映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ラッシュ」

2014-02-23 17:41:32 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ラッシュ」を映画館で見た。ロンハワード監督の新作である。
これはなかなか良かった。実話と聞くとますます背筋がぞくぞくするノンフィクション映画だ。


カーレースの迫力がすごいとは聞いていたが、そればかりではない。
ジェームスハントとニキ・ラウダのライバル物語である。基本的にスポーツマンのライバル物語は幼少時から好きなので2時間じっくりと楽しめた。2人の性格、こだわりに焦点をあてている人間ドラマとしても見れる。2人の絶頂の場面だけでなく、落ち目乱調の場面、復活する感動の場面と見せ場が盛りだくさんだ。出来過ぎのフィクションのようなこんなすばらしい対決がこの世に存在していたことは知らなかった。

1976年8月のドイツF1レースでのレース前の光景が映し出される。
そこでは2人のレーサーが視線を合わせている。ジェームスハントとニキ・ラウダだ。
雨が降っているので、タイアの選択に各レーサーとも戸惑っており、他のレーサーの動きに敏感になっている。

続いて1970年に時間軸を戻す。
ジャームスハント(クリス・ヘムズワース)はF3の人気レーサーである。ナンパで女と見たらすぐに声をかけ、イタしてしまう。病院で知り合った彼女と付き合いながら活躍を続けていた。イギリスの貴族であるアレクサンダー・ヘスケス卿のレーシングチームに入って、タバコなどのスポンサーに頼らずにレースに出ていた。一方、ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)はオーストリアの実業家の家に生まれ、育ちがよかった。親の反対を受けながらもレーサーを目指し、多額の持参金つきで財政難のF1レーシングチームに入った。そこで、すぐさま車のメカの知識を活かして車を改造してスピードのあるレーシングカーを作りだす。ラップは大幅に短縮だ。周囲も彼に一目を置き、ニキのチームも強くなっていく。

やがて2人は互いにF1に参戦する。
75年にはニキ・ラウダはフェラーリがエースドライバーとなっていた。勝利を重ねて年間ワールドチャンピョンとなった
一方のジェームスハントはニキ・ラウダの活躍を横目で見ながら、虎視眈眈とトップを狙う。チーム・オーナーであるヘスケス卿の懐具合が悪化して、新しいスポンサーを探さなければならない状況に陥る。売り込みを続けた挙句、土壇場で「マクラーレン」のチームに入ることができた。ところが、妻との間は徐々に不仲になっていた。
翌76年のシーズンもニキ・ラウダは絶好調であった。徐々にポイントを重ねてトップを走っていた。一方ジェームスハントはリタイアとなるレースが続く。勝ったスペインGPも車体幅が若干広いということで後日失格。しかも、妻が俳優のリチャードバートンと付き合っているというゴシップがマスコミで広がる。結局離婚となるが、ツキに恵まれない不遇な状況だった。

そして映像はドイツGPのシーンに戻る。
もともとドイツのニュルンベルクのレース場は難コースとして有名だった。しかも、雨が降る中レースをするのは危険とニキ・ラウダは参戦するレーサー全員とミーティングをした。ニキ・ラウダの中止要請に対して、ジェームスハントは反対し、多数決で結局レースは実施されることになった。
しかし、レース中にニキ・ラウダの車は大破して炎上してしまう。400度の火を1分間浴びて彼は大やけどを負ってしまったのであるが。。。

ちょうど彼らがF1を走っているころは、自分史では最も自動車に関心がない時代であった。それなので、こんなライバル関係があることは知らない。村山対長島などの野球対決や今回のフィギュアのキムヨナ、浅田真央対決のようなライバル物語が存在する。どちらかというと、矢吹ジョー対力石徹のボクシングのライバル物語に近い気がしている。でもここまでのドラマティックなストーリーは珍しい気がする。シーズン途中まで不遇だったジェームスがニキの事故によって浮上、しかもニキが奇跡の復活を遂げる。

この復活自体ちょっと信じられないフィクションのような話だ。そして最終決着をつけるため2人は再度日本の「富士スピードウェイ」で対決する。うーん、しびれるなあ。

印象に残るのは
女好きのジェームスハントが自由奔放に遊びまわるシーン。彼は屈託なく明るい。先日「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でディカプリオ扮する主人公の遊び人ぶりが映し出されるが、それに匹敵する。レーサーというのは女にもてる。特に、ジェームスハントは気にいったら、どこにいてもすぐイタす。動物学者で素敵なエッセイを書く竹内久美子さん流に言うと「シンメトリーな男」なのだ。



ニキラウダがのちの妻と知り合うシーンもいい感じだ。ニキがある上流のパーティに誘われていった際、自分は合わないと先に帰ってしまう。その時に1人の美女に街まで送ってもらう。途中でニキは車の不調に気がついていたが、彼女は整備したばかりだと言いきる。でもニキの言ったとおりにエンストしてしまう。そこでヒッチハイクで通る車に助けてもらおうとするが、なかなか引っかからない。そこで彼女が手をあげると、車が止まる。彼女目当てかと思った2人の男は美女を無視して、「ニキ・ラウダがいる」と大騒ぎ。でも彼女は彼の存在を知らない。その後ニキガ普通に静かに運転しているのを見て、まさか彼がレーサーなんてわけないでしょと言ったら、ニキラウダが豪快に運転を始める。するとヒッチハイクで助けてくれた2人が大騒ぎ、彼女が唖然
このシーンなんかほのぼのしていいなあ


そしてニキラウダが復活する場面で、自分のテンションが高くなる。トップをとったわけではない。でもレース中の炎上から奇跡の復活を遂げて第4位だ。本当にすごい!しかも事故から40日ちょっとしかたっていないのだ。感動した。実在するニキ・ラウダには改めて称賛のエールを送りたい。

小学生のころ、街で暴走族が荒れた運転をしている話題になると、自分の担任の先生は「そんなにスピード出したいなら富士山に行けばいいんだ」とよく言っていた。レーシングカーと言うと富士スピードウェイと当時の子供たちは連想した。富士でF1のレースがあって、大事故になったのはテレビで繰り返し報道されていた。でもここに描かれているようなすごい悪条件でよくやったものだ。

いずれにせよ、途中だれることなく楽しめた。
コメント
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