透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「沿線風景」原 武史

2023-04-22 | A 読書日記

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『沿線風景』原 武史(講談社文庫2013年)を読み終えた。この文庫本は今月(4月)15日に松本市島立の亀田屋酒造店で開催された「本の蔵1885 お座敷一箱古本市」で買い求めた。

まえがきによると、この本に収録されているエッセイは「週刊現代」の『リレー読書日記』に連載されたものがもとになっているとのこと。**純然たる書評からは大きくかけ離れたものになってしまった。**(8頁)と著者の原さんも認めている通り、書評エッセイというより、日帰り鉄旅エッセイとでもした方が内容を的確に表現している。原さんは日本近代思想史の研究者にして鉄道大好きな方。

同行の編集者らと昭和の雰囲気が残る土地や天皇に因んだ場所などを訪ねてあれこれ語り、その土地の食堂で昼食をとる。肝心の本は数冊、むりやり差し込んだという印象。そば・うどんはどこも美味かったようだが、エッセイの中の書評は薄味。旅行日の記載が欲しかった。

書評で取り上げた本に関係のある土地を旅するということに徹していれば、もっと興味深く読めたかも。


 


「マニア流! まちを楽しむ「別視点」入門」

2023-04-21 | A 読書日記


 「目の付けどころが、シャープでしょ。」1990年から始まったシャープのコピー。これに倣えば「目の付けどころが、ユニークでしょ。」となるだろうか。『マニア流! まちを楽しむ「別視点」入門』合同会社別視点編(学芸出版社2023年)にはユニークな視点でものを観察して人が気づいていなかった魅力を見出し、発信する方法が解説されている。実際にこのことを実践して楽しんでいる人たち36人が紹介されているが、それぞれ実にユニークだ。

・片手袋マニア 街なかに落ちている片手袋に注目、**背後に、片手袋が発生するに至った人間の行動や生活、それに影響を与える都市の構造や変化が透けて見える点。(後略)**(123頁)
・電線マニア **寡黙で働き者の博愛主義者。インフラなのに個性があって表情豊かで、全国どこでも楽しめる。(後略)**(124頁)
・ゴムホースマニア **芝生やコンクリートに広がる蛍光色が、ドローイングの線のようでかっこいいと思います。(後略)**(145頁)
・野良イスマニア **屋内用に作られたにも関わらず、雨風に打たれながらもそこにある姿。往時は会社でバリバリ働いていた男性が、定年後に不慣れなアルバイトを健気に頑張っている様子に見え、哀愁たっぷりの魅力を感じます。**(151頁)

僕がこの本を読むきっかけになったのは顔ハメ看板に自分がハマって写真を撮るマニア・塩谷朋之さんのトークをNHKラジオの番組で聞いたことだった。今は塩谷さんがSNSで公開している写真を見て、楽しんでいる。で、ある時この本が紹介されていた。

特にユニークな視点を持ち得たわけではないが、ぼくも火の見櫓に魅せられてこの本に紹介されている人たちと同様に機会ある度に観察してSNSで紹介している。本に取り上げられているアウトプットの方法、書籍化・雑誌への投稿・メディア(新聞、ラジオ、テレビ)での紹介・講演を行ってきた。写真展も地元の美術館で開催していただいた。

最近サボっているけれど、「繰り返しの美学」もユニークな視点でのもの(特に建築)の観察だと思っている。











ものとものが第三のものを介して繋がっている。旅客機がホースを介して給油車両と、ボーディング・ブリッジを介してターミナルと繋がっている。ホースを燃料が流れ、ボーディング・ブリッジを人が移動している。昨日(20日)信州スカイパークでウォーキングしていて思った、まちなかの「繋がる」を見るのもおもしろいだろうな、と。


この本には別視点を見つける方法が3つ紹介されているが、自分で見つけるしかないだろうな、とぼくは思う。まちなかの「繋がる」はその一例。


火の見櫓のある風景

2023-04-20 | A 火の見櫓のある風景を描く

辰野町横川にて 2023.04.09

 課題の多いスケッチですが、せっかく描いたので載せます。線描に頼りすぎるのはどうもダメです。特に遠景の山は。単調な彩色に工夫が必要です。とは言うものの気に入っています。

このスケッチのような道路の遠近感に頼る道路山水的な構図だけでなく、いくつものレイヤーから成る構図で火の見櫓のある風景を描いてみようと思います。

先は長い・・・。
 

朝日村 つくりびと展@朝日美術館

2023-04-20 | A あれこれ

 朝日村でものづくりをしている作家14名による作品展が朝日美術館で5月14日までの会期で開催されている。今月(4月)15日の午後1時30分から行われたギャラリートークに参加した。出展している4人の作家が語る自作にまつわる話を聴き、それぞれの作品を鑑賞した。




作家の皆さんが朝日美術館、歴史民俗資料館の収蔵品からお気に入りを選び、ご自身の作品と一緒に展示するという試みに興味を覚えた。

Aas Aniさんが選んだのは村内の熊久保遺跡(縄文時代中期の遺跡)から出土した土器。施されている唐草文も色彩も彼女の作品とシンクロしている。土器も実は彼女の作品、と言われても信じてしまうくらい。4,5000年前の土器にこれ程モダンな意匠が施されていることに驚く。

Aas Aniさんの説明をメモしなかったのでうろ覚えだが、渦巻きに生命の持続性、永遠の命を感じるというような話ではなかったか、そのような内容だったかと思う。ぼくも全く同感でこの土器に惹かれる。もちろん彼女の作品にも。豊かな自然の営みに魅せられて暮らしていることが作品から窺うことができる。

人の美的感性って、もしかしたら太古から変わっていないのかも知れない・・・。



Aas Aniさんとは2013年の11月に初めて会って、名刺交換している。あれからもう10年近く経ったのか・・・。


※ 会場内の写真撮影は禁止されています。ギャラリートークをされた作家さんの作品に限り、トーク時間内の撮影が許可されました。


松本市島立の彩色道祖神

2023-04-19 | B 石神・石仏

「本の蔵1885 お座敷一箱古本市」が松本市島立の亀田屋酒造店の母屋で今月15日に開催された。午前10時ころ出かけた。1885って何? 会場で受け取ったチラシによると、会場の古民家の建設された1885年に因んでいるとのこと。


ダイナミックな吹き抜け空間に目を奪われた。


会場の和室には14組の箱主さんが出店していた。一通り見てから『沿線風景』原 武史(講談社文庫2013年)を買い求めた。この本については稿を改めて書きたい。


会場の亀田屋酒造店前の路傍に彩色された双体道祖神と二十三夜塔が祀られていた。






高さがおよそ1mの自然石に大きな円窓を納め、その中に祝言像を彫っている。男神は盃を、女神は提子を手に持ち、内側の手を相手の肩に掛けている。疫病神を寄せ付けない熱々カップル像。像の下に嶋立・・・、何という字だろう。見たことのない漢字。

思い出した、漢字の偏旁の位置を変えることがあった。左右の配置を上下に変えている。これは町だ。町村。そういえばここに至る国道158号の交差点の信号は「島立町区」と表記されている。

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像の向かって左側面に天保十三年壬寅三月十二日と刻字されている。この年は西暦で1842年、今から181年前に建立された道祖神。この道は千國街道、と説明板にある。この道が千國街道だなんて思いもしなかった・・・。


右側面 さて・・・。読めないが大意は何となく分かる。要するに帯代15両いただきますということ。この(道祖)神を他村に移し、お祀(祭)りしたことで、その後栄えてお祝いすることになったら金十五両いただきますよ。

ただ帯代何両と刻字してある道祖神は時々見かける(過去ログ)。

  


 


「東京、はじまる」追記

2023-04-19 | A 読書日記


『剛心』木内 昇(集英社2021年)
**百年前、この国の未来を拓こうと闘い続けた建築家がいた。**


『帝国ホテル建築物語』植松三十里(PHP文芸文庫2023年)
**僕たちは日本人の希望の星を造るんだ**

『剛心』は明治の建築家・妻木頼黄(よりなか)を主人公に据えた小説。妻木頼黄は東京駅や日本銀行を設計した辰野金吾と迎賓館赤坂離宮(旧東宮御所)を設計した片山東熊とともに明治の三大建築家と言われている。

昨年読んだこの小説に続き、今年2月に**二十世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトによる飽くなきこだわり、現場との対立、難航する作業、襲い来る天災・・・。次々と困難が立ちはだかったが、男たちは諦めなかった。**このようにカバー裏面に紹介されている『帝国ホテル建築物語』を読んだ。



『東京、はじまる』門井慶喜(文春文庫2023年) 

 今月8日に買い求めて読んでいたこの文庫を東京に出かけた時に持っていった。東京駅の設計者として広く知られている明治の建築家・辰野金吾が主人公の物語。13日の朝、東京に向かう特急あずさで読み、都内を移動する地下鉄で読んだ。そして六本木ヒルズのスタバで友だちを待つ間に読み終えた(長時間待たされたわけではない、念のため)。

地下鉄の乗客は皆スマホを見ていて、ぼくのように本を読んでいる人はまわりには一人もいなかった。ぼくはこれからも電車内でスマホとにらめっこすることはなく、本を読むだろう。

前半は東京駅と共に辰野金吾の代表作である日本銀行本店の、後半は東京駅(中央停車場)の設計・建設をめぐる物語。とは言え、どちらも設計・建設工事そのものに関する話題はあまり描かれていない。

日銀本店の工事では1階の躯体がほぼ出来たと思ったら、その後の工事に関する描写はなく、いつの間にか次の様になっていた。
**結局。
落成式は、
――明治二十九年(一八九六)三月二十二日に、おこなう。
と、決定した。**(191頁)

東京駅も同様で工事に関する描写はあまりない。

作者の門井慶喜さんは建築そのものより、人間・辰野金吾を描きたかったのだろう。東京駅は1914年に竣工するが、辰野はその5年後、1919年に当時大流行していたスペイン風邪に罹って死去する。

物語は辰野金吾の最期が描かれて終る。辰野は家族や親族、友人たちらの名をいちいち呼び、相手に応じたごく短い話をする。
**(前略)訓示はなく、命令はなく、批判はなく、最後はつねに感謝の表明。あとのほうの者になると言うことが思いつかなかったのか、ただ、
「ありがとう」
とのみ言った。(後略)**(433頁)

これで国会議事堂、帝国ホテル(ライト館)、日本銀行本店、東京駅という日本における西洋建築の黎明期を代表する建築に関わった建築家たちの物語を3編読んだことになる。どの建築も背後にドラマチックな人間物語があった・・・。


東京駅 過去ログ


かつて東京駅を取り壊して新しい駅ビルをつくる、という計画があったことはよく知られている。このことを伝える新聞記事の切抜き(19770421付読売新聞朝刊)が手元にある。解体されなくて本当に良かった。


スヌーピーの切手

2023-04-19 | D 切手


 切手を貼った封書を受け取ることなんてあまりないなぁ、と思っていた。でも貼られている切手に注目するようになって、思いの外多いことに気が付いた。先日届いた封書にはスヌーピーの切手が貼られていた。縁取りの赤紫色は好みの色。

この切手のことを調べた。2023年1月11日に発行された1シートにイラストの異なる10枚の切手「スヌーピーとピーナッツのなかまたち」の1枚だと分かった。

なぜスヌーピーの人気って何年も何年も続いているんだろう・・・。いいなぁ、スヌーピー。


 


3「重要文化財の秘密」@近美(追記)

2023-04-19 | A あれこれ


 六本木ヒルズから地下鉄を乗り継いで東京国立近代美術館へ。「重要文化財の秘密」を観た。高橋由一「鮭」、黒田清輝「湖畔」、岸田劉生「麗子微笑」、萬鉄五郎「裸体美人」、高村光雲「老猿」・・・。「ひぇ~、美術の教科書に載っているような絵画や彫刻が並んでる」

教科書で見ていている作品でも大きさは分からないし、色のニュアンスも分からない。本物を直接鑑賞して初めて分かることがある。「麗子微笑」って案外小さいんだな。「湖畔」って思っていた以上に淡い色使いなんだな。「裸体美人」のメリハリの効いた色使いって、はやりいいな。閉館時刻5時までおよそ1時間。残念ながら重文作品を鑑賞する十分な時間がなかったためによく知る作品を重点的に鑑賞した。



 美術の教科書で馴染みの高橋由一「鮭」と高村光雲「老猿」 

この「鮭」を描こうという作者・高橋由一の感性がすばらしい。そう、描画力というテクニックより、まずは見るものを美しいと感じる美的感性。これがポイント!


 


5日光 後編

2023-04-18 | A あれこれ

 奥宮を参拝して石段を下り、唐門の前まで来た。

唐門


唐門 奥に本社



神輿舎に納められている神輿 屋根の四隅に付けられている蕨手を撮りたかった。露出の合わせ方が難しい・・・。



陽明門下に並ぶ灯籠 灯籠の屋根にも蕨手が付いているものが多い。

本地堂で鳴龍体験。天井に描かれた大きな龍の頭部の真下で叩く拍子木の音がしばらく鈴のような音で響く。フラッターエコーだと説明されている。そうだよね。



これは? 陽明門の手前の石柵の裏側に獅子が・・・。下調べして行かなかったので、この飛び越えの獅子のことは知らなかった。運よく気が付いたものの、すぐ近くにおばちゃんが立っていて・・・。辛うじて撮った1カット。




この後、東照宮宝物館で家康ゆかりのお宝を見学して、昼食。




私は冷やしたぬきそば、友人は日光名物(ということは知らなかった)ゆばそば。


モスグリーンと白の組み合わせが美しい。

登録有形文化財に指定されている建物に入っている神橋庵で昼食。この時、既に2時半過ぎ。


東武日光駅に向かって歩く。奥宮まで207段もの石段を上り下りしたというのに、元気だ。途中でお土産に日光ラスクを買い求めて、駅近くのカフェで一休み。 

日光駅4時39分発の特急スペーシア日光4号は都合がよいことに新宿行き。 新宿着夕方6時35分。9時ちょうどのあずさ55号まで時間があるので、駅近くのカフェで反省会(?) 今日(14日)一日の歩数はここまで約16,000歩。すばらしい!

楽しく有意義な一日だった。友よ終日の付き合い感謝、再見!


余録


東照宮から歩いて東武日光駅に向かう途中でみかけた蔵造りの店舗


日光のJIS蓋 中心に市章、その下にNIKKOの文字。


塩尻のJIS蓋

JISで蓋の表面の図柄に関するの規定がなかったために全国で様々なデザインのマンホール蓋が作られた。だが、JISに参考として示されていたこの図を採用する自治体もあった。


* 東照宮について写真を数カット撮影したところで、バッテリー残量わずかの表示が・・・。予備に持ち歩いているバッテリー(不良バッテリーだが処分せず、カバン入れて持ち歩いている)と交換したが充電量が極めて少ないので最小限の撮影に留めた。教訓、充電器を持ち歩くべし。


4日光 前編

2023-04-18 | A あれこれ

 今年のToDoリストの「両国の回向院を参拝する」と「日光に行く」が実現できた。

14日の早朝、宿泊先から地下鉄を乗り継いで浅草へ。おのぼりさんな私にとって渋谷駅は迷路。案内表示を頼りに副都心線から銀座線に乗り換えた。東武鉄道浅草駅の1階、きっぷ売り場で8時40分に友人と待ち合わせしていた。

9時発の特急けごん11号で日光に向かう。車内には外国人旅行客が多かった。栃木に入って窓外に火の見櫓が3基見えた。浅草駅からおよそ2時間、11時前に東武日光駅に着いた。健脚な友人と徒歩で東照宮に向かう。私も今日だけ健脚?

日光山輪王寺


 三仏堂


逍遥園にある茶室・紫雲閣 三帖の茶室で炉が切ってないようだ。置き炉対応かな? 


東照宮

1 表門


石鳥居から表門を望む

 
表門の裏側に鎮座する狛犬


2 神厩舎の三猿


有名な神厩舎の三猿 

庚申塔の青面金剛像でも馴染みの三猿


3 陽明門




陽明門を見上げる。

 
陽明門の裏側にいる狛犬には一般参詣者は注目しないかもしれない。ピッカピカ! 

裏側で確認するのは逆さ柱。
 
どの柱も円の中に納められた図柄は上下逆にはなっていない・・・、どれが逆さ柱? 

ネットで調べて分かった。左と右の柱の地紋の向きが逆。このことをふたりとも知らなくて、どれが逆さ柱なのか分からなかった。せっかく東照宮まで来たのだから、ぜひ見ておきたいという観光客心理が働いた。事前学習が大事だと再認識。スマホなどに頼るのは最小限に留めるべき。いや、必要がないようにするべきだ。


4 奥宮へ


東回廊の眠り猫を見て、奥宮へ向かう。やはり奥宮を参拝せずして帰るわけにはいかない。


唐門(鋳抜門)とブロンズ狛犬


奥宮参拝後、帰路で再び撮影した狛犬


奥宮めざして207段もある石段をひたすら登る・・・。がんばれ、もうちょっと。まだ若い!

 
奥宮拝殿前の石造の参道狛犬。関東で最古とか。


宝塔(御墓所) 創建当初は木造だったそうだ。日本の歴史上、外すことができない人物・徳川家康。


前編終了


東京余録

2023-04-18 | A あれこれ

テレビ朝日本社 2003年竣工 槇文彦


国立新美術館 2006年竣工、2007年開館  黒川紀章・日本設計

 13日に出かけた「へザウィック・スタジオ展」の会場が六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューだったことから、近くの有名建築を俯瞰することが出来た。

槇さんは屋上も美しく設計しなくてはならないと何か(雑誌の記事だったか)に書いていたかと思う。テレビ朝日社屋の屋上はその言葉通り美しい。ファサードより屋上の方が魅力的とさえ思える。

「共生」は黒川さんの建築設計のコンセプト。国立新美術館の外観は自由曲面とスクエアな面との「共生」か。

2へザウィック・スタジオ展

2023-04-18 | A あれこれ

 両国の回向院を参拝した後、大江戸線で六本木へ移動。六本木ヒルズのカフェで待ち合わせしていた友人とランチして、森タワー52階の東京シティビュー(*1)で開催中の「へザウィック・スタジオ展」へ。














展示されているいくつもの斬新な(という形容では僕が感じた驚きを表現できていないが)プロジェクトに知的好奇心を大いに刺激された。展示されているプロジェクトの全てだろうか、実現しているものは写真や動画でも紹介されていた。

ただ奇を衒うための形態操作ではないか、このようなデザインにすることに何か合理的な理由はあるのか・・・。このような疑念を抱くことが「遅れていること」の証左なのかもしれない。建築デザインはもうこのような世界に入り込んでいるのだ。

僕が特に関心を持って観たのが既に完成しているグーグルの新社屋のプロジェクト「グーグル・ベイ・ビュー」だった。撮った写真のカット数を数えたら22カットもあった(インターネットで検索すると新社屋の様子を見ることができる)。このプロジェクトは僕の理解の範囲内にあった。








太陽光発電パネル(シート?)のテント群がフレキシブルなオフィス空間を創り出している。このような空間デザインがグーグルという企業のイメージを表出している。やはり先端産業を担う企業として凡庸なデザインではダメなのだ。

色んな産業分野において日本は一周遅れだと指摘されている。建築デザインもそうなのでは、と思わせるへザウィック・スタジオ展だった。この作品展に僕を誘ってくれた友人に感謝。


*1 森美術館(53階)とは別会場


1回向院参拝

2023-04-18 | A あれこれ

 一昨日(13日)の午前中に東京は両国の回向院をお参りし、午後に現在開催中のふたつの作品展を鑑賞した。この日は都内で一泊して昨日(14日)は日光東照宮を参詣した。本稿以下その記録。

13日はあずさ8号(塩尻発7時18分)で東京へ。新宿で総武線に乗り換えて両国駅で下車、回向院に向かった。両国駅から回向院までは徒歩で5、6分程。10時半過ぎに着いた。




回向院の正門脇に設置されている説明板(写真①右端)

火の見櫓の歴史は明暦の大火(1657年)がきっかけとなって、定火消が組織され、その屋敷に建てられたことに始まる。両国の回向院はこの大火の犠牲になった多くの人びとの弔うために建立されたから、火の見櫓と大いに関係のある寺院だ。それで、いつかお参りしたいと願っていた。


境内には明暦の大火の供養塔(写真③)

他にも安政の大地震、浅間山大噴火、関東大震災等々の供養塔が立っている。供養塔の前で手を合わせた。


本堂の入口に鐘と板木(名称が正しいかどうか未確認)が吊り下げられていた。本堂内で本尊の阿弥陀如来に合掌した。

回向院では江戸時代から相撲興行が行われていて、説明板(写真⑤)にあるように1909年(明治42年)に旧国技館(写真⑥)が竣工している。この施設の設計は辰野金吾と葛西萬司。

 ⑤⑥


戦前に相撲協会が建立した力塚


回向院は徳川家綱が築いた「無縁塚」に始まる。頂いた御朱印には葵紋が押されていた。





11 なごり桜と火の見櫓in原村

2023-04-18 | A 火の見櫓っておもしろい


1463 諏訪郡原村室内(むろうち)室内公民館前 3柱6多(12)型ブレース囲い 2023.04.12

 標高の高い地域の桜はまだ見ごろ(12日現在)。ひのみくらぶ会員の藤田さんがこの火の見櫓をSNSで紹介していた。偶然ここに到達できた。 火の見櫓巡りでカーナビに頼ることなく車を走らせていても、なぜか初めての道路を選ぶことが少ないように思う。既に通ったことのある道路を再び通ることが少なくない。道路の選択にもクセがあるのだろう。何回か出かけている原村で、この火の見櫓と出合えたことは幸運だったと思う。やぐらセンサーは良好な感度を維持している。すばらしい!




火の見と桜とのコラボ写真を撮ることに夢中で、火の見櫓の観察をおろそかにした。




桜に覆われた火の見櫓の全形が把握できる唯一の方向から撮った。3角形の櫓は南信では珍しく、全体のおよそ1割5分しかない。見張り台が多角形なのも珍しい。数えると12角形だ。円形より製作しやすかったのだろうか。




櫓の中間より下に設置された踊り場。きちんと観察していないが、建設当初には無かったのかもしれない。桜に覆われていて分かりずらいが半鐘が吊り下げられている。木槌もある。


3面とも交叉ブレースが設置され、櫓の一般部分と同じ構成で脚は無い。ブレースで囲まれているのでブレース囲いと名付けた。脚が無いとなんだか物足りない。地上から見張り台まで外付け梯子が設置されている。


本稿を以って12日に観た火の見櫓の掲載を終わりにします。閲覧していただいている皆さんが火の見櫓に興味を持っていただけたら幸いです。