透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

匠の技と美の結晶

2006-06-10 | A あれこれ
○「涙が出るほど美しい」  こういう空間のことですよね、タウトさん

○束柱と小梁の構成美 

吉島家住宅を観に高山まで出かけて来た。友人のブログに触発されて。

この吹き抜けの空間! 土間と畳敷きの部分とが吹き抜けの一体の空間として開放的に構成されている。大黒柱に架けられた二本の梁。その上に、梁間方向に架けられた太い一本の赤松の梁。

弓張提灯を納めてある紅殻色の箱が空間のアクセントとして効いている。 太い梁から吊られた束と極薄い見付けの鴨居、そこに閉てられた衝立のような二本の障子。この構成は白眉だと思う。

空間を「おうえ」と「なかおうえ」とに軽く仕切る腰高障子、仕切り方が絶妙。 高窓から差し込む光が、時の経過とともに空間に変化を与えるということは経験的に容易に想像できる。

光による吹き抜け空間の演出。 長い年月をかけて飛騨の匠達によって培われてきた技と美、その見事な結実。

繰り返しの美学、再び

2006-06-10 | B 繰り返しの美学


繰り返しの美学 小谷小学校体育館 060609  

 建築の構成要素をきちんと秩序づけて繰り返し用いることは知的な、換言すれば数学的な操作だと思う。それ故「繰り返しによって生ずる美」は建築の受容者の感性ではなく知性に訴えかけてくる「美」だと理解できよう。この小学校では白くペイントされた鋼管の方杖が多用されているが、体育館での「繰り返し」が特に美しい、と思う。


 


新しい小学校

2006-06-10 | A あれこれ

○小谷小学校(060609) 

小谷村立小谷小学校。「こたに」ではなくて「おたり」と読みます。この4月に新しい小学校が完成しました。村内の3校を統合して出来た小学校です。

昨日、見学会がありました。 全国の大半の小中学校は明治以来ずっと変わらない平面計画が採られてきています。即ち一列に並んだ教室と、それらを繋ぐ単調な廊下、いわゆる「片廊下型」です。それに対して、この小学校はいわゆるオープン型。多様な学習プログラムに対応できるように自由度の高い空間が創出されています。設計は湯澤正信さん。 数年前から村では新しい小学校についていろいろな観点から検討してきたようです。ワークショップが何回も開催されています。

この自由度の高いオープンな施設をフルに活用して十分な「教育効果」が得られるよう・・・、おっとこれは従来の「教える側からの視点」でした。この小学校は「子供達からの視点」で捉えて計画されています。ですから、ちょっと理屈っぽいですが「教育効果」ではなく「学習効果」ですね。十分な「学習効果」が得られるように願っています。 小谷村の英断に拍手です。