映画とライフデザイン

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映画「ハドソン川の奇跡」 クリントイーストウッド&トムハンクス

2016-09-25 16:17:14 | クリントイーストウッド
映画「ハドソン川の奇跡」を映画館で見てきました。


クリントイーストウッドの新作は、全エンジン停止のトラブルでやむなく旅客機をニューヨークハドソン川に着地させ、乗員乗客全員155名を助けたパイロットの物語である。パイロットをトムハンクスが演じる。この顛末をテレビで見てアッと驚いたし、全世界で報道されたので、誰もが知っている話だろう。しかし、運輸当局よりその判断が正しかったのかと操縦士が事情徴収を受けていることを知っている日本人はほとんどいないと思う。


数多いイーストウッド映画の中で、実話に基づく作品はいくつかある。ドキュメンタリータッチではあるものの、当代きっての名優トムハンクスが奇跡の救出劇をしたにもかかわらず、疑いをもたれてしまうことへのパイロットの苦悩を実にうまく演じている。原題の「sully」は機長のニックネームだ。イーストウッド作品の中では小品に位置されるであろう作品だが、見る価値は十分ある。

2009年1月15日ニューヨークのラガーディア空港をUSエアウェイズ1549便の旅客機が離陸した。離陸後まもなく鳥の大群がエンジンに飛び込み、全エンジンが完全停止してしまうトラブルが発生する。サレンバーガー機長(トム・ハンクス)は、管制塔からは別の空港への着陸の指示が出ていたにもかかわらず、状況を判断してハドソン川への着水を決意する。スカイルズ副操縦士(アーロン・エッカード)と巧みに連携したことにより、ハドソン川に無事着水ができた。


「乗員乗客155名全員無事」という奇跡の生還であった。着水後も、機長は浸水する機内から乗客が避難するのを指揮してから脱出した。この事実は全世界に報道され、サレンバーガー機長は国民的英雄として称賛を浴びる。しかし、空港に戻る選択を選ばなかった彼の判断を巡って、事故直後から国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていたのであるが。。。


事故の状況をまず映像で映すのかと思ったら、違っていた。事故後厳しい追及を受けて、機長が苦悩するシーンからスタートする。「片側のエンジンは動いていたのではないか」、「シミュレーションをしたらラガーディア空港に戻れているぞ」など尋問を受けるシーンが続く。一般市民からは至る所で行動を称賛されるのに、事故調査委員会の追及はきびしい

1.クリントイーストウッドの皮肉
クリントイーストウッド「ダーティハリー」の頃から体制的、官僚的なものへの反発を表現してきた。異常犯罪者を取り締まることができず、街にのがして治安をよくしていないサンフランシスコ警察への反発が「ダーティハリー」の中で読みとれる。西部劇であれば、自警団のような集団が本当のワルを抹殺するのに、何でそうしないの?とばかりにイーストウッド演じるキャラハン刑事には自警団的正義の味方を演じさせている。イメージはちがうが、運輸当局という官僚組織への痛烈な皮肉がこの映画でも充満している。


2.配役
エンディングロールでは配役のところで、himself,herselfというのが目立った。本人が自ら配役を演じているのである。これは珍しいケースだ。機長の機転が155人の命を助けたのは言うまでもないが、女性乗務員や救助するフェリーの船長、救援ヘリコプターの乗員などかかわった人たちが多い。みんなでこの奇跡を分かち合いたいということなんだろう。クリントイーストウッドもエアバス一台購入してこの映画に臨んだという。さすがだ。


それにしてもこの機長神がかっているね。本当にすごい!
最後に向かって,音楽のムードはいかにもクリントイーストウッドらしいセンスのあるもので、ああやっぱりイーストウッドだな!と感じながら映画を見終えた。この人には晩節を汚すという言葉はありえない。まだまだやってほしいなあ。




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