映画とライフデザイン

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映画「空に住む」 多部未華子&青山真治

2021-05-15 20:54:23 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「空に住む」は2020年公開の青山真治監督作品


都内映画館も都の矛盾だらけのご指導でやったりやらなかったり、ついついこっちもAmazonやNetflix頼みとなる。いくつか見た中で自分とテイストがあったのが「空に住む」である。青山真治監督作品には好きなのも嫌いなのもある。「空に住む」も独特のおっとりしたムードが流れる。展開と雰囲気自体は自分の頭にすんなり馴染む。キネマ旬報と映画芸術のベストテンに共通して入る作品はよくできた作品が多いと何度も言ったが、「空に住む」もその1つである。

都会のタワーマンションに突如1人で暮らすことになった編集者の女の子が同じタワーマンションに住む超有名俳優と偶然知り合い接近する顛末である。大人のおとぎ話のような流れも持つ。ファンタジーではない。それでも、こんなこと夢物語で絶対ありえないだろうとは思わせないストーリー展開だ。


郊外の小さな出版社に勤める直実(多部未華子)は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父(鶴見辰吾)夫婦の計らいで大都会を見下ろすタワーマンションの高層階に住むことになった。

長年の相棒・黒猫ハルとの暮らし、ワケアリ妊婦の後輩(岸井ゆきの)をはじめ気心のしれた仲間に囲まれた職場、それでも喪失感を抱え、浮遊するように生きる直実の前に現れたのは、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則(岩田剛典)だった。ひょんなきっかけで2人は急接近するのであるが。。。


⒈偶然の出会い
たまたまエレベーターで何回か出会って会話を交わすようになる。マンションの外には大きな広告看板に時戸の顔がクローズアップされている。話すようになり、直実も有名俳優だと気づくと、ちょっとビビってしまう。そんな時戸から「オムライス」が食べたいと言われて、時戸が直実の部屋に初めて入るきっかけができる。会話の相性もいい。そんな感じで徐々に接近しても、直実は自慢することなく誰にも言わない。自分だけの秘密の恋を育んでいる。


⒉多部未華子と直実
演じる直実のキャラクターはわりと好感が持てる。突如両親が交通事故で亡くなってしまう。父の弟の叔父さんは姪を心配して、所有のタワーマンションに住んでみたらと言われて住むけど、他の居住者のようなセレブではない。偉そうに突っ張るわけでもない。

直実は両親が亡くなっても泣かなかったという。勤めている出版社も地味だ。でも、その出版社には個性的な人物が大勢いる。みんなお金儲けには縁遠そうな人物ばかりだ。

とは言っても、別の男との間でできた子をはらんでいるずるい若妻の後輩もいて相談相手になっている。叔父さんには美人の妻がいるが、子どもがいないので、やたらつきまとう。直実には少々うっとうしい存在になりつつある。


そういう対となる女性を青山真治が映像に放つ。主人公直実の存在感が浮き彫りになる。実際にこんな女の子だったらスター俳優も好きになってしまうのもよくわかるキャラクターになっている。

⒊青山真治
久々の長編映画である。多摩美大の教授という職もあるせいか寡作である。被差別エリアの家庭環境が複雑な人間関係を描いた共喰い荒井晴彦の脚本が引き立ち、きわどい作品だった。今回はどちらかというと、故三浦春馬主演の「東京公園と同じようなおっとりしたテイストを持つ。でも、その前の「サッドヴァケイション」は意味不明であんまり好きじゃないなあ。
コメント
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