透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

民家 昔の記録

2006-06-04 | A あれこれ


高知県梼原町の民家(8003)  

■『日本の民家』山と渓谷社(8002購入)に載っていた写真をみて、実際に見てみたい、と高知県の四万十川上流の鄙びた里に出かけた。今から26年も前のことだ。

入母屋造りの屋根の棟飾りに感動して望遠レンズを使って撮った写真。

当時の記録を再掲しておく。

**緩やかな山の斜面に建つ草葺屋根の民家。畑道を上っていくと、日当たりの良い庭先に洗濯物が干してあり、草花が咲いているのに気がつく。僕はそこに素朴な生活を見て、感動してしまう。 民家を観察すると、それが自然環境、社会環境という外的条件と、寝食、作業という内的条件の両者に実にうまく対応した合理的な姿であることが解ってくる。 先人の創意工夫、優れた造型感覚の結実した民家から学ぶことは尽きないのではないか、と僕は思う。**

『魔女の1ダース』

2006-06-04 | A 読書日記
**日本において、男が女にモテるには、「三高」、要するに収入と学歴と身長が高いことが条件らしいが、ロシアにおける必須三条件は、次の通り。

頭に銀(ロマンス・グレー、要するに、禿げないということ)。
・ポケットに金(やはりお金持ちがよろしい)。
・股ぐらに鋼鉄・・・・・・

ここまで書いたところで、出版社からクレームがついた。**

『ガセネッタ○シモネッタ』文春文庫

先日亡くなった米原万里さんは機知に富んだエッセイを書く方だったが、シモネッタもときには書いておられる。 この文庫に収録されている「省略語」という一文では、母親の介護のために高価な手すりつきの付きのベッドを買えと勧められた際に、今のベッドで十分です。手すりだけ付けたいんです。といったところたちまち相手が無愛想になって、勝手におやりなさい、補助金は出ませんよ、といわれたという経験から、高齢者福祉行政を皮肉って**ああ、私としたことが、重大な省略を見過ごしていたのだ。「高齢者支援センター」とは、「高齢者(を対象に事業展開する企業を)支援するセンター」のことだったのだ。**と書いている。

このように米原さんは、ときには辛口の批評家でもあった。 『真夜中の太陽』中公文庫の解説で、あの佐高信さんは、**まちがって私につけられている 辛口批評家 という呼称は、米原さんにこそふさわしいのである。** と書いている。

『旅行者の朝食』文春文庫に収録されている「桃太郎の黍(きび)団子」。犬や猿や雉に黍団子をやるとみな桃太郎の家来になって、危険を冒してまで鬼退治について行こうという気になるんだからよっぽど美味しいに違いない。一度でいいから食べてみたい!米原さんはそう思っていたそうだが、後年実際に食べてみて思いっきり落胆したと書いている。

それから二十年後にアメリカの養豚場で豚どもがものすごいスピードで餌を平らげていくのをみて、餌は何かと米原さんが訊ねると、**答えはhog millet、つまり黍だった。猿や犬や雉にとっては、黍団子がとても魅力的だったのかもしれない、とのとき思った。**とこのエッセイを結んでいる。 

私は彼女のこういうエッセイが好きだ。 **猫のいない人生なんて、人生じゃないわよ** 昨日の新聞に寄せた追悼文で作家の吉岡忍さんは、猫好きだった米原さんのエピソードを紹介していた。 米原さんは1950年生まれ、まだ若かった、残念だ。 

彼女が遺した作品をじっくり読もう。