透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

9富士見町境の火の見梯子

2023-04-18 | A 火の見櫓っておもしろい


1462 富士見町境 火の見梯子控え柱付 2023.04.12

 控え柱付きの火の見梯子。上に向かって幅が狭くなっている。計測しなかったが、高さは5mくらいだと思われる(*1)。簡易な火の見梯子だが、てっぺんには風向計付きの避雷針が設置されている。その設置の仕方がなかなか好い。 逆U形の部材に横材を加え、上下2段で避雷針を固定している。1点支持だとぐらついてしまうから、当然といえば当然だが、造形的に美しい。協会の洗練された十字架のようにも見える。今にも降りだしそうな空模様。


*1 0.4×12=4.8(m)


8富士見町境の火の見櫓望遠(追記)

2023-04-17 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)富士見町境 4柱4〇型トラス脚 2023.04.12

 車で走行中にこの火の見櫓が見えてきたが、その時この火の見櫓は以前見ているな、と思った。こんなに遠くから見るのは初めてだったのに、なんとなく。調べると確かに既に見ている火の見櫓だった(過去ログ)。この風景、実に魅力的。

何がどう魅力的なのか・・・。

一番手前に畑の黄緑色のエッジ、その向こうに火の見櫓や赤い方形(*1)の屋根の屯所(詰所)など、桜、その後方に新緑の木々、さらに左奥の山、そして一番遠方に薄くて均一な空色の山なみ。この風景を分析的に観察すると以上の6つの層(レイヤー)によって構成されていることに気が付く。それらの層は空気遠近法そのままに、手前から奥へと次第に均一で薄い色の層になっている。

ぼくはこの様な風景の捉え方に布絵作家の坂井真智子さんの作品(下)で気づかされた(過去ログ)。この風景の魅力はぼくのいつもの描法では表現できないかもしれない。それにしても魅力的な風景だ。



*1 短い棟があるから正確には寄棟、ということを過去ログの写真で確認した。


7富士見町境の火の見櫓と小泊Fuji

2023-04-17 | A あれこれ


(再)富士見町境 4柱44型トラス脚 2023.04.12

     
この火の見櫓も既に2022年10月に見ている(過去ログ)。その時は屋根の四隅の蕨手とは形状が違う飾りの名前が分からなかったが、その後、同形のものが社寺建築の瓦屋根に見られることが分かった。その呼称を隅角(すみづの)と言うことから、この火の見櫓の屋根にある飾りも隅角と呼ぶことにした(*1)。

*1 拡大写真は別の火の見櫓の隅角



富士見町境まで出かけて行ったのは現在建設中の「小泊Fuji」の様子を見たかったから。藤森照信さんといえば銅板葺きの屋根と焼杉板張りの外壁だが、その工事も終わり、屋根には桜の木も植えられていた。ネット情報によると6月に竣工、8月にオープンが予定されているとのこと。完成したら見学したいな。


 


6富士見町境の火の見櫓

2023-04-17 | A 火の見櫓っておもしろい


1461 富士見町境 4柱6〇型トラス脚 20230004.12

 南信地域では4柱44型が最も多く、全体のおよそ6割6分を占める。この火の見櫓のような4柱6〇型はごく少数だ。やはり組合せとしては柱が4本で屋根と見張台が4角形という組合せ、4柱44型が見た目にもしっくりくる。


梯子を見張り台の床面から1mくらい上まで伸ばしている。好ましい配慮だ。このようにしてあると梯子と見張り台の移動がしやすい。梯子の上端が床面だと、移動の際に怖い思いをする。経験的にこのことを知っている。




南信地域には踊り場まで梯子が櫓の外側に設置されている火の見櫓も少なくないが、この火の見櫓は地上から櫓内に設置されている。この脚、タイプ分類上はトラス脚としているが、正確を期すならトラスもどき。


 


2富士見町富士見の火の見櫓

2023-04-17 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)富士見町富士見 松目集落センター向かい 3柱66型トラス脚 2023.04.12

 現在立っている火の見櫓が最も多く建てられたのは昭和30年代前半のこと。戦前から立っていた火の見櫓を戦時中に解体、金属供出したために、戦後新たに建てたという事情による。従って火の見櫓は古くからある集落に立っていることが多い。このようなことを意識して火の見櫓巡りをする。

蔵も古くからある建物だから、火の見櫓と蔵のツーショットが撮れることも少なくない。その様は実に好く、絵になる。実際、私が描くスケッチにも蔵が入ることが多い。


スレンダー。もう少し下方の広がりがあっても良かったかも(などと勝手なことを書く)。


なぜか鮮明に撮れた。リング付きのブレースを見張台の手すりに用いている。櫓部分とデザイン的に連続しているが、全く違うデザインにして明確に切りかえてある方が好みかな。


屋根と見張台の様子を伝えるために、上掲した2つのアングルの写真が欲しい。


脚部はキッチリトラス。


 


1富士見町富士見の火の見櫓

2023-04-17 | A 火の見櫓っておもしろい

 諏訪地域の火の見櫓巡り(ヤグ活)を今月12日にした。


1460 富士見町富士見  4柱44型トラス脚 2023.04.12
           栗生集落センターの近くに立っている。1961年(昭和36年)12月25日竣工







屋根の軒の反りがこのくらいだと和風だと感じる。




火の見櫓の真下が防火水槽になっている。


 


渦巻きの意味

2023-04-11 | A 火の見櫓っておもしろい



朝日村歴史民俗資料館にて

 長野県朝日村には縄文時代の遺跡が複数あります。それらの代表・熊久保遺跡で出土した縄文時代中期の土器には唐草文が施されています。生命再生の願いを蔓草の生命力に託したのではないか、と想像します。

③ 
茅野市尖石縄文考古館にて

国宝の土偶・縄文のビーナスの頭部にも渦巻きが描かれていますが、これは生命再生(子孫繁栄)の願いを込めたデザインでしょう。


諏訪市岡村の火の見櫓

4,5000年前の土器の文様(① ②)と同様の飾りが火の見櫓の屋根にも付けられています(⑤)。祭り神輿や灯籠などにも見られるこの様な飾りを「蕨手」と呼んでいます。山菜の蕨ですね。でもそれがなぜ火の見櫓に? 群馬のヤグラーさんは水の渦巻きではないか、と指摘しておられます。なるほど、火除けの願いが込められていると解することに無理は無いと思います。蔵の牛鼻に水や龍の文字を描くのも同じ願いです。
 
蕨手、このデザインの意味についてあれこれ考えるのも楽しいです。
FBの記事(2023.04.11)に加筆して掲載しました。

火の見と桜のある風景

2023-04-10 | A 火の見櫓っておもしろい

 上伊那郡辰野町を流れる横川川の上流域に位置する上島・横川両地域で桜と火の見櫓のコラボ写真を撮りました。


辰野町横川 川岸小学校の近く 2023.04.09

シダレザクラがまだ咲いていませんでした(4月9日現在)。もう一度訪れることになるかもしれません。



辰野町横川 2023.04.09

今までに何回かスケッチしている火の見櫓が遠くに見えています。



辰野町上島 2023.04.09

横川川沿いの桜と火の見櫓、のどかな春の風景。


 


鄙里の春

2023-04-09 | A 火の見櫓っておもしろい

 朝日村の最奥部の鉢盛山は村のシンボル。この山を分水界が通っていて、村側に降る雨は鎖川となって村の中央部を流れ下り、最後は信濃川から日本海へ注いでいる。鎖川沿いに桜並木があるけれど、大半の桜は未だ咲いていない(4月8日現在)。やはり川の冷却効果によって、川沿いは他の場所より気温が低く、まだ開花する積算温度には達していないようだ。それでも色の濃いサクラ(名前が分からないがヤマザクラだろうか)は見ごろだった。ここは何か所以下ある火の見櫓とのコラボスポットのひとつで、毎年出かけている。昨年は4月23日に出かけた(過去ログ)。やはり今年は開花が早かった。


(再)長野県朝日村 鎖川の両側に火の見櫓が立っている。 2023.04.08

3枚目まで鎖川の左岸側から、4枚目だけ右岸側から撮影した。






 


「鉄道そもそも話」

2023-04-08 | A 読書日記

420
 鉄道大好きという人の数は100万人とも200万人とも言われている。乗り鉄、撮り鉄、車両鉄、読み鉄・・・。乗り鉄でも窓外の風景を楽しむ鉄道旅が好きな人もいれば、呑みながら鉄道旅をする呑み鉄もいる。撮り鉄でもそれぞれこだわりがあって、撮影する列車を限定していたり、鉄橋を渡るところしか撮影しない人がいたり・・・、とにかく様々。


読み鉄は時刻表を詳細に読み解いて、あれこれ楽しむ人を指すが、私の場合は鉄道関連本を読むことを楽しみにしている。だが、鉄道に関する知識はあまり、いやほとんどない。鉄道関連本といっても鉄道紀行エッセイが多いので。

「本の駅・下新文庫」で買い求めた『鉄道そもそも話』福原俊一(交通新聞社新書2014年)を読んだ。「これだけは知っておきたい鉄道の基礎知識」という副題に、これは読まねばならぬ、と思った。

次のような章立てによって様々な鉄道用語の定義の説明と詳しい解説がなされている。
第1章 鉄道一般
第2章 線路設備
第3章 停車場
第4章 電気設備
第5章 鉄道保安設備
第6章 列車の運転
第7章 車両一般
第8章 車体の構造と車両の装置

実にディープな内容だが、鉄道大好きという人たちにとって、♪そんなの常識~ なんだろうか・・・。


「本が好き」1400稿目


花と火の見

2023-04-08 | A 火の見櫓っておもしろい

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松本市波田(下赤松集落センター) 2023.04.07

「わぁ きれいですね。ここ」
「梓川の河岸段丘の上だけど、川は天然の冷却装置だから、この時期は川沿いの土地って気温が他より低いと思うな。特に上流はね」
「そうなんですね。それで松本市街地より遅く満開になったんですかね」
「そうだね。積算温度、桜の場合は2月1日からの平均気温の合計が400℃になると咲くってことのようだから、気温の違いによって開花日にかなり差が出るよね」
「積算温度って言うんですか」
「そう。コンクリートの強度が充分出る日というのも積算温度が関係している」
「専門的な話は・・・」
「そうだよね。桜が咲き出すと、火の見と桜のコラボスポットが何か所か浮かんで、気になってね」
「そうなんですか。U1さんは花と蝶じゃなくって、花と火の見なんですね」
「花と蝶って、森進一の? Kちゃん、古い歌知ってるね」
「よく父が歌ってましたから」
「そうか・・・」