旧山辺学校 撮影120311
■ 大工棟梁が見よう見まねで洋風に造った松本の学校。「和」の職人のデザインだから、完全に「洋」にはならず、「和洋折衷」となる。擬洋風建築として有名なのは旧開智学校だが、この旧山辺学校の落ち着いた佇まいもなかなかいい。渋好みだ。
旧開智学校の塔と比較すると、この塔の特徴がはっきりする。この塔は「和」を強く感じる、というか「和」そのものだ。上の写真では判然としないが(塔の軒下の垂木が写っていない。この時は何を写したいのか考えていなかった。やはり漫然と写真を撮っていてはダメだ。もっとも、晴れた日に軒下をはっきり写すためには露出を調整する必要があるが。屋根の雪もレフ板の役目をしてくれてはいない・・・・。)、軒天井を張らずに下り棟や垂木を見せている。漆喰の壁と黒ずんだ柱は古い寺院を思わせる。となると窓は火灯窓に見え、手すりの親柱のてっぺんは擬宝珠に見える。いや擬宝珠そのものだ。この塔の印象を数値化すると洋1:和9くらいの比率か、いや和がもっと多いかな。塔の・・・、名称が分からないので基部としておくが、塔の基部が下見板張りにでもなっていたら洋0:和10としただろう・・・。
旧開智学校
旧開智学校の塔の基本的な構成は旧山辺学校の塔と変わらないのに、塔の軒下に天井を張り、柱を塗装し、手すりのデザインに曲線をとりこんだりすると、あら不思議、全く違った雰囲気に。窓はどう見ても火灯窓には見えない。この塔は洋8:和2くらいかな。
デザインっておもしろい。
追記 旧山辺学校の大工棟梁は地元出身の佐々木喜重という人で、旧開智学校の建設にも携わったという。塔の基本的な形がよく似ているのも当然か。