後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

榎本武揚たちが開発した常磐炭鉱の白水村の人々の哀歓

2009年07月20日 | 日記・エッセイ・コラム

福島県の太平洋側に常磐炭鉱がありました。幕末に石炭が出ることが発見されます。函館で明治政府軍へ降伏した榎本武揚が新しい政府の石炭開発担当大臣になります。常磐炭鉱の開発のために現地、白水村へ何度も足を運びます。そしてそこが大きな炭鉱として大繁栄するのです。明治、大正、昭和と続く激動の歴史です。昔から住んでいた人々、全国から集まってきた人々が悲喜こもごもの人生を繰り広げます。「狼皮のスイーツマン」さんの郷里がこの白水村です。彼が郷土の人々の生涯を慈しみながら丁寧に書いた物語が「白水物語」です。日本のある一地方にこんなことがあったのです。なにかしみじみとした歴史物語です。

私達が学校で習う日本の歴史には書いていないような地方の人間の歴史です。このような歴史観が伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」というミステリー小説の背景にあると思うと興味が尽きません。地方の人間の歴史にご興味をもっている方々に是非お読み頂きたい話です。その地方史は、別サイト『狼の皮を被ったスイーツマン』所収の郷土史『白水物語』  (  http://okoshi13.blog.ocn.ne.jp:80/blog/ )に御座います。読んだ後で何故か心が静かになります。人間の幸や不幸を考えさせます。(終わり)


梅雨へ逆戻り、快晴の北海道の写真をお楽しみ下さい

2009年07月20日 | 写真

「富良野健康生活」というブログの あとみんさん からは時々素晴らしい風景写真をお借りして元気を頂いています。ご主人と性格の良いワンチャンと3人で健康生活です。いかにも北海道らしい写真がいつも掲載されているブログです。URLは、http://furano2008.blog95.fc2.com/ です。

昨夜、メールでお願いして2枚の掲載許可を頂きましたのでご紹介いいたします。富良野の青い山並みと夏の積乱雲です。空気が青く透き通っていて本州の空気と違いますね。お楽しみ頂ければ嬉しく思います。(終わり)

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何故か上海が気にかかる、そして狼皮のスイーツマンさんの作品を再び考える

2009年07月20日 | 日記・エッセイ・コラム

19世紀から欧米の租界があった上海は混沌とした都市として栄えた。いろいろな国の人々が住みついていた。そんな時代の上海のことを書いた本を昔から沢山読んでいた。そして1982年に上海に行き、錦江飯店に数日泊まる。

1920年代の上海にはジャズが流行っていたという。

1982年に行ったときもホテルのフロアーで観光客相手のジャズバンドがスローテンポで弾いていた。オハイオ州から来たというアメリカ人とダンスをした。植民地風の建物の並ぶバンド地区も散策した。その数年後にまた行ったら、高架の高速道路が走り、浦東地区には大型商業施設も出来、すっかり近代的な街になっていた。上海の近郊には日本の援助で宝山製鉄所もできている。ある時は揚子江の中流から一晩かけて上海近くまで船で下って来たこともある。

何故か上海と聞くと心が騒ぐ。

昨日、狼皮のスイーツマンさんのミステリー小説をご紹介した。その小説には1920年代の上海の様子が描写されている。下にその一部を引用する。

・・・・・上海の街路は急に幅が広くなったり狭くなったりする。このでたらめな規格の道路を縫って路面電車が窮屈そうに走り抜けていく。路面電車を追い越していくリムージンには、シナモンと叔母君、さらには見送りに行くといって乗り込んできた近所の有閑夫人たちの姿があった。リムージンを運転しているのは叔母君だ。シナモンは名残惜しそうに車窓から街並みを眺めていた。
 黄浦江左岸の船着き場をバンドという。バンドは上海の金融街であった。サッスーンハウス(現在の和平飯店)、上海海館などの石造建築物群が建ち並ぶ。石造建築物群にはネオバロック様式、ネオルネッサンス様式、アン女王復古様式などがあり、英領植民地に多く建造されたものだ。
 人や車で麻痺した街路を警官達がてきぱきと誘導する。警官達は中国人のほかに、インド人、ベトナム人、ロシア人といった外国人もいた。インド人はイギリス人が、ベトナム人はフランス人が植民地から呼び寄せ雇った。ロシア人はロシア革命で亡命してきた没落貴族だった。
 上海の空気は淡いセピア色で、市街地の南を流れる黄浦江は、セピア色をもっと濃くした土色をしている。黄浦江を誰も大河だとはいわない。けれども、大型船が何十隻も停泊できるほどの川幅と水深を有している。米英列強は、租界にいつ襲いかかってくるか判らない中国政府軍や反乱軍に備えて、何隻かの巡洋艦を黄浦江の真ん中にたえず停泊させていた。・・・・・・

このミステリー小説は殺人事件の謎解きの面白さだけではない。1920年代前後のイギリスや中国の歴史が活き活きと描かれている。

第一次大戦中にはイギリスの諜報機関がアラビアのロレンスをペルシャに送りこみ敵国ドイツの同盟国トルコを牽制させたことも書いてある。それを下敷きにして、イギリスの諜報機関から中国へ派遣され日本軍の様子を伺っていた考古学者が重要な役で登場する。

一方、蒋介石の中国では各地に軍閥が居て「将軍様」と呼ばれて地方を統治していた。ある軍閥は日本軍と関係を結び、後の上海事変に続く、中国侵攻の足がかりになっていた。そんな背景もこのミステリー小説にはきちんと織り込んである。日本軍に招待された「将軍様」も登場するのだ。

すぐれたミステリー小説とは描いてある歴史や文化も興味深い。

伯爵令嬢シナモン「飛行船の殺人」(http://r24eaonh.blog35.fc2.com/)もその様なミステリー小説なのです。上海の興味のある方へお勧め致します。(終わり)

今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。 藤山杜人