映画とライフデザイン

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映画「岬の兄妹」 

2019-12-30 21:19:43 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画岬の兄妹は2019年公開のポン・ジュノ監督や山下敦弘監督作品などに携わってきた片山慎三がメガホンを取ったドラマ。港町で暮らす兄妹を主人公に、地方都市の暗部や家族の本質をあぶり出す。


映画館で予告編を何度か見ていた。異質な匂いがする映画のようだ。岬のある地方の町で社会の底辺をさまよう兄妹の物語 、脚が悪い兄が自閉症の障がいを持つ妹に売春をさせるという酷い物語。何となくえげつない印象を持ったが、DVDで確認する。後味は悪い。でも主演の2人は好演である。

港町に暮らす良夫(松浦祐也)はある晩、同居する自閉症の妹の真理子(和田光沙)が、男に体を許して金銭を受け取ったことに気づく。妹に罪の意識はない。良夫が勤める造船所を足が不自由であることを気にして辞めてしまう。金に困った良夫は妹の売春のあっせんをして生活費を稼ごうとする。さらに2人が売春に携わっていることを知った友人が、良夫に忠告しに来る。そんな時、妹の心と体にも変化が起き始めていた。

兄妹
2人が住んでいるのは平屋の掘っ立て小屋だ。かなりボロボロ。兄は造船所で働いていたが、辞めてしまう。金はない。脚がわるいことにコンプレックスを持っている。妹は自閉症、写真を撮ろうとしても視線がレンズに向かない。言葉は話せるがたどたどしい。学校教育はまともに受けてはいないか障がい者クラスにいたかと思われる。

比較的普通の生活者よりも重い自閉症である。きっとその気になれば障がい者用の作業場など働き口はあるだろう。でもそういう所があることすら知らないのではないか?ちょっと目を離した隙に行方不明になってしまう。


こういう役柄を2人は巧みに演じる。特に妹役の和田光沙がうまい。相手と視線は合わせない。それなのに馴れ馴れしく近づいていく。和田は自閉症患者についてかなり勉強したのであろう。全裸になっての体当たり演技で、売春でいろんな男との交わる姿をこなす。電気代すら払えない金欠で、自分の妹を売れば金になると気づいた兄が1時間1万円で四方八方に売り込む。

売春といえば、ヤクザの資金源だ。組員が自分のシマを荒らされることに気づく。しばかれるのは当然、兄はコンテンパンに痛みつけられた上に、妹はヤクザに犯され、兄がそれを見せつけられるなんてシーンも。それでも懲りずにデリヘルの勧誘のようにチラシを配りまくる。


知的障がいを持つといっても、身体は普通に育つ。妹も立派な大人の身体だ。やってやってやりまくれば子供だってできる。父親は誰ですか?と言っても誰だかわかるはずがない。病院で始末しようにも金がない。兄はお腹の子を流産させてしまおうとブロックを持って叩きつけようとするができない。妹を買ってくれた小人の男の家に妹と結婚してくれと言いにいく始末だ。


低予算映画で、有名俳優が出ているわけではない。三浦半島の岬の外れで撮影されたようだが、ロケ協力その他のクレジットはない。

ひたすら下層社会を彷徨い続ける2人を追う。






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