映画とライフデザイン

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映画「百花」 原田美枝子&菅田将暉

2022-09-11 19:59:25 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「百花」を映画館で観てきました。


百花は映画プロデューサー川村元気の原作をもとに菅田将暉と原田美枝子が親子役を演じる新作である。川村元気は自らメガホンを持つ。原田美枝子は自分と同世代,新作で認知症の母親役を演じるのを予告編で見ていたので、すぐさま映画館に向かう。認知症がテーマなのだからか、ちょっとこの人たち映画をみて大丈夫なの?と思わせるような杖をついた老人がやけに目立つ。

葛西泉(菅田将暉)はレコード会社勤務で、同僚の香織(長澤まさみ)と結婚していた。ピアノ教師だった母親百合子(原田美枝子)は徐々に認知症の症状がひどくなり時折行方不明になって泉を心配させていた。ヘルパー雇っても状況は変わらず、いよいよ施設に入所せざるをえない段階となる。荷物整理をしていた泉が小学校の時母親が突然家を出て行った秘密を知るという展開だ。


詳細は知らされないが、産まれた時から母子で暮らしている。にもかかわらず、母親は家を飛び出し男のいる神戸に行ってしまう。とても良い母親とは言えない。90年代半ばと現代と時間を交互にしながら、映像は進む。長回しが多い。ワンシーンワンショットで極めてむずかしい条件である。菅田将暉,原田美枝子いずれも好演である。美しい映像を見せてくれる。

しかしながら,映像の内容はともかくとして,内容は薄い。ストーリーはあまりに単純すぎて深みがない。想像していたよりも感涙にむせぶ状況にはならなかった。「半分の花火が見たい。」と言う母親百合子の希望を叶えてやろうとする息子の気持ちというのが映画のキーセンテンスである。その伏線は最終段階になって回収される。


ただいくつか出てきている場面の伏線が回収されてないじゃないかと思わざるを得ない中途半端なストーリー立てになっている。できてしまった男永瀬正敏の存在もいつの間にか尻切れトンボだ。映画を104分でまとめるというのは良い。ただ、ワンショットワンシーンにこだわりすぎて,肝心なことを忘れてしまっている気がした。

原田美枝子は自分と同じ時代に青春を過ごした。でもずっと大人で大地の子守唄(記事)」で若き日に気前よく脱いで我々をびっくりさせた。その原田美枝子が認知症の役柄を演じている。スーパーで誰かの幻影を見て,そのまま外に飛び出して万引きに間違えられたり,大人になった息子を探しに真っ暗な小学校の中に飛び込んで行ったり、いずれはこんなふうになってしまうのかとふと心配してしまう。


映像の時代設定を現在とすると,神戸にいるときに震災に遭遇するとすると、95年での原田美枝子の年齢設定は30代半ばすぎである。その年代の役柄もそのまま今回演じている。まさか娘の石橋静河という訳にはならないよね。色々と工夫して映したと思うが,よくがんばったなと同世代のよしみでエールを送りたい。
コメント
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