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『暗夜行路』志賀直哉(新潮文庫1990年3月15日発行、1994年9月5日12刷)
■ 本に黄色のテープが貼ってあるが、これは40代に読んだ本の印。ちなみに20代に読んだ本には水色、30代に読んだ本には緑色のテープが貼ってある。50代になっても続けたかったが、松本でこのテープ(レトラライン)が入手できなくなり、止めてしまった。仮に70代まで続けたとすれば、6色のテープの本が書棚に並んだはず。並ぶ背表紙を見るだけでいつ頃読んだ本か分かる、という目論見だったが・・・。
原田マハの『風神雷神』、朝井まかての『白光』。このところ長編小説を読んでいるので、長編小説を読むモードになっている。ならばと書棚から『暗夜行路』を取り出して読み始めた。およそ30年ぶりの再読。何回も書くが名作は再読、再々読に耐える。『暗夜行路』というタイトルからして暗いが、内容も暗い。「暗さ」は近代日本文学の特徴ではないか。私はこの暗さに惹かれる。
仮にこの先10年で読みたい本を500冊挙げるとすれば、この長編小説は間違いなくその中に入るだろう。