映画とライフデザイン

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映画「特攻サンダーボルト作戦」 チャールズ ブロンソン

2013-05-03 06:33:30 | 映画(洋画 89年以前)
映画「特攻サンダーボルト作戦」は1977年の作品だ。
元々はテレビ映画だったという。出演者はチャールズブロンソンはじめ当時のトップ級だ。


正直この作品の存在は知らなかった。ツタヤの復刻版にあり、ブロンソンの顔を見て解説を見たら面白そうだ。しかも「ネットワーク」で強烈な演技を見せオスカーをとる前に亡くなったピーターフィンチも出ているではないか。
昨年「アルゴ」がオスカー作品賞をとったが、自分的には「ゼロダークサーティ」のほうが今でも上だと思っている。「ゼロダークサーティ」は外交の交流が薄いパキスタンに忍び込んでビンラディンを射殺する。米軍の特殊部隊が夜輸送の空輸機に軍の精鋭を乗せパキスタンに侵入させる。この映画はそれと共通点を持っている。この映画でもイスラエル軍は自国から出発してケニアからウガンダに密かに夜間侵入する。そしてテロに人質になっているユダヤ人を無理やり救出するのだ。

話自体スリリングだし、周到な準備の中作戦を履行している軌跡が語られる。
これは掘り出し物の映画だ。

1976年6月27日、テルアビブ発パリ行きのエール・フランス機が、経由のアテネ空港出発30分後テロリストにハイジャックされた。チェチェ系のゲリラと名乗るハイジャック犯たちは、世界各国で捕らわれているゲリラの釈放を要求する。乗客は245人の中にユダヤ人が100名近く含まれている。まず飛行機はリビアの空港に一時着陸する。その後アミン大統領が独裁政権をとるウガンダのエンテベ空港に着陸した。アミンはその当時反イスラエルの立場だ。エンテベでは空港ロビーが人質の宿舎となっていた。テロリストは全員のパスポートを回収する。パスポート上の国籍で判別されて、イスラエル籍以外の人質全員が解放された。テロリストはイスラエルを狙い撃ちにして交渉を優位にしようとしている。

イスラエルのラビン首相(ピーター・フィンチ)は、軍部が提案した人質救出作戦サンダーボルトの決行に踏み切る。ラビン首相は犯人グループの要求を受諾することも検討する。しかし、「テロには屈しない」という意志のもと、作戦を決行する。
ダン・ショムロン准将(チャールズ・ブロンソン)を司令官にイスラエル軍の精鋭部隊が集められた。その中には射撃の名手も多い。テロリストたちの要求のタイム・リミットは7月4日午前11時。タイムリミットが近づく中、精鋭部隊は入念に準備をして救出に向かうのであるが。。。


アルゴでは、イランのカナダ大使館に潜んでいるアメリカ大使館員をCIA職員がだましだまし脱出させる作戦であった。武装をしての脱出ではない。
今回の作戦では軍が主導になっての国境中央突破である。国交のない他国に忍び込んで、100人もの人質を脱出させるなんて話はすごいとしかいい様にない。
日本ではこの事実があまり語られていなかったのではないか?おそらくはオイルショック後、アラブ系石油産油国にかなり肩入れしたのでイスラエルを弁護するような話が出来なかったのであろう。しかも、日本では人命第一という方針のもと、福田赳夫首相が拘留されているテロリストを釈放するのだ。
当時日本ではチャールズブロンソンの人気は絶大なものがあった。そういった中、普通であれば公開されてもおかしくないこの映画の公開が10年も後になったのが残念だ。

「スターウオ―ズ」シリーズの最高傑作を「帝国の逆襲」という人は多い。自分もそう思う。
アーヴィン・カーシュナーが監督だ。彼がこの映画を撮っているというのも大きい。
脱出までの軌跡が緻密に描かれる。作戦履行もじっくりと実践演習して、50分台で空港を救出退出できるような作戦に仕立てる。その過程も丹念に描かれていく。同時に緊張感あふれる救出部隊の出発の場面やウガンダへの飛行機内における隊員のドキドキ感も臨場感をもって表現される。
どんな風に作戦を履行させるのか、映画を見ながら次はどうなるのか固唾をのむ。

3日午後11時救出部隊がエンテベ空港に着陸した。まずウガンダ軍の監視の兵2人に向かって麻酔銃を撃つ。アミン大統領が乗っていると連想させる黒塗り車を走らせゲリラにそれらしき動きを見せない。そこには射撃の名手を隠す。空港前にいる監視のゲリラを射撃する。脱出に向けての一歩だ。そしてロビーのゲリラ7人を撃ち殺す。そして追撃されないようにウガンダの戦闘機を次々爆破する。異変に気が付いたウガンダ軍が現地に向かう。早く脱出するしかない。到着した軍から懸命に防御する。
結局、人質全員を乗せて離陸するまで、わずか53分の救出作戦だった。残念ながら全員救出とはならなかったが、凄い作戦の履行に唖然とさせられた。実話と思うと凄すぎる。

苦悩にあふれるイスラエル首相を演じたピーターフィンチはこのあとすぐ死んでしまう。まるでこの作戦で神経すり減らしたかのように。この年「ネットワーク」の怪演でオスカー主演男優賞を死後受賞する。

司令官チャールス・ブロンソンが渋過ぎる。精鋭たちの士気を高揚させる。
荒野の7人」はずっと前、「さらば友よ」は68年、「マンダム」のCMは70年、「狼よさらば」は74年でそのあとだ。我々ブロンソン世代にはたまらない渋みのある演技だ。
でも一番見ていて楽しいのはアミン大統領のパフォーマンスだ。マスコミを意識して人質とは融和体制をとる。女性や子供、そしてユダヤ系を除く欧米人が順番に解放される。その際、俺のおかげで解放されたんだと笑う高笑いが印象的だ。演じる黒人俳優ヤフェット・コットーがうますぎる。「キングオブスコットランド」と比較してみてみるといい。

アルゴゼロダークサーティが好きという人には絶対のおすすめだ。

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