中学校の先生の影響は大きいと思います。敗戦後に出来た新制中学校では復員してきた先生が3人ほどいました。「日本が戦に負けたのは狭い島国だからです。君たちは外国へ行って勉強しなさい。そして帰って来て日本の復興へ貢献しなさい」。何度も何度も聞きました。その影響でアメリカへ留学をしました。その後、ドイツやスウェーデンにも住みました。
あなたは外国が好きですか?嫌いですか?日本は狭い国と思いますか?
あまり意味の無い、つまらない質問のようですね。しかしこの問題が戦争を避け、平和を維持する重要な問題と思います。好きな人々が住んでいる外国とは戦争はしたくない。日本が十分広いと思えば領土を獲得する戦争も必要が無い。
わたしは色々な外国が大好きです。そうなったのは比較文化人類学の一般向けの本を沢山読んだ為と思っています。その分野の学者は、「どんな民族の文化も深く研究すると素晴らしい文化です。民族の文化には絶対に優劣は有りません」、という前提で仕事をしています。
比較文化人類学では民族の住んでいる土地に住みこんで民族の日常生活を観察し、その歴史や考え方を聞きだすことが大切です。いわゆるフィールドワークです。フィールドワークの様子を書いた本を沢山読みました。現地に住み、現地の言葉を話し、現地の人々を尊敬する。これが比較文化人類学の研究で一番重要な出発点です。もちろん学問の一分野ですから得られた情報の解析と総合、そして体系的な論考も重要です。
私には尊敬しているネット上の友人がいます。現在ネパールのカトマンズに住んでいるHikarunoさんと南フランスに住んでいるParisimidoriさんです。URA は夫々、http://asiancloth.blog69.fc2.com/ と http://blog.livedoor.jp/parismidori/ です。
ひかるのさんはタイやインドやブータンにも住んでいました。現在、彼は政情不安定で停電の多いカトマンズに住み着いています。色々な民族が混じって暮らしている様子を観察し、人情味溢れる記事を毎日掲載しています。まさしく研究者のフィールドノートのようで興味津々です。東南アジアの現地語を何種類か話せるようです。ひかるのさんの観察は客観的でどの民族へも優劣をつけません。先日の盲目のインド人夫婦の暮らし方をレポートした記事と写真は秀逸でした。
話はいきなり南フランスへ飛びますが、そこにはParisimidoriさんがフランス人の旦那さんと2人で仲良く住んでいます。仲良くくらしている様子は幸せそうに笑っているご主人らしい人が写真に時々出てくるので分かります。彼女は旦那様の自慢はあからさまには書きません。大和なでしこです。その大和なでしこさんがフランスのお菓子を作るパテシエとして活躍しています。ぶどう酒の産地の農村の人々と交流しています。美味しいお菓子を作れば人が集まってきます。尊敬もされます。その人の書くブドウ農村の生活の様子が興味深いのです。フランスの農村の文化がよく理解できるのです。正しくフィールドノートのようなのです。そのローカルな文化と山梨県のブドウ農村と比較して、ああ此処は同じだ、ここは違うと独りで楽しむことが出来るのです。
Prisimidoriさんは文化人類学の研究をしているつもりではありません。ご主人を愛し、ケーキ作りを楽しみ、そして村人と仲良く暮らしています。その事実が日本にいる両親への最大の親孝行なのです。話が脱線しました。
決論を言います。比較文化人類学の本を読んだお陰で、私は全ての民族が好きになりました。民族には優劣がないのです。その延長で日本を見ると、とても広い感じがします。そして地方地方には必ず興味深いローカルな歴史と文化が全然と存在していることに気がつきます。あなたの住んでいる地方にはどのようなローカルは歴史と文化があるでしょうか。
最後にひかるのさんのブログからカトマンズの夕暮れの写真を2枚転載させて頂きます。
今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。 藤山杜人