透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

桜の下に祀られている石神・石仏

2023-04-06 | B 石神・石仏




桜の下に祀られている石神・石仏 長野県朝日村 2023.04.05

 手前の道祖神、奥の左から庚申塔、青面金剛像 蠶神の順に載せます。


祝言跪座像 明治22年4月13日建之



大正9年12月吉日建之 この年(1920年)の干支は庚申。



線刻された青面金剛像 邪鬼の上に乗っています。脚元に二猿二鶏。手に持っているのは向かって左側に上から三叉戟(さんさげき)、剣、矢。右側上から輪?、羂索、弓。蛇を首にかけています。

昭和55年12月吉日建之 この年(1980年)の干支は庚申。朝日村にはこの年に祀られた庚申塔が何基かあります。



蠶神 養蚕が盛んだった地域に祀られていることが多いでしょう。明治12年2月8日建之





塩尻市片丘の火の見櫓

2023-04-04 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)塩尻市片丘(松林寺の近く)3柱66型トラス脚 2023.04.03

 火の見と桜のコラボなスポット、ここは塩尻市片丘。松林寺の参道の桜が見ごろだった。


踊り場まで設置された外付け梯子は分団詰所の2階から登るようになっていて、地上からは登ることができない。建設当初はこうなっていたわけではなく、後年の対応だと思われるが、そのことを示すようなものは確認できていない。


メンテナンスされていて、櫓はピカピカ。3本の柱の上端を横架材で繋ぎ、その部材(等辺山形鋼)に半鐘を吊り下げてある。


この火の見櫓を見るのは今回が初めてではなく、数回見ているが、屋根の内側の構造をきちんと観察したのは今回が初めて。6本の屋根下地補強材の中間を丸鋼(だと思う)で繋ぎ、避雷針の下端を支持している。このような架構は建築でも見られるが、ハイテックなイメージで、好きな構造だ。


 


ここ、谷中の坂だ。

2023-04-04 | D 切手



 昨日(3日)届いた封書に貼られていた切手。ネットで調べようと、「84円切手 猫」で画像検索したけれど、見つけることが出来なかった。イラストを改めて見て、描かれているのが谷中の坂・夕やけだんだん だと分かった。何年も前、谷根千を歩いたことがあるが、その時、この坂も上った。「84円切手 谷中の坂」で検索すると、この切手が見つかった。

江戸―東京シリーズ 第3集 で今年の3月8日にシートで発行された切手の中の1枚だった。坂の向こうに火の見櫓が立っていたら、ぼくもスケッチしたくなるような風景だ。この切手、色彩が渋くていいなぁ。


 


桜花爛漫2

2023-04-03 | A 火の見櫓っておもしろい


火の見櫓のある風景 松本市寿北(上瀬黒公民館前) 2023.04.03

 火の見櫓と桜のツーショットが撮れそうなところを脳内検索して、出かけてきました。牛伏川沿いの桜並木に立つ火の見櫓を撮りました。背景の山は仁科三山(左から爺ヶ岳 鹿島槍ヶ岳 五竜岳)です。期間限定の風景です。


 


スケッチ雑感

2023-04-03 | A 火の見櫓のある風景を描く
 

1 火の見櫓のある風景を透視図法的に正確に描こうと思えば、消失点(VP、バニシングポイント)を押さえて捨て線を下描きする必要がある。捨て線をなぞるように線を引けば良いが、そうしないで、いきなり本チャンの線を引くと、VPに向かって引くべき線がずれてしまい、複数視点で描いているような表現になってしまう。

理屈は理解しているつもりだが、しまった!という線も消すことが出来ないから・・・(と、言い訳)。風景構成要素の大きさと位置関係を正確に表現すれば、パース的にも違和感のない構成になるはず、との思いから描いている。

写真とスケッチを比べると、蔵の屋根の勾配が違う。蔵の勾配が見た目に急すぎると思って、意図的に勾配を少しなだらかにしたから。火の見と屋根との位置関係も実際とは違ってくる。屋根面が見えそうで見えず、棟だけ見えるという難しい立ち位置。

風景をなにもリアルに描く必要はない。無い方が好いと思う要素は省略するなどして、風景を魅力的に再構成すること。創造行為とはそういうものだ、と私は思う。

2 線描後、線で囲まれた対象の中を水彩絵の具で着色する。これって塗り絵とどう違うのか。この指摘というか問いに、明快な回答はできない。塗り絵ではいけないのかな・・・。マチスやミロが好きだから、無意識のうちに自分の描き方も同じようになっているのかも。

風景を描いているのだから、空気遠近法を意識して遠景、近景で色の濃淡を変えてみようかな。

上手く描こうなどという邪念を捨てて、描きたいように描く。難しい・・・、修行の道は果てなく続く。

* 線描は現地でしています。立って描くのと、椅子に座って描くのとでは、視点の高さが変わるため、立って描いています。着色は道具の持ち運びなどの都合から自宅でしています(以前は着色も現地でしていました)。

「歴史のダイヤグラム」

2023-04-02 | A 読書日記

360
 昨日(1日)、松本市渚のスタバで夕方5時ころ、という約束でK君と待ち合わせをしていた。で、4時半ころにはスタバへ。朝カフェ読書をする時間帯のスタッフには顔なじみの人が数人いるけれど、夕方のスタッフにはいなかった。読書をしてK君待ち。読んでいたのは『歴史のダイヤグラム』原 武史(朝日新書2021年)。

朝日新聞土曜別刷「be」に連載されたコラムを収録した本だということが巻末の記載で分かる。皇室と鉄道、文学者と鉄道、事件と鉄道、というように鉄道と関連づけた日本の近現代史に関するテーマをそれぞれ3ページで綴っている。新聞の連載コラムだからスペースがきっちり決まっていたのだろう。ひとつのテーマに限定して綴っているわけではないので、ランダムに読むこともできる。各エッセイの内容が濃く保たれているのはすごい。

この本は先日『本の駅・下新文庫』で買い求めた。4月は10日と15日の二日間オープンするとのこと。また出かけよう。

それまでにこの『歴史のダイヤグラム』と『鉄道そもそも話 これだけは知っておきたい鉄道の基礎知識』福原俊一(交通新聞社新書2014年)を読了しておかなくては。


 


ブックレビュー 2023.03

2023-04-01 | A ブックレビュー


 今日から4月。学校に通っていた若かりし頃は新しい年度が始まる4月1日を意識したけれど、今はそうでもない。元日、新しい年の始まりの方を強く意識する。

さて、3月のブックレビュー。3月の読了本は写真の6冊。

『本所おけら長屋 二十』畠山健二(PHP文芸文庫2023年)
20巻目の本所おけら長屋。今までと同様にひらがな4字のタイトルの中編が収録されている。収録3編の中ではなんといっても「とこしえ」。おけら長屋の住人・万造と医者のお満さんの恋がついに実を結び、結婚へ。万造の実の母親も見つかって、よかったなあ、とぼくは涙。ついに完結!・・・か? などと書かれた帯が付いているが、このシリーズはまだまだ続くことが示されている。21巻目を楽しみに待とう。

『草枕』夏目漱石(新潮文庫1994年101刷)
大半の文庫を古書店に引き取ってもらったが、夏目漱石と北 杜夫、安部公房の作品だけは残した。再読するならこの3人だと決めたから。

『草枕』をなぜ再読しようと思ったのか、覚えていない。以下に既に書いた記事から一部抜粋して再掲する。

**山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。**(5頁)

書き出しが有名ということでは『雪国』然り。この代表作は川端康成の感性が書かせた、と言ってよいだろう。夏目漱石の教養、川端の感性と対比的に捉えられないこともない。川端康成は『雪国』において美というものきっちり小説化し、夏目漱石は『草枕』で美を評論的にまとめた。せっかく残してあるのだから、漱石の別の小説も読もう。

『黒い海 船は突然、深海へ消えた』伊澤理江(講談社2022年)
松本清張は自作のタイトルに好んで「黒」を使った。黒は事件性を想起させる、闇のイメージ。伊澤理江さんの『黒い海』も同様に漁船の突然の沈没事故の裏の深い闇を表徴している。

事故から3年近く経って運輸安全委員会から出された「船舶事故調査報告書」は生存者3人や僚船の乗組員たちの証言とは大きく食い違う内容で、波による転覆・沈没の可能性を示した結論だった。漁具などの積載方法に問題があり、転覆しやすい状態だったという報告も事実と異なっており、生存者や漁業関係者にとって受け入れがたいものだった。証言の内容からは潜水艦の衝突が強く示唆された。

偶然この事故を知ったジャーナリストの伊澤さんが事故の裏側に潜む深い闇を追う。**取材の道のりは長いが、望みは捨てていない。**(298頁)本書最後の一文に彼女の強い意志を感じる。動かしようのない証拠を掴み、事故、いや事件の真相を明らかにして欲しいと願う。本書を最後まで読めば、どこの国の潜水艦かも推測できる。

『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ ―― コンテンツ消費の現在形』稲田豊史
(光文社新書2022年4月発行、2023年
2月10刷)
人と直接話す機会が減少している。この傾向はコロナ禍以前から見られた。このような状況をむしろ歓迎して、自らこのような状況を招く人たちは映画でも登場人物たちの会話の間(ま)や顔の表情などには関心がなく、登場人物がどのようなことを言うのか、内容にのみ関心があって、どのように言うのかということはどうでもよいことなのだろう。加えて映像情報過多。

ぼくは大河ドラマは総集編で充分だし、WBCの試合は見たけれど、プロ野球は結果だけ分かれば良いと思っているから、本書を読んで映画を倍速で観る人たちの気持ちも理解できる。でも映画は・・・。

『諏訪の神さまが気になるの 古文書でひもとく諏訪信仰のはるかな旅』北沢房子
(信濃毎日新聞社2020年1月発行、2021年11月6刷)

あることがきっかけとなって、諏訪の神さまが気になり始めて、本書を読んだ。

古事記の神話よりはるか昔から諏訪人は神さまを祀り、日々神さまと共に暮らしてきていた。本書を読んで、今日まで連綿と続く諏訪信仰のことをもう少し知りたいと思うようになった。

『ヒロシマノート』大江健三郎(岩波新書1985年6月発行、1995年2月62刷)
「大江健三郎さん死去」を3月14日付 朝刊で各紙が報じた。この日、全国紙を読み比べたが、代表作として小説の他には『ヒロシマノート』が挙げられていた。

3月末の数日間、このエッセイを再読していた。大江健三郎が広島で取材して書いたレポートには、医師や被爆者の声が収録されている。本書を読めば被爆者は体だけでなく、心にも大きなダメージを受けたことがよく分かる。大江健三郎が実に誠実にヒロシマと向き合ったということがこのエッセイから伝わってくる。それにしてもなぜ戦争は繰り返されるのだろう・・・。