映画とライフデザイン

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映画「ヤクザと家族」綾野剛&舘ひろし

2021-05-09 17:25:32 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「ヤクザと家族」は2021年公開の日本映画


公開時に観ようか迷った映画である。これも早々にNetflixのラインナップに入ってきた。地方都市でぐれていた青年がヤクザの道に進み、暴力団抗争に巻き込まれて懲役刑を受ける。出所後、反社への取締りで以前の勢いを失った組に戻っていく姿を描く。反対勢力との激しいドンパチに焦点を当てるというよりも、世間の反社への風当たりの強さの中でギリギリしのいでいく暴力団員や堅気になった元組員の姿をクローズアップする。

思ったよりも面白かった。飽きずに見れた。

主人公の綾野剛はここでも安定した演技を見せる。舘ひろし演じるヤクザの親分も悪くはない。化学コンビナートがある海に近い架空の町煙崎市が舞台だ。映画のエンディングロールで富士市が舞台だとわかるが、途中では街を特定させる要素はない。

富士市が舞台であれば、富士山が映し出されていても良さそうだが、映ってはいない。そりゃそうだよね。今のご時世ではヤクザの抗争が繰り広げられる街とは全国に言われたくないよね。でも、井筒監督の「無頼静岡が舞台だったな。静岡にそういう素地があるのであろうか?

1999年、派手な金髪に真っ白な上下で全身を包んだ19歳の山本賢治(綾野剛)は、悪友の細野(市原隼人)・大原(二ノ宮隆太郎)と連れ立っては、その日暮らしの悪さをしていた。ヤクザの息のかかった売人から覚せい剤を横取りしたりしていた。


そんなある日、山本は行きつけの焼肉屋に居合わせた柴咲組組長・柴咲博(舘ひろし)を中国系のチンピラの襲撃から救った。その後柴咲にお礼で呼び出され組に来ないかと誘われたが断る。店を営む愛子(寺島しのぶ)の亡き夫は柴咲の弟分でもあった。後日、山本と仲間が侠葉会の若頭・加藤(豊原功補)と若頭補佐の川山(駿河太郎)によって報復され港に拉致されリンチを受ける。たまたま先日柴咲組長からもらった名刺を見て、その時点では組同士手打ちしていたのでかろうじて助かる。


一命を取り留めた山本は柴咲と再度会う。柴咲はがケン坊と呼んで優しく手を差し伸べてくれたことをきっかけに、二人は親子の盃を交わし、山本はヤクザの世界へ足を踏み入れた。

2005年、柴咲組の一員となった山本は、細野や大原とヤクザの世界でのし上がっていた。そんな中、街を二分する因縁の相手・侠葉会との争いは激化していた。その日も柴咲組の配下にあるキャバクラの店内で勘定高いとイチャモンつけ揉めていた川山と山本とがやり合いになる。その時、傷の手当てをしてくれたホステスの由香(尾野真千子)に、山本は惚れ込み、堅気の学生だった由香にむりやり近づいていく。


しかし加藤の差し金で車に乗っていた柴咲が襲われ、代わりに運転手だった舎弟の大原が犠牲となる。緊張の場面となったが、刑事・大迫(岩松了)はこの件で復讐しないよう柴咲組に釘を刺す。
それでも山本は、子分の敵討ちと柴咲組を守るために、加藤たちがいる店へ単身乗り込む。川山の背後から拳銃を構えたとき、包丁を握った柴咲組若頭の中村(北村有起哉)がその横を追い抜いたのであるが。。。

2019年、山本が獄中から出てきたのは14年後。そこで山本を待ち受けていたのは、暴対法の影響で存続も危うい状態に一変した柴咲組の姿だった。組長もがんを患い元気がなく、シノギにも四苦八苦していた。一方で、愛子の息子・翼(磯村勇斗)は22歳になり、ヤクザと一線を置きながら半グレの道に入り、夜の町を仕切っていた。子どものころから知っている山本を慕っていたのであるが。。。


ヤクザ映画のテイストも変わってきたと言っても良いだろうか?井筒和幸監督「無頼」は長期にわたる時代の流れを映し出すが、この映画はスタートが1999年と比較的最近だ。「無頼」でも反社への取締りが厳しくなってきたことが軽く取り上げられていたが、ここでは露骨だ。ある意味、西川美和監督「すばらしき世界の題材も役所広司演じる主人公が元ヤクザである。落ちぶれたヤクザを取り上げるのが一つのトレンドになるかもしれない。

井筒監督「無頼」は登場人物が多すぎで、訳がわからない感じであった。ここでは登場人物を妙に広げすぎず、わかりやすい。題材的にも、堅気になった市原隼人やムショに入る前に関係を持って今は公務員になっている尾野真千子を絡ませる。ヤクザと一線を置きながら、実質はそのものの半グレの青年も取り上げているので、現在の世相でありえそうな話としている。両作品を単純に比較すると、この作品が良くできているのがわかる。
コメント
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