北朝鮮とアメリカの軍事衝突は次の3つの条件が満足されると始まる可能性が非常に大きくなります。
(1)アメリカの海軍や海兵隊が北朝鮮沖に集結する。
(2)中国が確実に中立を守るという確約をアメリカにする。
(3)北朝鮮が沖に展開するアメリカ軍へ対して武力攻撃をする。
以上の3つの条件のうち最近になって(1)と(2)の可能性を暗示するニュースがありました。
一つは3つものアメリカの空母打撃群が日本海に展開していることです。
二つ目はアメリカの航空母艦が中国の香港に3年ぶりに寄港した事実です。
今日はこの2つの重大ニュースをご紹介した上で、(3)についての推論を書きます。
そして最後に最近の海外ニュースからプーチン大統領とイランのロハに大統領の会談と、スペインのカタルーニアの独立に関するニュースと日本への影響について感想を短く書きます。
(1)アメリカの海軍や海兵隊が北朝鮮沖に集結する。
以下はJBpress(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51485 )の報道の抜粋です。
この10月24日、アメリカ海軍原子力航空母艦「ロナルド・レーガン」を旗艦とする第5空母打撃群と、原子力空母「セオドア・ルーズベルト」を旗艦とする第9空母打撃群が西太平洋に姿を現しました。このうち第5空母打撃群は10月19日より米韓合同演習に参加し日本海に展開していたのです。
そして、アラビア海での作戦が終了した原子力空母「ニミッツ」を旗艦とする第11空母打撃群も、10月25日、インド洋の第7艦隊担当海域に入り朝鮮半島周辺海域を目指していたのです。
トランプ大統領の日本・韓国・中国訪問とオーバーラップして、これら3セットの空母打撃群が参加しての海軍演習が実施されているのです。
このように3セットの空母打撃群(空母3隻、巡洋艦3隻、駆逐艦10隻、おそらく攻撃原潜3隻)が日本周辺海域に同時に姿を見せるのは極めて珍しいのです。
そのため、「トランプ大統領の極東訪問後には、いよいよ米軍の北朝鮮に対する軍事攻撃が秒読み段階に入るのだろう。だから多数の空母を展開させて先制攻撃態勢を固めつつあるのだ」といった推測がなされているそうです。
1番目の写真は空母ロナルド・レーガンです。(写真:米海軍提供)
2番目の写真は空母セオドア・ルーズベルトと空母打撃群戦闘艦です。(写真:米海軍提供)
3番目の写真は空母ニミッツです。(写真:米海軍提供)
(2)中国の中立を暗示するようなアメリカ空母の香港寄港。
中国政府は3年間、拒否し続けてきたアメリカ海軍の航空母艦の香港寄港を今回許したのです。
4番目の写真は香港に寄港した空母ロナルド・レーガンです。
横須賀を母港とする空母ロナルド・レーガンが10月2日、3年ぶりに香港に寄港しました。(https://www.houdoukyoku.jp/posts/19259 )
外からは見えない格納甲板ではなく、飛行甲板の上にF/A-18戦闘攻撃機など艦載機をいかにもアメリカの打撃力を見せつけるかのようにずらりと並べていました。
この香港寄港はかならずしも中国の中立を意味するものではありません。しかし今後アメリカが中国へ譲歩した外交交渉を続けると中国の中立の確約を得られる可能性を示す重大なニュースと受け止められています。
さて3セットの空母打撃群には空母3隻、巡洋艦3隻、駆逐艦10隻が公表されていますが、それに加えて攻撃原潜3隻が随伴していると推定されています。
5番目の写真はオハイオ級原子力潜水艦です。
オハイオ級原子力潜水艦はアメリカ海軍が現在保有する唯一の戦略ミサイル原子力潜水艦です。
西側諸国で最大の排水量を誇る潜水艦であり、また全長と弾道ミサイル搭載数は現役の潜水艦で最大と言われています。
以上のように北朝鮮の周辺にはアメリカ海軍の主力航空母艦が3隻と巡洋艦3隻、駆逐艦10隻、攻撃原潜3隻も集結しています。
この脅威によって北朝鮮はミサイル発射と原爆の実験をこのところ中止しているようです。
ですから(3)に書きました、「北朝鮮が、沖に展開するアメリカ軍へ対して武力攻撃をする可能性」は小さいのではないでしょうか。
北朝鮮が先制攻撃をしないように祈らざるを得ません。
さて最近の海外ニュースで気になるのは、プーチン大統領とイランのロハニ大統領の会談と、スペインのカタルーニアの独立に関するニュースです。
混迷していて分かり難い中東情勢ですが、ロシアとイランが手を組んでシリアのアサド政権を支援するということが明快になりました。
一方、アメリカはイラク、湾岸諸国、サウジアラビア、ヨルダンなどと手を組んでいます。この情勢では日本への原油の輸送は安全ではないでしょうか。ですからこのニュースの日本への影響は少ないと思います。
そしてカタルーニアの独立に関するニュースですが、驚くべきことに前カタルーニア州首相のプチデモン氏に逮捕状が出たことです。
スペインの法律に違反して勝手にカタルーニアの国家としての独立を宣言したというのが罪状です。
このニュースは沖縄独立運動をしている日本人に影響を与えるでしょうが、その影響は軽微でしょう。なんと言っても沖縄の独立はあまりにも非現実的だからです。むしろ沖縄独立運動は伝統的な琉球文化の継承に力点を置くべきと私は考えています。
この他にいろいろと重大な海外ニュースがありますが長くなるので止めます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)