映画とライフデザイン

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映画「桐島 部活やめるってよ」

2013-03-15 21:25:45 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「桐島 部活やめるってよ」は先日直木賞を受賞した朝井リョウの同名小説を、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田大八監督が映画化した青春群像劇。
昨年度の映画の賞をとりまくった作品だ。

何でこんなに評価されるんだろう。見てみると正直その思いは強くなる。
起承転結がはっきりしているわけでもない。大きな事件が起きるわけでもない。
でもこの映画にはさまざまな高校生が出てくる。運動部、文化部そして帰宅部の人たち、容姿端麗のスターばかりでなく内に引きこもった面々など。。。
普通に高校生活をすごした人なら、この映画の登場人物の誰かにどことなく感情同化する思いを抱くのかもしれない。それだからこんなに人気が出るのであろう。

ある高校内を舞台にした生徒たちの群像ドラマだ。
校内のバレー部のスター桐島が退部するらしいという噂が金曜日の放課後に流れてから起こる人間模様を描いていく。その日の朝、桐島は県の選抜に選ばれるということが全校朝礼で発表されていた。それなのにという驚きだ。映画は、その金曜日のエピソードを、主要人物の視点を変えて何度も反復するスタイルで描きはじめスタートする。。。。

オムニバス形式のような映画なので、なかなかストーリーを説明するのは難しい。
ユニークで個性豊かな登場人物に注目したい。

主人公はいるようでいない。
あえて言えば、ホラー映画オタクの映画部部長であろうか。映画が一次審査を通過したので、全校朝礼で発表される。でも注目している生徒たちは少ない。クラスメイトの威勢のいい女子にも相手にされない。むしろバカにされている。
彼女たちの注目を集めているのはイケメンの男たちだ。桐島もその1人だ。
(桐島は出てこない。でも親友の男はカッコマン、彼女は今風超美形、だとすると出てこなくても色男と想像できるであろう)

オタク映画部長ははバドミントンの女子部員にほんのりとした思いを持っている。
亡き姉の後を追うように練習に打ち込むバドミントンの女子部員はメジャー組の女の子と普段つきあっている。
映画好きの部長がホラー映画を見に行き、エンディングロールが終わって明るくなった客席に彼女を見つける。同じ中学校から上がった2人は、以前は会話を交わすことがあったが、すっかりご無沙汰になっていた。

映画館をでて椅子に座って、映画の話をする。映画オタクの部長はタランティーノで何が好きか?とかホラー映画の話をしたりする。でもそれ以上ではない。それ以来今までとちがう意識を持つようになるが、彼女にはひっそりと公表せずに付き合っている男が居るのだ。

長身の帰宅部のイケメン男、桐島の親友だ。
元々野球部に所属しているが、練習には出ない。それでも実力があるので試合に出てほしいとキャプテンから誘われる。
授業が終わると、バスケットやりながら帰宅部の仲間と遊ぶ。桐島が部活が終わるのを待って、一緒に学校から帰る。積極的な女の子が彼に近寄るが、席がすぐ後ろの吹奏部の部長が強い恋心を抱く。

そんな彼に恋心を抱く吹奏楽部の優等生部長がいる。
校舎屋上の棟屋部分でいつもサックスを吹く。1人で淡々と吹いている。
そこからは帰宅部の男が見える。彼を常に意識しながら演奏している。
叶うはずもない恋と知りながらあきらめ切れない。
映画部がゾンビ映画を撮ろうとして、場所を換わってもらおうとするが、好きな男が見えなくなるので代わってあげない。
割と意地の悪い女部長である。


そのほかにも夏の大会が終わっても辞めないで練習に精を出す坊主頭の三年生の野球部キャプテン、退部した桐島の穴を埋めるべくシゴキに耐えるリベロのバレー部員、
正統派のモデルのような美形の桐島の彼女などなど。。。



自分は都立高校出身で共学だった。当時46人のクラスに男が32人、女性が14人いた。
当時進学成績を意識して、男子の構成比が高い構図になっていた。
半分づつくらいで仲良く男女が遊ぶようなクラスとは大違いだ。それでも、この映画に映る登場人物にダブる男女がいた。かっこいい奴、悪い奴両方だ。30年以上前の記憶がよみがえってくる。
はかない恋の思いも記憶に浮かび上がってきた。(失敗ばっかりだったなあ)


最近の高校事情を表わす云々という人もいるが、自分から見ると30年以上前の昔も今も変わらない気がする。どんな高校でも自分をメジャーと意識して肩で風きって歩く男女がいるもんだ。自分より10年上の世代でも同じだろう。高校の格差社会を顕著に表しているというが、地味に生きる連中とメジャーな連中とは明らかにわかれていた。
そして同じクラスメートでも親しくなければまったくお互いに眼中にない。
それ自体は昔も今も同じだろう。そんな不思議な高校時代の日常が浮き上がってきた。

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