映画「AWAKE」は2020年日本公開
人工知能とプロ棋士との対決には以前から関心を持っている。「AWAKE」は公開後スケジュール合わず観れなかったが、早速Netflixのラインアップに入ってきて助かる。
「AWAKE」は将棋の奨励会からドロップアウトした青年がCPU将棋の開発に進路を変えて、奨励会時代ライバルだった棋士と戦うという話である。人工知能が将棋やチェスと対決する話は好きな方なので、ストーリーに没頭する。敗者復活戦的な話というのは、大抵、下から這い上がった方のサクセスストーリーが多い。しかし、この場合は実話としてのCPU将棋の弱点にプロ棋士が分かっていても突くのかという論点を絡ませている。ただ、あくまでフィクションなので、ストーリーにもうひとひねりあってもよかったのに感じさせる映画である。
英一(吉沢亮)は、かつて将棋連盟の棋士養成機関である奨励会で棋士を目指していた。長き奨励会生活の末、英一は入会時からライバルだった陸(若葉竜也)に残留がかかった試合で敗れ、プロ棋士への道を閉ざされる。
そして、普通の学生に戻るべく大学に入学したが、周囲となじめない学生生活を過ごしていた。ある日、英一は父親がパソコンで遊んでいたコンピュータ将棋が指す独創的手筋に目を奪われる。CPU将棋のプログラミングをやってみたいと思い、英一は大学の人工知能研究会の部室に飛び込む。
研究会の主のような先輩・磯野(落合モトキ)から、プログラミングの基礎本を全部暗記しろと渡され、CPUの道に入り込む。気がつくと、強いCPU将棋を作りたいとプログラム開発にのめり込んでいた。徐々にソフトの形ができていった数年後、自ら生み出したプログラムをAWAKEと名付けた。CPU将棋同士の他流試合でも勝てるようになってくる。CPU将棋の大会で優勝したawekeは、棋士との対局である電王戦の出場を依頼される。その相手棋士が若手新鋭として活躍するかつてのライバル、陸と知ったのであるが。。。
⒈人工知能と将棋
シンギュラリティには関心があるし、人工知能の開発者が書いた本山本一成「人工知能はどのように名人に超えたのか」は読んだことある。わかりやすく人工知能が理解できた。まず、CPUは考えるだけの展開を探索し、局面を評価する。評価の良いものから、順番に次の展開を探索する。(山本 p27)この映画でも、勝負でまずかったところから評価のポイントを変えていくようなセリフがある。でも、機械学習と言われた時代から、ディープランニングという進化した姿に変わっているのだ。
2014年以前はプロ棋士が打っていた手をお手本に評価の精度を向上させていた「教師あり学習」だったのが、教師を必要としない「強化学習」により、実際にあり得そうな局面で6〜8手進めてみて、結果が良かったのか悪かったのかを調べ、その結果が良かったかどうかをフィードバックして、評価の部分を微調整する。そうした積み上げで現在では約一兆の局面を調べていく。そうしていくうちに人間同士ではあり得ない手筋が出てくる。(山本 pp.123-128)
まあ、すごい話である。その後、プロ棋士の佐藤名人が2017年に敗北する訳である。
⒉チェスの世界チャンピオンとIBMコンピュータとの対決
もう随分と経つが、この対決を新聞で読んだときには、興奮した。人間は要らぬ感情が入ってしまい、正確さを欠くものである。コンピュータは億の手筋から選択するという当時の記事を見て、これができればビジネスで色んなことに応用できるなとすぐさま思ったもんだ。でも、結局何もできなかった。
当時のチェス世界チャンピオン カスパロフの書いた体験記は実に面白い。IBMチームとの凄まじい心理戦という印象も受けた。カスパロフもCPUの裏をつく。チェスだけでなく、将棋や碁もいずれはCPUに軍配が上がる様になるのでは?でも複雑なゲームだからそうは簡単に負かせないだろうと当時言われていた。でも、CPUが人間を凌駕する時代はすでに来てしまっている。
⒊父子家庭
主人公英一は父子家庭である。母親がなぜいないのかは語られない。小学校の時、父子一緒に将棋盤で指すのがスタートで、町の将棋道場で無敵になり、そう簡単には入れない難関の奨励会に入る。当然、日本中の腕自慢が集まるわけで、そこを抜け出すのは容易でない。結局ドロップアウトしてしまう訳だ。
21才で入った大学では酒場で他の学生と大げんか、父親が警察へ引き取りに向かう。でも、そんなことが続いても父親は横で優しく見守る。妙に説教じみたことは一切言わない。他の人はどうこの映画を見るかわからないが、この父親が見ていて良い感じだった。
⒋超越した頭脳の持ち主
伝説の受験指南書の著者有賀ゆうが著書「スーパーエリートの受験術」の中でこう言っている。「世の中には頭の良い人っている。頭の良し悪しは関係ないと言っている人は屈辱的な思いをしたことがない人だ。」能力でかなわないと思ったのは、小学生までに頭をフル回転した人として「灘、御三家の出身者、将棋の強い人、そろばんの有段者」という人たちをあげている。灘や御三家の全員がすごいわけではないだろうが、地方公立高校出身で東大理3出の有賀ゆうの言うことには経験としての実感がこもる。そういう一歩抜けた頭脳レベルの奨励会出身者が将棋ソフトを本気つくったらそれは凄いだろうと思わせる話でもある。
人工知能とプロ棋士との対決には以前から関心を持っている。「AWAKE」は公開後スケジュール合わず観れなかったが、早速Netflixのラインアップに入ってきて助かる。
「AWAKE」は将棋の奨励会からドロップアウトした青年がCPU将棋の開発に進路を変えて、奨励会時代ライバルだった棋士と戦うという話である。人工知能が将棋やチェスと対決する話は好きな方なので、ストーリーに没頭する。敗者復活戦的な話というのは、大抵、下から這い上がった方のサクセスストーリーが多い。しかし、この場合は実話としてのCPU将棋の弱点にプロ棋士が分かっていても突くのかという論点を絡ませている。ただ、あくまでフィクションなので、ストーリーにもうひとひねりあってもよかったのに感じさせる映画である。
英一(吉沢亮)は、かつて将棋連盟の棋士養成機関である奨励会で棋士を目指していた。長き奨励会生活の末、英一は入会時からライバルだった陸(若葉竜也)に残留がかかった試合で敗れ、プロ棋士への道を閉ざされる。
そして、普通の学生に戻るべく大学に入学したが、周囲となじめない学生生活を過ごしていた。ある日、英一は父親がパソコンで遊んでいたコンピュータ将棋が指す独創的手筋に目を奪われる。CPU将棋のプログラミングをやってみたいと思い、英一は大学の人工知能研究会の部室に飛び込む。
研究会の主のような先輩・磯野(落合モトキ)から、プログラミングの基礎本を全部暗記しろと渡され、CPUの道に入り込む。気がつくと、強いCPU将棋を作りたいとプログラム開発にのめり込んでいた。徐々にソフトの形ができていった数年後、自ら生み出したプログラムをAWAKEと名付けた。CPU将棋同士の他流試合でも勝てるようになってくる。CPU将棋の大会で優勝したawekeは、棋士との対局である電王戦の出場を依頼される。その相手棋士が若手新鋭として活躍するかつてのライバル、陸と知ったのであるが。。。
⒈人工知能と将棋
シンギュラリティには関心があるし、人工知能の開発者が書いた本山本一成「人工知能はどのように名人に超えたのか」は読んだことある。わかりやすく人工知能が理解できた。まず、CPUは考えるだけの展開を探索し、局面を評価する。評価の良いものから、順番に次の展開を探索する。(山本 p27)この映画でも、勝負でまずかったところから評価のポイントを変えていくようなセリフがある。でも、機械学習と言われた時代から、ディープランニングという進化した姿に変わっているのだ。
2014年以前はプロ棋士が打っていた手をお手本に評価の精度を向上させていた「教師あり学習」だったのが、教師を必要としない「強化学習」により、実際にあり得そうな局面で6〜8手進めてみて、結果が良かったのか悪かったのかを調べ、その結果が良かったかどうかをフィードバックして、評価の部分を微調整する。そうした積み上げで現在では約一兆の局面を調べていく。そうしていくうちに人間同士ではあり得ない手筋が出てくる。(山本 pp.123-128)
まあ、すごい話である。その後、プロ棋士の佐藤名人が2017年に敗北する訳である。
⒉チェスの世界チャンピオンとIBMコンピュータとの対決
もう随分と経つが、この対決を新聞で読んだときには、興奮した。人間は要らぬ感情が入ってしまい、正確さを欠くものである。コンピュータは億の手筋から選択するという当時の記事を見て、これができればビジネスで色んなことに応用できるなとすぐさま思ったもんだ。でも、結局何もできなかった。
当時のチェス世界チャンピオン カスパロフの書いた体験記は実に面白い。IBMチームとの凄まじい心理戦という印象も受けた。カスパロフもCPUの裏をつく。チェスだけでなく、将棋や碁もいずれはCPUに軍配が上がる様になるのでは?でも複雑なゲームだからそうは簡単に負かせないだろうと当時言われていた。でも、CPUが人間を凌駕する時代はすでに来てしまっている。
⒊父子家庭
主人公英一は父子家庭である。母親がなぜいないのかは語られない。小学校の時、父子一緒に将棋盤で指すのがスタートで、町の将棋道場で無敵になり、そう簡単には入れない難関の奨励会に入る。当然、日本中の腕自慢が集まるわけで、そこを抜け出すのは容易でない。結局ドロップアウトしてしまう訳だ。
21才で入った大学では酒場で他の学生と大げんか、父親が警察へ引き取りに向かう。でも、そんなことが続いても父親は横で優しく見守る。妙に説教じみたことは一切言わない。他の人はどうこの映画を見るかわからないが、この父親が見ていて良い感じだった。
⒋超越した頭脳の持ち主
伝説の受験指南書の著者有賀ゆうが著書「スーパーエリートの受験術」の中でこう言っている。「世の中には頭の良い人っている。頭の良し悪しは関係ないと言っている人は屈辱的な思いをしたことがない人だ。」能力でかなわないと思ったのは、小学生までに頭をフル回転した人として「灘、御三家の出身者、将棋の強い人、そろばんの有段者」という人たちをあげている。灘や御三家の全員がすごいわけではないだろうが、地方公立高校出身で東大理3出の有賀ゆうの言うことには経験としての実感がこもる。そういう一歩抜けた頭脳レベルの奨励会出身者が将棋ソフトを本気つくったらそれは凄いだろうと思わせる話でもある。