映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「イニシエーション・ラブ」 前田敦子&松田翔太

2015-05-31 18:45:05 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「イニシエーション・ラブ」を映画館で見てきました。


これはなかなかおもしろい。娯楽としては申し分ない。
昭和後半の若者を描いた作品というのは比較的好きなパターンで、自分の母が静岡出身で設定に親近感もあり見にいってしまう。「君は1000%」や「YES NO」なんて音楽が流れてくるとより一層気分がハイになる。この時期の静岡の若者がバブル時期の首都圏のようにバブリーなクリスマスを過ごしていたのかな?という素朴な疑問はあるが、話自体や時代考証に不自然さがない。

「もしもドラッカーが。。。」の頃の前田敦子の演技には不自然さが充満している感じがしたが、「もらとりあむタマ子」などを経ていい役者に育っているなというのを実感する。カメラの映し方もうまい。デブで奥手な主人公が2人で逢うようになった時の会話をとらえるカメラ目線がにくい。でもここでは、なんといっても木村文乃のいい女ぶりが際立つ。

1980年代後半の静岡。奥手な理系の大学生・鈴木は、友人に誘われ合コンに参加することになる。その中でも輝いていた歯科助手の成岡 繭子(前田敦子)と出会う。自分には不釣り合いと思っていたのに、仲間で静波の海水浴場へ行った時も、むしろ彼女の方が鈴木に積極的にアプローチを仕掛けてくる。気がつくと2人はデートするようになる。鈴木はヘアスタイルやファッションを変えていく。二人はぎこちないながら距離を縮めていった。


その後、静岡で就職した鈴木(松田翔太)は仕事の都合で上京することになった。大手に内定していたのに静岡に就職する道を選んだ鈴木は落胆したが、静岡に残った繭子と週末に東京と静岡を往復する遠距離恋愛をすることになる。


東京では、同期で同僚の石丸 美弥子(木村文乃)の仕事を手伝っているうちに仲良くなる。都会の洗練された女性の出現により鈴木の心は揺らいでいく。

冷静になってみれば、かなり自分勝手な男女の物語ともいえる。でもこんなもんじゃないかな?世の恋愛事情は
遠距離恋愛なって設定になったら、不思議なものでどちらか、あるいは両方に素敵な人が現れるものだ。自分も50代になったのでさすがにもう引退寸前だけど、10年前だったら似たようなものだと思う。

1.軽快に流れる70~80年代ソング
87年の設定で、オメガドライブ「君は1000%」はまさにそのころだが、むしろデートバックした「YES-NO」「ルビー指輪」や「愛のメモリー」など少し前の曲も多い。いずれも何度も聞いたものだ。車のラジカセでテープが流れてなんて設定は「私をスキーに連れて行って」を連想させる。だからといってホイチョイプロダクションがつくる映画とも一線をひく不器用な感触がいい。


2.恋愛絶頂に現れるいいオンナ
こればかりは理屈はない。「何でなの?」彼女とうまくいっていて、いろんな決断をしようとしたときに、常にそういうオンナが現れるのだ。本線でつきあっている女性と共通点はない。むしろ真逆ないい女が登場する。もしかしたらそっちにした方がうまくいくかもしれない。そう考えてしまう。哀しい恋の性である。
ここでは木村文乃の起用があたりだ。なかなかいい女だ。こんないい女にこの映画のようなセリフで言い寄られてもつ男っているかしら??いないだろう。慶大出の洗練された新人女性という設定だが、たしかにこういうタイプっていたなあ。ついこの間一緒に仲間内であった女性の20代のころに似ている。今は。。。さすがに疲れているけど


3.できちゃった婚感(ネタばれあり)
前田敦子は妊娠してしまう。でも彼女はできちゃった婚はどうかと言って、乗り気ではない。松田翔太は結婚してもかまわないというのであるが、それも進まない。結末になっていろんなことがわかってくるのであるが、確かにこの時期って今よりもできちゃった婚少ないかもしれない。今は多いよね。むしろオンナの方が狙っているというパターンが多々散見されるなあ。


ネタばれあり
この映画の結末は語るな!とある。確かにその方がいいだろう。

でもいくつか不思議な雰囲気にさせる場面があった。
太って堕落した生活をしている主人公は元々静岡大の理学部数学科に通うと紹介されている。ところが、途中で物理専攻とセリフが出る。いくらなんでもなんで間違えるの?なんて思う。しかも、物理専攻というセリフがもう一度出てくる。おかしいな?!と思ったら最後でわかる。そういうことだったのね。前田敦子のハラ痛も含めて謎が解ける。なるほど、作りはうまい。

(参考作品)
もらとりあむタマ子
グータラ娘を演じる前田敦子
コメント (2)
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映画「龍三と七人の子分たち」 ビートたけし&藤竜也

2015-04-26 21:08:14 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「龍三と七人の子分たち」を映画館で見てきました。

イヤー!おもしろい
北野武監督の一連の映画はちょっとクールな作風だ。近作の「アウトレイジ」は実に面白かったが、それまでの作品では、ちょっと合わないなあというのも多かった。ただ、これは違う。ビートたけしのテレビでのアップテンポなコミカルなタッチがそのまま出ているのだ。


これはたけしの脚本の勝利だ。ヤクザ仲間のキャラクターも個性的で面白い。基本的筋はヤクザ対ヤクザでも、ヤクザ対警察でもなく、関○連合を意識したような暴走族上がりの若い愚連隊との対決にしている。現存する極悪集団を意識したライバルとのワル同士の葛藤をコミカルなセリフで楽しく見せている。劇場はまさしく笑いの渦、自分も腹を抱えて笑いまくった。見てよかった。

今回は一転マル暴の刑事役↓


70歳の高橋龍三(藤竜也)は、元ヤクザの組長だが“鬼の龍三”と畏れ慕われた時代はもはや過去のもの。現在は家族にも相手にされず、社会にも居場所がなく、大企業で働く息子・龍平(勝村政信)の家に肩身の狭い思いで身を寄せながら「義理も人情もありゃしねぇ」と世知辛い世の中を嘆いている。


そんなある日、オレオレ詐欺に引っかかったことをきっかけに、元暴走族の京浜連合と因縁めいた関係になった龍三は「若いヤツらに勝手な真似はさせられねぇ」と、昔の仲間に召集をかける。集まったのは、若頭のマサ(近藤正臣)、はばかりのモキチ(中尾彬)、早撃ちのマック(品川徹)、ステッキのイチゾウ(樋浦勉)、五寸釘のヒデ(伊藤幸純)、カミソリのタカ(吉澤健)、神風のヤス(小野寺昭)の7人。どうせ先は長くないのだからと盛り上がった龍三たちは勢いで“一龍会”を結成、京浜連合をことごとく邪魔しまくるのだった。やがて京浜連合のチンピラたちは、調子に乗り始めたジジイたちを疎ましく思うようになり、一龍会vs.京浜連合の対立は龍三や子分の家族を巻き込み一大騒動へと発展していく……。(作品情報より)


個性豊かなキャラクターをそろえたものだ。
それぞれに一芸をもつ元やくざたちはみんな度胸が据わっている。修羅場をくぐって生き抜いていた老人たちというのをうまく演じている。
そういう名脇役をひきいるのが藤竜也と近藤正臣だ。中尾彬はその強面のおかげでよく暴力団の幹部役が多いが、ここでは詐欺師なのでいつもとちょっと違う役柄である。「太陽にほえろ」の刑事役で名高い小野寺昭が久々にうまい芝居を見せるのがいい感じだ。

1.藤竜也
この俳優とは相性がいい。初めてみたのはテレビドラマ「時間ですよ」篠ひろ子の小料理屋で一人飲む影のある男を演じた時であった。その後大島渚監督「愛のコリーダ」の無修正版をパリでみている。彼のアソコもばっちり映っていたし、激しい絡みは30年以上たっても忘れられない。その後の「スープオペラ」もよかったし、二階堂ふみに流氷の氷の上に取り残される「私の男」もよかった。今回見に行く気になったのも藤竜也との相性の良さがあるからだ。
昔ヤクザというとクールなイメージだし、元来の彼のキャラはそうだけど、ここではコミカルな味を出している。なかなかいい。美人妻の芦川いずみはどんな感じでこの作品をとらえているのかなあ??

2.近藤正臣
昭和40年代半ばの彼の活躍はめざましかった。当時小学生の自分には「柔道一直線」での桜木健一のライバルの姿が目に浮かぶ。劇中足でピアノを弾く姿を披露したことはあまりにも有名だ。


この直後は二枚目役でもてはやされたものだった。その彼の顔つきがすっかり変わった。それにしても変わりすぎてすこし驚く。元やくざでギャンブル好きというキャラを実にうまく演じる。その昔は笑いすら見せないキャラだったが、おかしな言葉も連発する。すごいギャップだ。

これからネタばれあり注意

3.おかしかったシーンいくつか
(ポイント制)
ヤクザの組を再結成しようとしたあと、組長を決めようとする。そこで出た提案は、一番悪さをしてきた男を組長、二番目を若頭にしようとするわけだ。殺しと恐喝傷害、詐欺それぞれにポイントをつけて、それに刑務所勤めの通算年数を足し算して、一番数の多いのが組長だ。結局それで一番ポイントの多いのが龍三というわけだ。

(競馬の買い目の指示)
街宣車を追っ払うことで、企業から裏金をもらう。ギャンブル好きなメンバーはすぐさま競馬場に向かうが、なかなか当たらない。ここぞとばかり最後の勝負に出る。龍三組長は「55」の買い目を指で指示する。レースは買い目通りになり大当たり。1200万円の配当ということで大はしゃぎするが、買いに行った男は残念でしたねという。「うそだろ!」と怒る龍三。確かに「55」と指で指示したが、龍三の指は2本詰めているので、遠目には「35」しか見えないという話もえらくおかしい。


(路線バスとのカーチェイス)
殴りこみに行った先の愚連隊の事務所にいくが、幹部たちはあわてて逃げていく。龍三たちはなんとかつかまえて落とし前をつけなければ気が済まない。そこで路線バスをハイジャックして愚連隊の幹部たちを懸命に追う。道が狭い所に車が逃げ込んでも、バスが必死に追う。そうすると、商店街にある露店の店構えがぐしゃぐしゃになる。それでも追いまくった行く末は???。。。これも結構笑える。

こんな小話が盛りだくさんの映画である。
ここまで笑うってことしばらくなかったので気分がすっきりした。

(参考作品)
アウトレイジ
奇想天外な男たちの生きざま


アウトレイジ ビヨンド
前作をさらにスケールアップ


愛のコリーダ
阿部定にアソコを切られる男を演じる藤竜也
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映画「2つ目の窓」河瀬直美

2015-02-06 22:23:17 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「2つ目の窓」は2014年公開の河瀬直美監督の作品


河瀬直美監督がカンヌ国際映画祭にこの作品で出品したことは知っていたが、好きな監督ではないのでスル―していた。でもそれは正解だった。話としては、奄美大島を舞台にした高校生の男女の恋とその家族の物語だけど、性に合わない。高校生の2人を映す映像はきれいだし、少年のウブな感じや日に焼けた高校生の少女の年相応の美しさには魅かれるけど、それだけの作品だと思った。この映画妙な長まわしが多く、リズムが最悪に悪い。


奄美大島の16歳の少年・界人(村上虹郎)は、満月の月明かりの下で海に浮かぶ溺死体を見つける。その界人の様子を、同級生の杏子(吉永淳)が見ていた。杏子の母・イサ(松田美由紀)は、島の人の相談を受けるユタ神様として人々から慕われている。しかし、イサは大病を患っており、医師に余命を告げられる。「神様も死ぬんだね」と、杏子は行き場のない想いを界人にぶつける。界人は「神様は死なないよ」と、ふたりはただ寄り添う。


一方、母・岬(渡辺真起子)の女としての側面をけげんに思う界人は、母と離婚して東京で暮らす父・篤(村上淳)に会いに行く。しかし、父子の時間を過ごして東京から帰ってくると、母親は失踪している。。

情景は美しい。そのもとで裸で泳ぐ吉永淳にはその昔、南沙織がデビューした当時のようなエキゾティックな魅力がある。制服を着て海中を潜水するシーンは実に美しく。2人で一緒に自転車に相乗りする姿はこちらがうらやましくなってしまう。でもそれだけなんだなあ。奄美の独特の風俗も取り入れているけど、山羊の血をとる場面は見ていて不愉快だし、名優常田富士男の良さが発揮されているとも思えない。


新聞がカンヌ映画祭で惜しくも受賞を逃したなんてコメントを書いているので少しは期待してみたけど、このレベルで勝てると思ったのか?不思議で仕方ない。これ以上コメントするに至らないつまらない作品だ。
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映画「ニシノユキヒコの恋と冒険」竹野内豊

2015-01-15 05:31:04 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「ニシノユキヒコの恋と冒険」は川上弘美の小説を映画化した2014年公開のラブコメディ


キネマ旬報2014年ベスト10の10位に意外な映画がある。まったく見る気にもならなかった映画だが、一応見ておこうという感じ
「ゴースト」「居酒屋ゆうれい」など亡くなった人が、目の前に現れるというスタイルはたまにあるが、この映画はその亡くなった男が生前いかに女遊びをしたかというのを葬儀のときに娘?が1人の女性から聞くという話

主人公、ニシノユキヒコ(竹野内豊)が人妻のナツミ(麻生久美子)とその娘5歳のみなみに海辺のカフェでと3人であっているシーンからスタートする。ナツミは「もう会えないのね」とさみしがっている。本当は結婚して幸せになりたいのに、というニシノに、でもあなたには無理よねとナツミは言っている。


10年後、ニシノユキヒコは車にはねられて死んでしまう。
成長したみなみ(中村ゆりか)の家に幽霊が、突如やってくる。みなみには普通に「ニシノ」が見えるが、その後家に帰ってきたみなみの父にはまったく見えない。母ナツミはもうみなみと父のもとから姿を消していた。ニシノは自分が死んだら、ナツミのもとを尋ねる約束をしていたから戻ってきたという。


そのあと、幽霊のニシノに連れられ、みなみはニシノの葬儀にむかう。他の参列者からはニシノの姿は見えないようだ。
貧血で倒れそうになったところを介抱してくれた中年のご婦人サユリ(阿川佐和子)から、ニシノの過去の恋愛遍歴を聞きはじめる。サユリは料理教室でニシノに出会い、とりこになったようだ。でも他にも大勢とりまく女性がいた。
ニシノのかつての恋人カノコ(本田翼)がちょっかいを出すのと同時に、3歳年上の会社の上司マナミ(尾野真千子)が近づいてくる。二股のようにつき合っている時に、ニシノの隣室にいる昴(成海璃子)とタマ(木村文乃)も、猫がニシノの部屋に潜り込んできたことをきっかけに仲良くなる。
ニシノは彼女たちの欲望を満たし、淡い時を過ごす。しかし、女性たちは最後には必ず自らニシノのもとを去ってしまうのであったが。。。。


葬儀のロケが鳩山一族の大豪邸である文京区の「鳩山御殿」であるのが見てすぐわかる。ニシノの実家という設定だ。スゲエところでロケするなあと思っていたが、ロケハンティングが非常にうまい映画で、江ノ電が走る「鎌倉」の海岸近く、「新宿」の本屋、「御茶ノ水」の聖橋の横、「田町」のオフィス街や中央区の高層マンション横など映像センスにあふれる場所で映画を映しだす。

何より人気エッセイストでベストセラーを連発している阿川佐和子さんが出演しているのでビックリ。恋の物語だけど、彼女すでに60歳超えているのに、もう少し若く見えるので違和感はない。
この映画での竹野内豊との会話がどうもアドリブにしか聞こえない。たぶんそうだろう。


阿川から映画「カサブランカ」の話を持ち出すが、ハンフリーボガードの名前がでても、イングリッドバーグマンの名前が思いだせない。しかも「カサブランカ」を真顔で50,60年代の映画と言ってしまう。いくらなんでもシナリオあったらこうはしないよなと思い苦笑い。
ここで阿川さんがハンフリーボガードの役を本来演じることになっていた人は誰か?と竹野内豊に聞くシーンがある。映画俳優としてでなく、別の意味で有名になった人という形で疑問を投げかける。一瞬自分も考える。わからん??
正解は「レーガン」だそうです。

あとは本田翼と尾野真千子の恋の競い合いがおもしろい。
女たらしとわかっていても、ライバルの存在を知り、牽制しあいながらニシノに近づく。家ではちあわせもしてしまう。
そうしているうちに隣室の2人も絡む。
これだけもてりゃいいねえ。源氏物語でも意識したのかなあ??
ただ、いいよと他人に薦める作品ではないのは確かだ。
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映画「オー!ファーザー」 岡田将生

2015-01-04 07:22:14 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「オー!ファーザー」は伊坂幸太郎の原作を岡田将生主演で映画化した2014年公開のコメディサスペンス映画だ。


年齢も性格もバラバラな4人の父親を持つ高校生が事件に巻き込まれ、父親たちが力をあわせて救出に挑む姿が描かれる。
伊坂幸太郎原作は数多く映画化されているが、今回は久しぶりである。奥山和由プロデューサーたっての頼みで映画化にこぎつけたらしい。岡田将生は以前「重力ピエロ」で出演している。正月見る映画が、シリアス、クライム系ばかりだったので、少しほのぼのとした作品を入れてみようと思った。サスペンスとはいえ、伊坂作品には根底に流れるやわらかいものがある。それは予想通りであった。

由紀夫(岡田将生)は、どこにでもいる普通の高校生。父親が4人いること以外は。彼が生まれる前、母親は二股どころか四股交際していた。妊娠した際、相手の男たち4人が“別れるくらいなら!”と一斉に父親として名乗りを上げたため、複雑な家庭環境が出来上がったのだ。


その秘密を知るクラスメイトは、多恵子(怱那汐里)ただ1人。父親が4人もいるので、やかましさは他の家の4倍だが、ありがたいと思うことも少なくない。博学の大学教授悟(佐野史郎)、武道が得意な体育教師勲(宮川大輔)、元ホストの葵(村上淳)、ギャンブラーの鷹(河原雅彦)と、父親たちの性格はバラバラだったが、どの父親も由紀夫に対する愛情は深く、毎日をそれなりに楽しく過ごしていた。

だが、ある事件が彼らの運命を大きく変える。発端は、サラリーマン風の男のカバンがすり替えられるのを由紀夫が目撃したことだった。それをきっかけに、何者かに監視され、自宅が荒らされる。さらに、謎めいた出来事が続く。仲の良かった同級生の不登校。街のフィクサー(柄本明)がハマったらしい詐欺。不可解な心中事件。熾烈化する知事選挙……。すべての出来事が繋がっていることに気付いた由紀夫が思い切った行動に出たところ、大変な事態に発展する……。


1.岡田将生
岡田将生の登場作品では「謝罪の王様」「四十九日のレシピ」のようなどちらかというとコメディ系の作品を見ている。背も高く二枚目俳優の彼だが、男は黙って。。というニヒルなキャラではないので起用しやすいのであろう。ここでは高校生役だが、不自然さは感じない。


その岡田将生に積極的にいい寄る女の子が怱那汐里である。いい男にいい寄る世話好きの女の子って会社にもいるよね。まさしく今回の岡田君のような男前がいると、ほっておけないとばかりに席のそばに寄っていってしばらく離れない。会社の管理者席に座ってよく見渡すと昔からこういう女の子がいるものだ。自分の会社では共学の高校から理工系の大学に行った理系女にこういうタイプ多いなあ。どちらかというと怱那汐里は違うタイプなのかもしれないが、ここでの怱那汐里はそういうキャラになりきっている。

2.4人のオヤジ
昔と違って今はDNA鑑定も精度が高まっている。本当は誰の子かということはわかるのではないか?そう思って映画を見ていたが、よく考えると4人に対して四股をかける女性がもう一人別の男とつき合っている可能性がないとは否定できない。調べるのは怖いよね。ここではその母親役の顔を見せない。ある意味正解だろう。この4人は誰もかれも気がいい。


女好きの葵から気のきいたセリフがあった。
女の子にモテるコツは「自慢話をしないこと、何でも女の子を先にすること。そして頼まれ事はよほどでない限り断らないこと」と、恋愛必勝法を伝授する。なるほど!おせっかいな怱那汐里から不登校の同級生のところへ行こうよと誘われた主人公が、一瞬ためらうが伝授された言葉が脳裏にこびりついているので結局いってしまう。

体育教師勲からは喧嘩のコツを教わる。
「大抵のやつは右利きだから、こっちから打ってくるだろ? そしたら頭を下げてパンチをよけて、左のボディブローをうつ。その後で右のアッパーだ。」なんてことを教わっているから、同級生が絡まれても、そのコツで相手をさばき主人公が助けてしまう。

人生の先輩が4人もいると、一緒に暮らすのが楽しいよね。

3.クイズ・ミリオネア
映画「スラムドッグ・ミリオネア」ではインド版「クイズミリオネア」が舞台であった。映画では、みのもんたのようなクセの強いアナウンサーが出ていたが、ここでは普通。みのは息子の不祥事以来パッシングを浴びて、日本版はしばらくみない。その代わりにこの映画で同じような設定のクイズ番組が重要な場面で出てくる。


佐野四郎が同居の家族とクイズ番組を見ている「晩年、中島敦が仕事のために住んだ国は?」とテレビの中で問われているのに、「パラオ」とあっさり答える。すげえとなるわけである。しかも予選を勝ち抜いて本番に出てしまう。テレビでのパフォーマンスが主人公を窮地から救うのだ。でもここで中島敦が出てくるとはビックリ。

若くして亡くなった中島敦は発狂して虎になった男を描いた「山月記」で有名である。自分は高校の教科書に今でも取り上げられている中島敦の作品が大好きだ。。彼が芥川賞の候補になった作品はパラオで書かれている。妙に親近感がわいたシーンであった。中島敦の問題は当然わかったが、映画の中のあとの問題はそうは簡単にはいかなかった。

娯楽として楽しむには良いんじゃないという映画だけど、くつろいで見れた。
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