戦争には悪魔的行為が付きものです。戦争をしている全ての国が、民族が同じように悪魔的行為をするものです。戦勝国は戦後に負けた民族の残虐行為をあげつらい、批難し、自分は悪いことを一切しなかったと主張するのは人類の歴史によく見られることです。
第二次世界大戦で日本民族は負け、アメリカ、イギリス、中国、ソ連は戦勝国になったのです。
アメリカ人は真珠湾攻撃は宣戦布告なしの卑怯な攻撃だと声高に批難します。中国は南京で30万人が虐殺されたと宣伝します。ソ連は中立条約を一方的に破棄して予告なしに満州へ攻め込みました。これらの現象をどのように考え、どのように発言すれば日本民族の品位が貶められないのでしょうか? ここで、誤解の無いように言えば、民族の品位と事件にかかわった個人の名誉は別問題です。この稿では「民族の品位」だけを論じています。
さて真珠湾攻撃ですが、日本人は伝統的に奇襲攻撃をしても良いという文化を持っていました。
戦争の可能性のある緊迫していた状態で油断している方も悪いのです。日本の戦国時代の実例を2つ、3つ示しながらアメリカ人へそのような文化を説明するのが良いと思います。外務省からワシントンの日本大使館へ宣戦布告の電報を送ったが、翻訳に手間取ってアメリカ政府への報告が遅れた、という主張が繰り返しなされてきました。実に姑息ないい訳です。真珠湾攻撃を宣戦布告後にする意図が本当にあったのなら1週間前に電報を送れるはずです。
姑息ないい訳こそ日本民族の品位を貶めると思います。
南京虐殺は中国政府の政治的宣伝であることは誰の目にも分かることです。その議論に乗って30万人は多すぎる、5万人位だった、という日本側の主張も良くみます。この問題は議論すると損をするのです。完全に沈黙を守るのが良いのです。そして虐殺された中国人に対して哀悼の意を表するのが良いのです。中国は白髪三千丈と誇張する文化を持っています。数の正確さを議論し始めると日本人の品位を貶めるだけです。虐殺の人数の研究は中国人の学者の研究に任せれば良いのです。正確な数を出せるか否かは中国の研究能力と品位の問題であり、日本には何のかかわりもないことです。
最後にソ連の満州侵攻ですが、卑怯だ、けしからん、という非難は正しくても、止めましょう。
沈黙を守るのほうが日本人の品位を貶めません。ドイツと軍事同盟を組んで闘っている日本は原理的にはソ連の敵です。中立条約を書いた紙を信じるか、原理原則を信じるかの問題です。当時の日本の軍人はソ連が攻め込む可能性を常に警戒していました。しかし太平洋の島々の劣勢の故に満州の関東軍の大部分を太平洋戦線へ送りこんで玉砕させてしまったのです。
満州がほとんど無防備になりました。敵国ソ連がその隙を突いて侵攻したのです。要するに日本の参謀本部の戦略の大きな間違いでした。日本人が自分の戦略の間違いを研究しないで、相手の卑怯さだけを宣伝するのは品性に欠けます。日本民族を貶めます。
戦後、ソ連はアメリカの敵国になりました。日本人がソ連の卑怯さを宣伝することはアメリカ人にとっては心地よいのです。日本人は戦争中のアメリカ人の卑怯な行為を宣伝しましたか?きっと数多くの卑怯な行為があった筈です。戦争につきものです。
それを広島、長崎の原爆だけを批難しています。原爆は人道的な武器ではないだけでなく、卑怯な攻撃的武器という性格もあります。
戦争にかかわった日本人個人個人の立派さについては、続編で書いてみたいと思います。(続く)
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。 藤山杜人