砲艦外交とは昔の言葉です。その意味は威嚇的な軍事力で脅し、外交交渉を有利にしようとすることを意味します。暴力団が刃物やピストルをちらつかせ相手を服従させるようなものです。品の悪い外交手段ですが効き目があります。
日本もこの砲艦外交をされた歴史的な事実があるのです。1853年に東インド艦隊司令官のマシュー・ペリー提督が軍艦5隻を率いて日本に来た時です。勝手に浦賀へ入港して日本へ開国を要求したのです。そして翌年の1854年には黒船の艦隊を東京湾に進入させ江戸幕府を脅したのです。幕府は恐れおののき、日米和親条約を締結してアメリカに対して開国したのです。ペリーは議会から交戦許可を取っていなかったにもかかわらず強硬姿勢により日本を無理に開国させたのです。
理想主義的なアメリカ大統領は砲艦外交を使いません。前のオバマ大統領は使いませんでした。
ところがトランプ大統領はアメリカの伝統的な砲艦外交を北朝鮮に対して使ったのです。
北朝鮮の沖に原子力潜水艦や多数の駆逐艦を従えた航空母艦打撃群を展開して北朝鮮を脅したのです。
これは現代における砲艦外交です。
その効果はてきめんで、北朝鮮は9月15日以後、核実験もミサイルの発射もピタリと止めてしまったのです。
トランプ大統領の砲艦外交の短期的な勝利です。あくまでも短期的な勝利です。しかし北朝鮮は今後アメリカの要求を承諾するでしょうか?
今日はこのトランプ大統領の砲艦外交と今後の展開について考えてみたいと思います。
まず北朝鮮の沖における空母打撃群と日本や韓国の共同訓練の様子を写真で示します。
1番目の写真は2017年11月12日、日本海で共同訓練する米空母ロナルド・レーガン(左端)、ニミッツ(その右上)、セオドア・ルーズベルト(右端)。レーガンの後方は海上自衛隊の護衛艦いせ(海上自衛隊提供)
2番目の写真は11月12日、共同訓練する米空母ニミッツ(左上)、ロナルド・レーガン(左中央)、セオドア・ルーズベルト(右下)と、米国と韓国海軍の艦船(韓国国防省提供=AP)
3番目の写真は11月12日、共同訓練する韓国海軍のイージス艦(手前)と米空母の3隻(韓国国防省提供=AP)
この日本海における共同演習に関する記事をご紹介いたします。
『海自と米空母3隻共同訓練 日本海、北朝鮮けん制』
2017.11.13 16:29、産経フォト、http://www.sankei.com/photo/story/news/171113/sty1711130016-n1.html
海上自衛隊は11月12日、護衛艦3隻が米海軍の原子力空母3隻と日本海で初めて共同訓練したと明らかにした。米海軍が西太平洋周辺で14日までの予定で実施している共同演習の一環で、日米の護衛艦や空母、付随する艦艇がそろって訓練した。核・弾道ミサイル開発を進める北朝鮮を強くけん制する狙いがある。 河野克俊統合幕僚長は自衛隊の訓練視察に訪れた静岡県沼津市で報道陣に「北朝鮮を含めた各国に、日米同盟の固い絆、連携の強化を示すことができた」と強調した。
訓練には海自の護衛艦いせ、まきなみ、いなづまと、米空母のニミッツ、セオドア・ルーズベルト、ロナルド・レーガンが参加。他の艦艇と編隊を組みながら共に航行したり、通信訓練をしたりした。
ここで指摘したいことがあります、示した3枚の写真の日は11月12日となっています。つまり同じ日に日米共同演習と韓米共同演習をしたのです。3枚目の写真の手前には韓国の国旗がはためいている駆逐艦が写っています。
この訓練を北朝鮮からみれば日本、韓国、アメリカの3国の軍隊が協力して北朝鮮を脅しているように感じるでしょう。
つまり日本も韓国も砲艦外交の一翼を担ったのです。
効果は絶大で北朝鮮は9月15日以後、核実験もミサイルの発射を止めているのです。
お忘れでしょうが、9月15日には北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射しました。ミサイルは7時4~6分に北海道上空を通過、同16分頃に襟裳岬の東約2000キロ・メートルの太平洋上に落下したのです。
ここで、これまでの北朝鮮の核実験とミサイル発射の記録を下に示します。
核実験
1998年
2006年
2009年
2013年
2016年1月
2016年9月
2017年9月
ミサイル発射実験
1993年
1998年
2006年
2009年
2012年4月
2012年12月
2016年
2017年
8月
9月15日
さて北朝鮮は一時的に静かになりました。
それではアメリカの要求している通り核兵器や長距離ミサイルを放棄するでしょうか?
答は残念ながら「否」でしょう。
核実験の実施をしなくてもこれまでの実験から多数の核兵器は製造出来るからです。
そして北朝鮮は現在でも下記のような種々の弾道ミサイルを保有しているのです。
スカッド
KN-02
ノドン
ムスダン
テポドン1号
テポドン2号
KN-08
北極星1号
北極星2号
火星12
火星14
これらのミサイルは発射実験をしなくても推進器の燃焼実験さえ行えば簡単に飛距離を伸ばすことが出来そうです。
その上、平和的な人工衛星の打ち上げを行えばロケットの誘導技術も向上するでしょう。
北朝鮮が国内で秘密裏に行う核兵器の製造とミサイルの推進器の燃焼実験は砲艦外交のみでは阻止出来ません。
それには中国、ロシア、全てのアジアの国々が団結して北朝鮮の経済制裁を完全に実施しなければなりません。
しかしそれは非常に困難な外交交渉になります。トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」の政策が邪魔になります。
TPPやパリ協定からの勝手な脱退を考えると、多くの国々はそう簡単にトランプ大統領の言いなりにならないと思います。
根気が要求されるオーソドックスな外交手法が必要になります。はたしてトランプ大統領はそれに成功するでしょうか?
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
日本もこの砲艦外交をされた歴史的な事実があるのです。1853年に東インド艦隊司令官のマシュー・ペリー提督が軍艦5隻を率いて日本に来た時です。勝手に浦賀へ入港して日本へ開国を要求したのです。そして翌年の1854年には黒船の艦隊を東京湾に進入させ江戸幕府を脅したのです。幕府は恐れおののき、日米和親条約を締結してアメリカに対して開国したのです。ペリーは議会から交戦許可を取っていなかったにもかかわらず強硬姿勢により日本を無理に開国させたのです。
理想主義的なアメリカ大統領は砲艦外交を使いません。前のオバマ大統領は使いませんでした。
ところがトランプ大統領はアメリカの伝統的な砲艦外交を北朝鮮に対して使ったのです。
北朝鮮の沖に原子力潜水艦や多数の駆逐艦を従えた航空母艦打撃群を展開して北朝鮮を脅したのです。
これは現代における砲艦外交です。
その効果はてきめんで、北朝鮮は9月15日以後、核実験もミサイルの発射もピタリと止めてしまったのです。
トランプ大統領の砲艦外交の短期的な勝利です。あくまでも短期的な勝利です。しかし北朝鮮は今後アメリカの要求を承諾するでしょうか?
今日はこのトランプ大統領の砲艦外交と今後の展開について考えてみたいと思います。
まず北朝鮮の沖における空母打撃群と日本や韓国の共同訓練の様子を写真で示します。
1番目の写真は2017年11月12日、日本海で共同訓練する米空母ロナルド・レーガン(左端)、ニミッツ(その右上)、セオドア・ルーズベルト(右端)。レーガンの後方は海上自衛隊の護衛艦いせ(海上自衛隊提供)
2番目の写真は11月12日、共同訓練する米空母ニミッツ(左上)、ロナルド・レーガン(左中央)、セオドア・ルーズベルト(右下)と、米国と韓国海軍の艦船(韓国国防省提供=AP)
3番目の写真は11月12日、共同訓練する韓国海軍のイージス艦(手前)と米空母の3隻(韓国国防省提供=AP)
この日本海における共同演習に関する記事をご紹介いたします。
『海自と米空母3隻共同訓練 日本海、北朝鮮けん制』
2017.11.13 16:29、産経フォト、http://www.sankei.com/photo/story/news/171113/sty1711130016-n1.html
海上自衛隊は11月12日、護衛艦3隻が米海軍の原子力空母3隻と日本海で初めて共同訓練したと明らかにした。米海軍が西太平洋周辺で14日までの予定で実施している共同演習の一環で、日米の護衛艦や空母、付随する艦艇がそろって訓練した。核・弾道ミサイル開発を進める北朝鮮を強くけん制する狙いがある。 河野克俊統合幕僚長は自衛隊の訓練視察に訪れた静岡県沼津市で報道陣に「北朝鮮を含めた各国に、日米同盟の固い絆、連携の強化を示すことができた」と強調した。
訓練には海自の護衛艦いせ、まきなみ、いなづまと、米空母のニミッツ、セオドア・ルーズベルト、ロナルド・レーガンが参加。他の艦艇と編隊を組みながら共に航行したり、通信訓練をしたりした。
ここで指摘したいことがあります、示した3枚の写真の日は11月12日となっています。つまり同じ日に日米共同演習と韓米共同演習をしたのです。3枚目の写真の手前には韓国の国旗がはためいている駆逐艦が写っています。
この訓練を北朝鮮からみれば日本、韓国、アメリカの3国の軍隊が協力して北朝鮮を脅しているように感じるでしょう。
つまり日本も韓国も砲艦外交の一翼を担ったのです。
効果は絶大で北朝鮮は9月15日以後、核実験もミサイルの発射を止めているのです。
お忘れでしょうが、9月15日には北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射しました。ミサイルは7時4~6分に北海道上空を通過、同16分頃に襟裳岬の東約2000キロ・メートルの太平洋上に落下したのです。
ここで、これまでの北朝鮮の核実験とミサイル発射の記録を下に示します。
核実験
1998年
2006年
2009年
2013年
2016年1月
2016年9月
2017年9月
ミサイル発射実験
1993年
1998年
2006年
2009年
2012年4月
2012年12月
2016年
2017年
8月
9月15日
さて北朝鮮は一時的に静かになりました。
それではアメリカの要求している通り核兵器や長距離ミサイルを放棄するでしょうか?
答は残念ながら「否」でしょう。
核実験の実施をしなくてもこれまでの実験から多数の核兵器は製造出来るからです。
そして北朝鮮は現在でも下記のような種々の弾道ミサイルを保有しているのです。
スカッド
KN-02
ノドン
ムスダン
テポドン1号
テポドン2号
KN-08
北極星1号
北極星2号
火星12
火星14
これらのミサイルは発射実験をしなくても推進器の燃焼実験さえ行えば簡単に飛距離を伸ばすことが出来そうです。
その上、平和的な人工衛星の打ち上げを行えばロケットの誘導技術も向上するでしょう。
北朝鮮が国内で秘密裏に行う核兵器の製造とミサイルの推進器の燃焼実験は砲艦外交のみでは阻止出来ません。
それには中国、ロシア、全てのアジアの国々が団結して北朝鮮の経済制裁を完全に実施しなければなりません。
しかしそれは非常に困難な外交交渉になります。トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」の政策が邪魔になります。
TPPやパリ協定からの勝手な脱退を考えると、多くの国々はそう簡単にトランプ大統領の言いなりにならないと思います。
根気が要求されるオーソドックスな外交手法が必要になります。はたしてトランプ大統領はそれに成功するでしょうか?
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)