映画とライフデザイン

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マーラー  君に捧げるアダージョ

2011-12-18 09:11:42 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」は作曲家マーラーの不貞の妻に焦点を当てる作品だ。
映画「ベニスで死す」の主人公の作曲家はマーラーをモデルにしたと言われる。男色系かとおもったら、この映画を見るとそうでもなさそうだ。むしろかなり年下の妻に振りまわされるダメ男のマーラーと自由奔放な妻のそれぞれの奇行に焦点をあてる。
当然ながらバックの「マーラー」のシンフォニーは美しくオーストリアの歴史ある風景に調和する。


1910年夏、作曲中のマーラーに届いた衝撃的な一通の手紙。そこには、新進の建築家グロピウスから妻アルマへの熱烈な愛が綴られていた…。
世紀末ウィーンを代表する後期ロマン派の大作曲家であり、スター指揮者グスタフ・マーラー。その19歳年下の妻であり、類まれな美貌と音楽的才能で、 画家クリムトなど当時の芸術家たちを魅了したアルマ。誰もが羨む理想の夫婦であったが、その年の差と、マーラーがアルマに作曲を禁じたことで生じた亀裂が、 愛娘の死によって悪化してしまう。そして、アルマは療養先で知り合った 5歳年下のグロピウスに慰めを求める。その事実に困惑したマーラーは、休暇中の精神分析医フロイトの元を訪れ、 アルマとの愛と情熱、希望と苦悩、そして音楽に溢れた人生を語りはじめる。。。。


監督は「バグダッドカフェ」のパーシーアドロンである。現代アメリカの田舎町のカフェを舞台にした映画だ。黒人主人公とドイツ人女性の違和感が妙におもしろい。女の友情を描いた作品で、個人的には大好きである。その監督がつくるという興味深さに加えて、マーラーの音楽の調べに酔いしれたい思いもあった。

ただし、映画に流れるのは一貫してマーラーの妻の不貞ぶりだ。33歳と女ざかりの女優が演じるので、色仕掛け的色彩が強い。イタリア女性だけにフェロモンが画面中に発散される。実際の話をもとにしたのに、ストーリーは官能小説のようだ。その一歩で精神分析で有名なフロイトのカウンセリングを受けるマーラーがいかにも対照的だ。しかし、不倫がわかった後でもマーラーは彼女を捨てない。ひたすら彼女を見つめる。その目つきを見て「ベニスに死す」に映る主人公が美少年を見つめる視線にだぶってしまった。

マーラーとのかかわりは中学3年の時からだ。同級生の兄貴がマーラーが大好きだった。彼の家ではじめて聞いた時、躍動感のある曲をかけてくれた。最初は良さはわからなかったが、映画「ベニスに死す」でながれる交響曲5番の美しさに魅せられた。映画が好きな人で強い影響を受けた。この映画でも有名な5番のフレーズが出てくる。「ベニスに死す」ほど印象的に使われているわけではない。むしろ他の曲に焦点を合わせる。いずれもすばらしい。曲線が美しいウィーンの歌劇場でのロケやアルプスと思しき山々のバックも美しかった。
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