透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

本と建築

2006-06-22 | A 読書日記
○最近の本 最初の本(060622)

本格建築家で、本書く建築家の代表の二人、黒川紀章と宮脇檀。

『情報列島日本の将来』第三文明社は1972年の発行、この年黒川さんは38歳。たぶんこれは私が一番最初に読んだ建築家の著した本だ。

カバーの折り返しにはこうある。**人間環境の将来は、ハードな部分を占める個々の建築物よりも、それらをつなぐコミュニケーション、交通、エネルギーといったソフトな情報的部分が、より重要になると予想する(中略)ユニークな情報空間論。**

今から34年前黒川さんはこう予想していた。さすがと言うほか無い。パラパラとページを繰ってみると、文章のあちこちにサイドラインが引いてある。懐かしい本。

『最後の昼餐』新潮社 友人に教えてもらって、書店に注文した本。伝票の書名欄には「最後の晩餐」と書いてあった。美大卒の根津りえさんのカラーのイラストがなかなかいい。私が最近読んだ、建築家の書いた本。

黒川さんは既に100冊以上の著書があるらしい。宮脇さんが何冊くらい本を出したかは分からないが、文章のうまい方だった。何冊か文庫になっている。

二人とも優れた建築作品を設計したけれど、初期の作品の中には既に解体されてしまったものもある。黒川さんの先の本はもうとっくに絶版になってしまっただろう。

この国では、優れた建築や本でも寿命が短い。建築や本の寿命の長短は、国の文化度をはかるものさしとして有効かも知れない・・・。