映画「アメリカンスナイパー」を映画館で見てきました。
クリントイーストウッドの新作なので、当然のように足を運ぶ。アメリカでは3億ドルを超える戦争映画としては史上空前のヒットだという。イラク戦線に従事する射撃の名手の話である。イーストウッドの一連の名作ほど娯楽の要素は少なかった。しかも、この題材は平和ボケしている日本人の感覚ではどうしても理解できない要素があると思う。アメリカで大ヒットするのには、日本と違う背景があるからなのかと感じた。「ミリオンダラーベイビー」の時のようにおっかけリーチでイーストウッドがこの作品を出してきたのでアカデミー賞もひょっとすると!?とも思ったが、別の作品にさらわれた。たしかにいい映画だけど、作品の出来はイーストウッドの他のオスカー受賞作品ほどではない。
イラク戦線で射撃の準備に入っているブラッドリークーパー演じるクリス・カイルをいきなり映す。民間人の母親と子供の2人がおかしな動きをしているのに注目している。どうも武器をもっているようだ。クリスの狙いが定まったところで、主人公の小さい頃の姿を映しだす。そのルーツが彼の人となりを作り上げていて、関心をもってみれた。18kg体重を増やしたブラッドリークーパーがいい俳優に育っているなあと感じた。
米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、イラク戦争に狙撃手として派遣されたクリス(ブラッドリー・クーパー)。その任務は“どんなに過酷な状況でも仲間を必ず守ること”。狙撃精度の高さで多くの仲間を救ったクリスは “レジェンド”の異名を轟かせるまでになる。しかし、敵の間にもその腕前が知れ渡り、“悪魔”と恐れられるようになった彼の首には18万ドルの賞金が掛けられ、彼自身が標的となってしまう。
一方、家族はクリスの無事を願い続けていた。家族との平穏な生活と、想像を絶する極限状況の戦地。愛する家族を国に残し、終わりのない戦争は幾度となく彼を戦場に向かわせる。過酷なイラク遠征は4度。度重なる戦地への遠征は、クリスの心を序々に蝕んでゆく……。(作品情報より)
1.祖国への思い
戦前の日本は「お国のために」「天皇のために」と小さい頃から教育されていた。いやいやながら戦場に向かった人間も数多かったと思うが、自ら志願した兵隊さんも数多くいただろう。この映画の主人公クリスは心から祖国アメリカのため軍に従事したいと考えている青年である。こんな青年は今の日本にはいないと思う。シールドの厳しい訓練に耐え、最前線に従事する。死と背中合わせである。思わずすげえなあと感じてしまう。
イーストウッドが厭戦的映画としてつくったのにもかかわらず、アメリカでは好戦的な映画と評価する人も多く論戦になっているという。自分からすると、祖国のために自ら進んで兵隊になろうとするその姿が今の日本人からはまったく理解できないと感じてしまう。
2.物語的構造
ノンフィクションでクリスの伝記をもとにしてつくられたのであろうが、イラクの現地に狙撃の名手がいたりして、強力な敵の存在は物語的な要素を強めている。圧倒的に勝ちまくるわけでなく、訓練されつくしているシールズの部隊の身内からも負傷者や死亡者が出ていく。しかも、強い砂嵐のもと、ビルの周囲を現地部隊に囲まれ絶体絶命のピンチ。なかなかスリリングだ。
3.印象に残るシーン
アメリカ軍の味方的な存在だった現地人に夕食に誘われ、シールズ軍の兵士がくつろいでいるときに、クリスが現地人のひじに傷を発見して、こっそりと彼の家の中で武器を探すシーンだ。ヒッチコック的ドキドキ感がなんとも言えずいい感じだ。イラク側の狙撃名手の追いかけ方もうまかった。
最初に狙いを定めた母子はクリスに狙撃されてしまったが、クリスに狙撃された男が持っていた武器を小さい子供がもって射撃しようとしているところをクリスが狙いを定め、武器を捨てろ捨てろと言いながら、子供が武器を置いてその場を離れ、撃てなくてよかったとつぶやくシーンも印象に残る。
先入観なしに映画を見たので、最後の場面は「何これ?」という感じだった。ちょっとビックリだった。
音声のないエンディングロールも印象的。クリスに対しての黙とうをささげた。
(参考作品)
クリントイーストウッドの新作なので、当然のように足を運ぶ。アメリカでは3億ドルを超える戦争映画としては史上空前のヒットだという。イラク戦線に従事する射撃の名手の話である。イーストウッドの一連の名作ほど娯楽の要素は少なかった。しかも、この題材は平和ボケしている日本人の感覚ではどうしても理解できない要素があると思う。アメリカで大ヒットするのには、日本と違う背景があるからなのかと感じた。「ミリオンダラーベイビー」の時のようにおっかけリーチでイーストウッドがこの作品を出してきたのでアカデミー賞もひょっとすると!?とも思ったが、別の作品にさらわれた。たしかにいい映画だけど、作品の出来はイーストウッドの他のオスカー受賞作品ほどではない。
イラク戦線で射撃の準備に入っているブラッドリークーパー演じるクリス・カイルをいきなり映す。民間人の母親と子供の2人がおかしな動きをしているのに注目している。どうも武器をもっているようだ。クリスの狙いが定まったところで、主人公の小さい頃の姿を映しだす。そのルーツが彼の人となりを作り上げていて、関心をもってみれた。18kg体重を増やしたブラッドリークーパーがいい俳優に育っているなあと感じた。
米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、イラク戦争に狙撃手として派遣されたクリス(ブラッドリー・クーパー)。その任務は“どんなに過酷な状況でも仲間を必ず守ること”。狙撃精度の高さで多くの仲間を救ったクリスは “レジェンド”の異名を轟かせるまでになる。しかし、敵の間にもその腕前が知れ渡り、“悪魔”と恐れられるようになった彼の首には18万ドルの賞金が掛けられ、彼自身が標的となってしまう。
一方、家族はクリスの無事を願い続けていた。家族との平穏な生活と、想像を絶する極限状況の戦地。愛する家族を国に残し、終わりのない戦争は幾度となく彼を戦場に向かわせる。過酷なイラク遠征は4度。度重なる戦地への遠征は、クリスの心を序々に蝕んでゆく……。(作品情報より)
1.祖国への思い
戦前の日本は「お国のために」「天皇のために」と小さい頃から教育されていた。いやいやながら戦場に向かった人間も数多かったと思うが、自ら志願した兵隊さんも数多くいただろう。この映画の主人公クリスは心から祖国アメリカのため軍に従事したいと考えている青年である。こんな青年は今の日本にはいないと思う。シールドの厳しい訓練に耐え、最前線に従事する。死と背中合わせである。思わずすげえなあと感じてしまう。
イーストウッドが厭戦的映画としてつくったのにもかかわらず、アメリカでは好戦的な映画と評価する人も多く論戦になっているという。自分からすると、祖国のために自ら進んで兵隊になろうとするその姿が今の日本人からはまったく理解できないと感じてしまう。
2.物語的構造
ノンフィクションでクリスの伝記をもとにしてつくられたのであろうが、イラクの現地に狙撃の名手がいたりして、強力な敵の存在は物語的な要素を強めている。圧倒的に勝ちまくるわけでなく、訓練されつくしているシールズの部隊の身内からも負傷者や死亡者が出ていく。しかも、強い砂嵐のもと、ビルの周囲を現地部隊に囲まれ絶体絶命のピンチ。なかなかスリリングだ。
3.印象に残るシーン
アメリカ軍の味方的な存在だった現地人に夕食に誘われ、シールズ軍の兵士がくつろいでいるときに、クリスが現地人のひじに傷を発見して、こっそりと彼の家の中で武器を探すシーンだ。ヒッチコック的ドキドキ感がなんとも言えずいい感じだ。イラク側の狙撃名手の追いかけ方もうまかった。
最初に狙いを定めた母子はクリスに狙撃されてしまったが、クリスに狙撃された男が持っていた武器を小さい子供がもって射撃しようとしているところをクリスが狙いを定め、武器を捨てろ捨てろと言いながら、子供が武器を置いてその場を離れ、撃てなくてよかったとつぶやくシーンも印象に残る。
先入観なしに映画を見たので、最後の場面は「何これ?」という感じだった。ちょっとビックリだった。
音声のないエンディングロールも印象的。クリスに対しての黙とうをささげた。
(参考作品)
父親たちの星条旗 | |
アメリカ側から見た硫黄島の戦い | |