後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

トランプ大統領の人権無視、武力重視の外交戦略の明快さと危険さ

2017年05月24日 | 日記・エッセイ・コラム
トランプ政権の外交戦略が次第に明らかになって来ました。
北朝鮮の沖にカールビンソン空母と、それを護衛する駆逐艦2隻、ミサイル防衛用のフリゲート艦2隻とその他の補助艦から編成された艦隊を巡航させて武力で威圧しています。その上、もう一つの空母艦隊を日本海に送ろうとしています。
この動きだけではトランプ大統領の外交戦略は明確に判りませんでした。
ところが最近の大統領のサウジアラビア訪問でその外交戦略が次第に明らかになって来たのです。
混乱を極める中東で親米国のサウジアラビアへ大規模な武器供与の契約をし、反米のイランを牽制しました。イスラエル訪問では同国とアメリカの絆を一層強化すると言明しました。
そして従来から親米路線をとっていたクエート、アラブ首長国連合などの湾岸諸国の首長をサウジアラビアに呼び寄せ、友好関係を確認しました。これでアメリカの中東の外交戦略が明確になったと思います。
結論を言えば、トランプ大統領は親米国の国内の人権無視には目をつぶり、親米国へは武力を供与するという武力重視の外交戦略なのです。
この外交戦略は旗色鮮明で分かり易いのです。しかし従来のアメリカの人権を守るという理想主義が消えてしまったのです。その上、武力による威圧を乱用すれば外交交渉が困難になります。戦争が勃発する可能性もあります。
このようなトランプ大統領の人権無視、武力重視の外交戦略は世界中の国々の外交戦略へも大きな影響を与えます。
このような戦略が平和維持のために良いのか悪いのかは将来の歴史を見なければ判定が出来ませんが、危険なものであります。
一方、アメリカ国内のメディアはトランプ大統領の中東訪問を非難しています。日本のマスコミはトランプ大統領の中東訪問に対して批判的な記事を掲載していないので、以下に引用いたします。

「アメリカのメディアが、トランプ大統領のサウジ訪問を強く非難」
http://parstoday.com/ja/news/world-i30496

アメリカの複数のメディアが、「アメリカのトランプ大統領のサウジアラビア訪問は、同国の弾圧政権を支持する枠組みで行われた、倫理に反するものだ」と報じました。
アメリカの新聞ニューヨークタイムズは、「トランプ大統領は今後、サウジのサウード政権による犯罪行為や弾圧の主な支援国となる決意を固めている」と報じています。
また、ワシントンポスト紙も、「サウジでのトランプ大統領の発言は、中東におけるアメリカのお決まりの政策の繰り返しであり、彼が呼びかけた相手は中東諸国の国民ではなく、それらの国の専制政権の支配者たちだった」としました。
さらに、アメリカの新聞アトランティックも、「トランプ大統領はサウジ訪問において、サウジでの人権侵害をはじめとするテーマには言及しなかった」としています。
トランプ大統領の中東訪問は22日月曜、終了しており、同大統領はイスラエルへの訪問の後、イタリアに向かいます。
トランプ大統領は今回のサウジ訪問で、同国の政府関係者との間で4800億ドルに相当する、対サウジ武器輸出に関する10年契約を締結しました。

さてこのようにトランプ大統領の外交戦略は安倍総理にはどのように見えるのでしょうか?
日清戦争、日露戦争、太平洋戦争などは正しかったという考えの安倍総理はとかく自衛隊の武力増大に努力し、憲法も改正しようとしています。このような思想の安倍総理はトランプ大統領に共鳴する筈です。
大統領の就任前にトランプ氏を訪問し、その後も安倍総理とトランプ大統領は親密な関係を持っています。そして安倍総理はトランプ大統領の政策に追従する態度をとっています。調子に乗りすぎて北朝鮮をいたずらに刺激する発言を繰り返しています。
そんな安倍総理の外交を忖度して、日本のマスコミはトランプ大統領の外交戦略を非難しません。
北朝鮮沖のカールビンソン空母打撃隊に関しても横須賀を母港にしているもう一隻の原子力空母に関しても一切報道をしません。
日本は急に軍事機密を一切報道しなくなったのです。それに対して国民は気にしていません。無言です。
このような最近の情勢を私は憂鬱に感じています。
そこで今日の挿し絵代わりの写真は気持ちが晴れ晴れする樹々の風景写真をお送りいたします。先日、都立小宮公園で撮りました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
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参考までに以下の記事もご覧ください。
『アムネスティ、サウジ・バーレーンへの兵器売却停止を要請』
http://parstoday.com/ja/news/world-i27704

国際人権団体アムネスティーインターナショナルが、アメリカの大統領に対して、サウジラビアやバーレーンなどのアラブ諸国に兵器を売却するのを停止するよう求めています。
アメリカ議会の公式メディアが伝えたところによりますと、アムネスティは14日火曜、アメリカのトランプ大統領に対し、イエメンの人々へのサウジアラビアが主導する連合軍の攻撃を理由に、同国への兵器売却の流れを停止するよう求めました。
アムネスティは、この文書の中で、「サウジアラビア、バーレーン、その他の連合軍が、イエメンで罪のない民間人を多数殺害するために、アメリカの新型兵器を使用する危険が高まっている」としました。
この文書が提示された一方で、アムネスティは、アメリカの不発弾などがイエメン人の受託の廃墟の中や民間の場所から見つかっているとしています。さらに、アメリカ政府は、30億ドルの戦闘機をバーレーンに売却しようとしていると述べています。
アメリカのオバマ政権時代の終わりに、人権団体などの圧力、さらにイエメンの民間人の被害拡大に関する懸念から、サウジへの兵器売却計画が停止されましたが、トランプ政権のティラーソン新国務長官が、兵器売却を再開しました。