山村修著「狐が選んだ入門書」(ちくま新書)が出たばかりなのに、
残念なことは、当の、著者の山村修氏が亡くなってしまったのです。
日刊ゲンダイに週一回で22年半という書評の連載をされていたのが狐さんで。
その狐さんが山村修氏だとご自身が種明かしをしたのが、今回の新書でした。
入門書といえば、「先生の程度」を日下公人氏が書いておりました。
「著者の中には、自分はこれだけたくさんのことを考えているんだぞということを飾って書く人がいます。博引傍証はいいのですが、自分は外国に留学してきたとか、大全集の本が並んだ本棚の前で写真をとったとか、よくあるやり方です。・・
こいう先生方が書くものは、どういうわけか決まって、入門書です。工業経済概論、会計入門、イギリス宗教史概要など、概論や入門ばかりで本論を書きません。本論はあると思わせていますが、じつは何もない場合が多いのです。ほんとうは、概説を書くためには全部を知らなければ書けないはずで、若いときには、だまされる場合が多いのですが、やがてその先生の限界がわかるようになります。・・」
(日下公人著「『逆』読書法」p84~85)
こうした入門書の氾濫のなかから、これはという入門書を選び出す眼力を期待して、若い人に自由に選ばせるほど酷なことはありません。そんな入門書洪水のなかで、ワラをもつかみたい人のための一冊。そこに山村修著「狐が選んだ入門書」が新しく加わったのでした。
そういえば、司馬遼太郎著「風塵抄」(中公文庫)に「“独学”のすすめ」という文がありました。そこには
「物を考えるときは、基本的なことをおさえる必要がある。・・
そういう場合、いきなりむずかしい本を読んでもわからない。その場合のコツは永年の『独学癖』で身につけた。少年・少女用の科学本をできるだけ多種類読むのである。
子供むけの本は、たいていは当代一流の学者が書いている。それに、子供むけの本は文章が明快で、大人のための本にありがちなあいまいさがない。そのあと大人のための本をよむと、夜があけたように説明や描写が、ありありとわかってくる。」
「ただし、『独学』は万能ではない。ひとりよがりの危険におち入ることを常に感じておかねば、あぶない。・・」
入門書を鑑識眼豊かな人(狐)に選んでもらえる。そんな幸せ。
読売新聞の「鵜」さんは
この新書を評して、こう書き始めておりました。
「たかだか200㌻ちょっとの新書と侮ってはいけない。これを読んだあなたは、膨大な読書時間と書籍代の出費を覚悟した方がいい。読み終わると、この本に紹介された書籍を次々に読み、味わいたくなること必至だからだ。」
書物の森への水先案内人、
狐のけもの道を知りたければ、それなりの覚悟がいるのでした。
残念なことは、当の、著者の山村修氏が亡くなってしまったのです。
日刊ゲンダイに週一回で22年半という書評の連載をされていたのが狐さんで。
その狐さんが山村修氏だとご自身が種明かしをしたのが、今回の新書でした。
入門書といえば、「先生の程度」を日下公人氏が書いておりました。
「著者の中には、自分はこれだけたくさんのことを考えているんだぞということを飾って書く人がいます。博引傍証はいいのですが、自分は外国に留学してきたとか、大全集の本が並んだ本棚の前で写真をとったとか、よくあるやり方です。・・
こいう先生方が書くものは、どういうわけか決まって、入門書です。工業経済概論、会計入門、イギリス宗教史概要など、概論や入門ばかりで本論を書きません。本論はあると思わせていますが、じつは何もない場合が多いのです。ほんとうは、概説を書くためには全部を知らなければ書けないはずで、若いときには、だまされる場合が多いのですが、やがてその先生の限界がわかるようになります。・・」
(日下公人著「『逆』読書法」p84~85)
こうした入門書の氾濫のなかから、これはという入門書を選び出す眼力を期待して、若い人に自由に選ばせるほど酷なことはありません。そんな入門書洪水のなかで、ワラをもつかみたい人のための一冊。そこに山村修著「狐が選んだ入門書」が新しく加わったのでした。
そういえば、司馬遼太郎著「風塵抄」(中公文庫)に「“独学”のすすめ」という文がありました。そこには
「物を考えるときは、基本的なことをおさえる必要がある。・・
そういう場合、いきなりむずかしい本を読んでもわからない。その場合のコツは永年の『独学癖』で身につけた。少年・少女用の科学本をできるだけ多種類読むのである。
子供むけの本は、たいていは当代一流の学者が書いている。それに、子供むけの本は文章が明快で、大人のための本にありがちなあいまいさがない。そのあと大人のための本をよむと、夜があけたように説明や描写が、ありありとわかってくる。」
「ただし、『独学』は万能ではない。ひとりよがりの危険におち入ることを常に感じておかねば、あぶない。・・」
入門書を鑑識眼豊かな人(狐)に選んでもらえる。そんな幸せ。
読売新聞の「鵜」さんは
この新書を評して、こう書き始めておりました。
「たかだか200㌻ちょっとの新書と侮ってはいけない。これを読んだあなたは、膨大な読書時間と書籍代の出費を覚悟した方がいい。読み終わると、この本に紹介された書籍を次々に読み、味わいたくなること必至だからだ。」
書物の森への水先案内人、
狐のけもの道を知りたければ、それなりの覚悟がいるのでした。