映画「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」を映画館で観てきました。
映画「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」は朝鮮半島の国境38度線上で宝くじの当選クジをめぐって韓国、北朝鮮両国兵士が右往左往するコメディだ。メジャーな韓国俳優は出ていない。普通だと見過ごしてしまいそうだが、「笑いが止まらない」という評判で面白そうな気配を感じる。
朝鮮半島の国境軍事境界線板門店に駐在中の韓国兵士パク・チョヌ兵長(コ・ギョンピョ)が何気なく拾ったロトクジがなんと57億ウォン(約6億円)の賞金に当選してしまう。本にはさんでこっそり持っていたのに、風にクジが吹き飛ばされて北朝鮮側国境を越えてしまう。大慌てのチョヌは夜中にこっそりと国境の金網をくぐっていくと、北朝鮮兵に銃を突きつけられる。飛んでいった宝くじを偶然ひろった北朝鮮兵リ・ヨンホ(イ・イギョン)だったのだ。
ひろったヨンホは自ら引き換えができないのでチョヌに交渉を持ちかける。持ち分でもめる。しかし、国境線でお互いに交渉しているのが、南北両軍の上司にわかってしまい結局3対3での交渉となる。結局、韓国側で金銭引き換えると同時に逃亡しないように、南北お互い1人ずつ人質を出すことになるのであるが。。。
確かに笑えるコメディだ。
板門店の軍事均衡地帯では朝鮮戦争停戦から長期にわたってお互いに牽制しあっている。そこでの緊張をもとにこれまで映画がつくられてきた。軍事衝突が絡んでそんなに明るい話はない。でも、これはコメディだ。
せっかく当たった宝くじがすっ飛んでいけば誰もがあせる。それがお笑いになるのか?いや、宝くじの行方を探すだけではこんなにも面白くならない。南北両側に多彩な登場人物を用意して、いくつもの伏線となるエピソードを用意する。それを物語の行方とともに少しずつ回収する。韓国映画らしい脚本づくりのうまさを感じる。北朝鮮美人兵士と韓国兵士との禁断の恋も用意する。
特におもしろくなってくるのは、南北両側から人質を出した後だ。当然、オフィシャルな話ではない。交渉にあたる3名と一部の身内以外は内緒で、人質が敵軍に配属される。
北朝鮮側に配属された兵は、最初特殊部隊で瓦割りなどの剛健な鍛錬を受けるが、すぐさま農場に移される。なかなか繁殖が進まなくて困っていた農場だった。ところが、ニワトリや豚たちが交わりやすいようなムードたっぷりの工夫をしただけで、気がつくと次々と卵ができる。食糧事情の悪い北朝鮮では大歓迎だ。平壌に行ってくれとまで言われる。逆に焦る。このやりとりが笑える。
韓国軍に配属された北朝鮮兵が国境線上の大量の地雷が埋まっているエリアを演習中、仲間が地雷に引っかかる。ミスると大爆発だ。とっさに的確な処置をして助けてしまう。うわさが伝わり連隊長は大喜びだ。激励に来て何処出身だと言われて、北朝鮮の町の名前を言おうとして思わずハンブルクと言ってしまう。ドイツの戦争映画を繰り返し観ていてドイツ語を話す。それを上司が良いように訳す。かわす会話が楽しい。
その人質は、宝くじの当選金をもらうまでは戻らない。でも、当選金をもらう前に宝くじをなくさないように股に挟む。そう簡単に引き換えできない。予期せぬ関門をくぐらないといけないのだ。こんな感じで笑えるネタを最後まで用意する。実に楽しい。