和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

この季節になるとね。

2023-04-28 | 本棚並べ
林望著「幻の旅」(マガジンハウス・1993年)が
古本で200円。つい買ってしまう。

パラリひらけば、
はじまりには、朔太郎の詩『旅上』が引用してある。
そこから、断片引用。

「 汽車が山道をゆくとき
  みづいろの窓によりかかりて
  われひとりうれしきことをおもはむ
  五月の朝のしののめ
  うら若草のもえいづる心まかせに。 」(p3)

本文の最後の文は『並木道』で、
そのはじまりは

「地下鉄の駅を出ると、青葉の匂いがした。
 五月の光は、背の高いケヤキの並木に萌えいでた
 浅緑色の若葉から洩れて、ちらちらと涼しい道の上に降ってくる。」

パラリとひらけば、そこにはこんな箇所。

「『僕はいつも思うんだ、この季節になるとね。
  一年の内で、もっとも美しい木々の風景は、
  
  満開の花でも、燃えるような紅葉でもなく、
  この新緑、いま僕と君の目に映じている
  この景色じゃないかって・・・      」(p34)


はい。林望が教えてくれている『五月』。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『徒然草絵巻』の海北友雪。 | トップ | 塩みたいなもの。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本棚並べ」カテゴリの最新記事