劇団『ステージドア』の特徴はなんと言っても劇団員の年齢幅の広さ。
上は80代から下は20代まで、まさに三世代が同居する劇団。
この劇団には、信じられないような指導スタッフが付いている。
まず昨日紹介した、振り付けの河岡先生はプロの舞台人。
劇団四季に所属し、今は振り付けの仕事に携わっている。
演技指導は同じく劇団四季の堀米聡先生。
かつて劇団四季の『コーラスライン』でマーク役を演じた役者さん。
一時期、家庭用洗剤だったか、コマーシャルにも出演していた。
河岡先生とは違ったタイプの、セクシーな男性でとにかく優しい。
甘いマスクで、オバちゃまたちの心を擽るんだろうなぁ・・・
堀米先生からは、劇団に参加した時から、良く声をかけて頂いている。
今回の芝居でも、ちょっとした仕草の指導で、芝居がやり易くなったり
先生のアドバイスを貰うと、急に演技が良くなって行くから不思議。
音楽は、アニメ『ゼーガペイン』の音楽などで名を馳せた大塚彩子先生。
彼女はクラシックからロックまでこなすマルチプレイヤーでもある。
最近、活動を休止している『プリズミクス』という
弦楽4重奏にエレキギターやベース、ドラムを加えた珍しい編成の
バンドを率いている方でもある。
音楽の幅が広く、劇中で唄う曲のバリエーションは目を見張る。
僕が感じる限り、ロック好きな気がするクールビューティー。
唄の指導は『魔女』石崎知穂先生。
この先生も東京音大を卒業して、今はボイストレーナーを生業とする
プロの音楽家。
この先生の魔法にかかると、僕のようなヘボでも唄が上手くなる。
この先生に教わって、少しも進歩しない人間は余程の無能。
石崎先生の魔法にかけられて、皆の唄が活き活きするから不思議です。
去年の公演『魔女は永遠に』の稽古の最中に、この二人が黒系の服装で
一緒に現れた時、僕は思わず笑ってしまった。
なんせ、稽古では魔女役の女性たちが一生懸命稽古しているのだけれど
怪しい艶っぽさや、色気を振り撒くでもなく、どう見ても
『私は魔女』って言っている街のおばさんにしか見えなかった。
唄も女学校の合唱コンクールみたいに、キンキンと唄うから
魔女の妖艶さ・・・・なんて、全く感じなかったのです。
そこへ現れた二人が、対照的に黒装束でなんやら妖しい感じで
稽古の場所へ現れたから、僕は思わず
『あっ、本物の魔女が登場だぁ』って、声に出して言ってしまったくらい。
その上、大塚先生の作る曲は僕らの身体に浸み込んで来て、
それに知穂先生の指導が加わった途端に、唄に息が吹き込まれる・・・
この二人の魔法のような指導が、僕の心を奪ってしまう。
まさに魔女・・・・
こんな素敵なスタッフに指導されて、芝居が出来上がる。
今回の『人生は一度きり』は音楽と振り付け、そして唄が噛み合って
近年に無く、出来の良い舞台だったと言われた。