。

『名著の予知能力』秋満吉彦(幻冬舎新書2023年)
「100分de名著」のプロデューサーが番組制作の裏側を明かす。作品を取り上げることになった経緯、解説者による作品の読み解き。名著は読者に解釈を委ね、いろんな解釈を認める。

『ソラリスの陽いのもとに』スタニスワフ・レム、『金閣寺』三島由紀夫、『砂の女』安部公房、『人生論ノート』三木 清、『春琴抄』谷崎潤一郎、『ペスト』カミュ、『華氏451度』レイ・ブラッドベリ。取り上げられている30近くの作品の中で読んだことがあるのは以上の7作品。

『戦争は女の顔をしていない』アレクシエーヴィチ、『全体主義の起源』ハンナ・アーレント、『力なき者たちの力』ヴァ―ツラフ・ハヴェル、『大衆の反逆』オルテガ・・・。書名も作者の名前も知らない・・・。

最近出版された平野啓一郎の『三島由紀夫論』新潮社が話題になっている。**透徹した分析 質量とも空前**という見出しで昨日(07.01)の信濃毎日新聞の書評面で紹介されていた。この作家論でも三島由紀夫の代表作『金閣寺』が論じられているとのこと。この大著を読むのはしんどいだろう。7月は『名著の予知能力』で取り上げられた『金閣寺』を読もう。