映画が終了する瞬間、背筋がぞっとした。
たくさん映画見ているけど、こんなにゾクゾクすることはそうそうない。
エンディングが鮮烈だった。
「乱れる」は成瀬巳喜男監督の晩年の作品である。
東宝映画で相手役に加山雄三が起用されるが、高峰秀子がここでもいい。
時は昭和38年静岡清水の商店街で酒屋を営む高峰秀子は戦争未亡人、夫の母三益愛子と夫の弟加山雄三と一緒に暮らす。彼女は戦後バラックでスタートした酒屋を大きくしたが、最近は近くにできたスーパーの影響で売り上げも伸び悩み。近くの商店街の店もスーパーに客を奪われている。
加山は大学を出て就職したが、辞めて静岡に戻ってきた。毎日酒を飲んだり、近くの商店主と麻雀をしたりしてぶらぶらしている。
そんな時加山の姉草笛光子は高峰の縁談を持ってくるが高峰は乗り気でない。
これも草笛の主人と加山を経営者にして、現在の酒屋の場所にスーパーの計画をたくらんでいるからだ。この話を聞いて加山は高峰を新会社の役員じゃなきゃいやだという。実は11才下の義弟加山はずっと高峰に思いを寄せていたのであった。
あるときその思いを高峰に告白するが、高峰は拒絶する。。。。。
ストーリーは淡々と展開していくが、途中でいくつかの谷を作る。
主人公高峰の感覚は現代の感覚とは違う女性である。お嫁に行った先で主人が死んだあともずっとご奉公するような女性は現代では考えられないであろう。高峰らしい落ち着いた振る舞い、話し方がいい。ラストの表情もすごくいい。この映画では普段に着物を着ることが多い。ここに一時代前の感覚がある。三益愛子も明治の女といったお母さんをそれらしく演ずる。加山雄三もいつものブルジョアのにおいが抑えられ、できの悪い酒屋の息子を演じる。ダメ男の役ってあまりないのでは?小姑草笛光子も小姑らしいいやらしさがでていていい。
清水駅をでて東京を経由して東北に高峰が向かうシーンで、昔の東海道線が出てくる。なつかしい。母のふるさと静岡に行くときずいぶんとお世話になったからだ。
新幹線は国に大きな進歩をもたらしたが、映画だけをとってみると、新幹線以前の映画における列車の描写の方が味があっていいと思う。
停車駅で加山雄三がそばをすするシーンがある。こういうことも昔はできた。
同じ高峰秀子がでる「張り込み」の東海道線から九州に向かうシーン、黒澤映画の「天国と地獄」は新幹線ができる寸前のこだま号である。
成瀬の映画は時折見せるロケのシーンが非常に味がある。ここでも静岡清水の町並み、東北山形の銀山温泉いずれも素敵に撮っていた。成瀬の映画では「流れる」が一番と思っていたがこれが上回るようだ。
たくさん映画見ているけど、こんなにゾクゾクすることはそうそうない。
エンディングが鮮烈だった。
「乱れる」は成瀬巳喜男監督の晩年の作品である。
東宝映画で相手役に加山雄三が起用されるが、高峰秀子がここでもいい。
時は昭和38年静岡清水の商店街で酒屋を営む高峰秀子は戦争未亡人、夫の母三益愛子と夫の弟加山雄三と一緒に暮らす。彼女は戦後バラックでスタートした酒屋を大きくしたが、最近は近くにできたスーパーの影響で売り上げも伸び悩み。近くの商店街の店もスーパーに客を奪われている。
加山は大学を出て就職したが、辞めて静岡に戻ってきた。毎日酒を飲んだり、近くの商店主と麻雀をしたりしてぶらぶらしている。
そんな時加山の姉草笛光子は高峰の縁談を持ってくるが高峰は乗り気でない。
これも草笛の主人と加山を経営者にして、現在の酒屋の場所にスーパーの計画をたくらんでいるからだ。この話を聞いて加山は高峰を新会社の役員じゃなきゃいやだという。実は11才下の義弟加山はずっと高峰に思いを寄せていたのであった。
あるときその思いを高峰に告白するが、高峰は拒絶する。。。。。
ストーリーは淡々と展開していくが、途中でいくつかの谷を作る。
主人公高峰の感覚は現代の感覚とは違う女性である。お嫁に行った先で主人が死んだあともずっとご奉公するような女性は現代では考えられないであろう。高峰らしい落ち着いた振る舞い、話し方がいい。ラストの表情もすごくいい。この映画では普段に着物を着ることが多い。ここに一時代前の感覚がある。三益愛子も明治の女といったお母さんをそれらしく演ずる。加山雄三もいつものブルジョアのにおいが抑えられ、できの悪い酒屋の息子を演じる。ダメ男の役ってあまりないのでは?小姑草笛光子も小姑らしいいやらしさがでていていい。
清水駅をでて東京を経由して東北に高峰が向かうシーンで、昔の東海道線が出てくる。なつかしい。母のふるさと静岡に行くときずいぶんとお世話になったからだ。
新幹線は国に大きな進歩をもたらしたが、映画だけをとってみると、新幹線以前の映画における列車の描写の方が味があっていいと思う。
停車駅で加山雄三がそばをすするシーンがある。こういうことも昔はできた。
同じ高峰秀子がでる「張り込み」の東海道線から九州に向かうシーン、黒澤映画の「天国と地獄」は新幹線ができる寸前のこだま号である。
成瀬の映画は時折見せるロケのシーンが非常に味がある。ここでも静岡清水の町並み、東北山形の銀山温泉いずれも素敵に撮っていた。成瀬の映画では「流れる」が一番と思っていたがこれが上回るようだ。