映画とライフデザイン

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Netflix映画「ザ・コールデストゲーム」

2020-11-23 19:55:22 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ザ・コールデストゲーム」はポーランドのNetflix映画


「ザ・コールデストゲーム」はチェスの米ソ対決がストーリーの柱になっている。先日チェスをテーマにしたNetflix「クイーンズ・ギャンビット」がものすごく面白かったので、いきおいで観てみる。1962年のキューバ危機のころ、飲んだくれの元大学教授が米ソチェス大会に代理出場するために無理やりポーランドへ連れて行かれチェス対決の裏で繰り広げられている米ソエージェント同士の諜報戦に巻き込まれるという話である。

世界を揺るがしたキューバ危機の最中にのんきにチェスで争うなんて設定はいくら何でもありえない。でも、60年代西側スパイ映画ではソ連が悪者扱いになっていた。そこに出演するKGB職員のような顔立ちのソ連側登場人物がこの映画に映ると、いかにも冷戦中の米ソ対決スパイ映画らしい雰囲気があふれる。どっちが味方でどっちが敵だかわけがわからなくなり、戸惑う場面もあるが、いくつかの謎をつくってくれるので最後まで楽しめる。

マンスキー(ビル・プルマン)は数学専攻の大学教授であった。第二次世界大戦の核爆弾製造に関わり、後悔の念を持ち大学教授を降りてしまった。今ではマンスキーはニューヨークブルックリンの裏通りでポーカー賭博をしたり飲んだくれていた。いつものようにポーカーをやった後、バーに入ると見知らぬ女に声をかけられる。いやな感じなので外へ出るといきなり暴漢に襲われる。気がつくとポーランドの首都ワルシャワのアメリカ大使館に拉致されている。


ワルシャワで開催予定の米ソチェス大会で予期せずアメリカ代表が急死した。マンスキーはチェスが得意でアメリカ代表にも以前勝ったことがある。そこでマンスキーに白羽の矢がたつ。しかし、ワルシャワにいる米国大使館員より戦いとともに任務が与えられ、ソ連に潜入している米国のスパイから核の設計図があるマイクロフィルムを受け取るという任務も与えられる。

マンスキーはソ連代表との勝負に挑む。マンスキーは酒飲むと頭冴える性向があり、初戦に勝ってしまう。ソ連陣営はあ然とするが、気がつくと裏で繰り広げられる米ソ対決巻き込まれるのであるが。。。

1.キューバ危機
社会主義国として独立したキューバをめぐって、米ソ対決が強まっていた。1962年フルシチョフ率いるソ連はアメリカにむけて発射できる核爆弾の基地をキューバにつくろうとしていた。キューバ危機である。ケネディ大統領はカリブ海でキューバへの海上封鎖に踏み切り、フルシチョフは急反発する。一触即発の場面に第3次世界大戦が始まる可能性があると世界中が恐れていた。ワルシャワでのチェス大会とへ並行してドキュメンタリー的にその図式が説明される。


2.何でポーランド映画なの?
この映画がポーランドで作られたことに意義がある。世界史の教科書では1939年9月ナチスドイツがポーランドに侵攻して第二次世界大戦が始まったと強調される。しかし実情はソ連もポーランドに同じように侵略している。世界をあっと言わせた独ソ不可侵条約が侵攻の直前に締結されていたのだ。しかも、ポーランドでしたことはソ連の方がひどいことをやっている。戦後日本の左翼教育者による偏重教育でソ連のむごさが伝えられていない。

映画「エニグマ(記事)」でもこのことが語られる。映画化される「カティンの森」事件が有名である。戦後ソ連による支配が進んだポーランドであるが、相当な恨みがあるとみていいだろう。戦後のポーランドへのソ連のむごい支配は映画「残像(記事)」や映画「COLD WAR あの歌、2つの心(記事)」でも語られる。要はポーランドはソ連のことが大嫌いなんだ。基調は60年代の西側冷戦スパイ映画の様相でアメリカびいきだ。人相の悪いアメリカ大使館女職員もロシア人ぽいねえ。


3.チェスの米ソ対決
クイーンズギャンビットを見てチェスのことを調べているうちに、ソ連がチェスの世界大会で1972年にボビーフィッシャーにチャンピオンを譲るまでずっと勝ち続けていたことを知った。いくら米国チャンピオンを倒したことのある腕前のチェスプレーヤーでもソ連のチャンピオンにたいして一勝でもできるわけないと思ってしまうよね。米国びいきに見える映画だけど最終的にソ連に負けるだろうなあ。どうやってそうストーリーを運ぶんだろう。そんなことを途中考えていた。

3回戦目の対戦が終わってマンスキーがトイレに駆け込むと、トイレのタンクに酒が隠してある。それを飲み干したときにソ連の軍服を着た男が入ってくるシーンにはどきっとする。その後でアメリカ大使館の女性エージェントが入ってくる。これは味方なんだろうなあと思ったそのときに、いかにもロシアの悪者という感じの格闘技のヒョードルみたいな強そうな奴が入ってきて味方とおぼしき2人を手込めにする。ドキドキだ。こんなハラハラする面もあるから悪くはないよ。
コメント
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