戦争に負けてしまった日本は戦後の72年間、経済的な復興と精神的な復興をして来ました。
幸運にも平和に恵まれ、経済も精神文化も各段に成長しました。この精神文化の成長はいろいろな例をあげれば歴然です。例えば現在の各地の美術館の規模と充実ぶりもその一例です。
上野には松方コレクションを常設展示してある国立西洋美術館があり倉敷には大原美術館があります。箱根や長野の美ケ原には大規模な彫刻の野外展示もあります。
そして地方のそれぞれの県にも立派な美術館がありす。以前何度も訪れた山梨県立美術館は、ミレーに代表されるバルビゾン派の絵画を蒐集、展示している立派な美術館です。同じ敷地に大きな文学館があり樋口一葉や太宰治や芥川龍之介や夏目漱石などの肉筆が展示してあります。尚、樋口一葉の両親は甲州の出身なのです。
それでは先週撮って来た山梨県立美術館、文学館の構内の紅葉の写真を示します。
1番目の写真は山梨県立美術館です。1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として有名です。
最初の収蔵品のミレーの《種をまく人》をはじめ、ミレーやバルビゾン派の画家、ヨーロッパの主要な風景画家、ならびに山梨ゆかりの画家の作品を収集し展示しています。
所蔵品の総点数は現在約1万点で、常設展示は年4回展示替えを行っています。
2番目の写真は美術館の前の広場です。岡本太郎やザッキンやムーアの大きな彫刻が野外展示されています。この広場を挟んで文学館があります。
3番目の写真は山梨県立文学館です。平成元年十一月三日に開館いたしました。
樋口一葉や芥川龍之介、飯田蛇笏等の資料を収集・保存し、展示しています。
丁度、太宰治の妻だった津島佑子の特別展を開催していました。
4番目の写真は美術館の2階から見た西側の庭で岡本太郎の大きな彫刻が展示してあります。周囲に甲斐の山々が見えます。
5番目の写真は美術館の南側の庭の紅葉です。ここは何時もは美しい水を湛えた池になっていますが、間もなく冬が来るので水を抜いています。
6番目の写真は美術館の2階の窓から見た東側の庭の紅葉です。
7番目の写真は広大な無料駐車場をぐるりと囲んでいるイチョウの黄葉です。
写真に示したように山梨県立美術館を囲んでいる樹々の紅葉や黄葉の写真を撮りながら展示も鑑賞して来ました。
その展示品の概略を簡単にご紹介します。
まず美術館は広い第一の常設展示室から始まります。そこにはミレーの絵画が多数展示してあります。1975年の開館以来、毎年買い集めて来ただけあってミレーの絵画が数十枚展示してあるのです。ミレーの絵画の収集としては国内随一です。
題二展示室はバルビゾン派の風景画だけを集めて展示してあります。パリの近くのバルビゾンに住んでいたコロー、ミレー、テオドール・ルソー、ドービニー達のことをバルビゾン派と言います。これにクールベを加えてもよいと思います。
その絵画を一言でまとめれば写実的に描いた美しい自然の風景画です。1830年から50年位の絵画です。これの終わる頃、重なるようにして印象派が隆盛するのです。
日本画にも美しい風景画が多いので、バルビゾン派の絵画は私たちにも分かり易く大変好まれます。
第二展示室の終りの部屋には静物画だけが展示してあります。静物画も深い精神性が感じられなかなか良いものです。
このように展示がミレーの農村風景、バルビゾン派の風景画、そして静物画だけと3つに分類して展示してあるところが良いのです。下手に印象派の絵が混じっていない点が学芸員の見識です。
西洋の絵画は中世の暗い宗教画から15世紀のルネッサンスで、モナリザを描いたレオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロの絵画へと人間中心のものに変貌しました。
そして雑に言えば、バルビゾン派の絵画へ、そして印象派の絵画から近代抽象画へと発展していったと言えます。
8番目の写真は常設展示の絵画の例です。この写真は美術館のHPです。
この美術館では並行して、「狩野芳崖と四天王 ー近代日本画、もうひとつの水脈ー」という特別展を平成29年11月3日(金・祝)~12月17日(日)に開催しています。
狩野芳崖の《悲母観音》(明治21年 東京藝術大学蔵)は是非見たかったのですが、展示期間が12月2日~17日なので見ることが出来ませんでした。
さて山梨県立文学館ですが、ここも何回か訪れました。
今回は津島佑子の特別展でしたので家内だけ観に行きました。津島佑子の母、石原美知子は井伏鱒二の媒酌で太宰治と結婚しました。
家内は石原美知子に関心があったようです。甲斐出身の石原美知子の祖先の人々を描いた津島佑子の大作「火の山-山猿記」の全原稿、ビデオによる講演の肉声に触れて、たいそう感動した様子でした。展示では父の太宰治にはほとんど触れず、「津島佑子」を独立し卓越した作家として紹介していたそうです。父の有名さに頼らない学芸員の見識が立派です。
尚、津島佑子は1947年生まれ、2016年没で本名は里子です。
この「津島佑子展ーいのちの声をさかのぼるー」は平成29年9月23日(土・祝)から11月23日(木・祝)まで開催しています。
この特別展の他に文学館には樋口一葉などの資料の他に、山梨の俳人、飯田蛇笏、飯田龍太の詳細な資料が常設展示してあります。
以上のように山梨県立美術館と文学館は紅葉や黄葉が美しい上に、内容が充実していますので是非お出掛けになって下さい。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
幸運にも平和に恵まれ、経済も精神文化も各段に成長しました。この精神文化の成長はいろいろな例をあげれば歴然です。例えば現在の各地の美術館の規模と充実ぶりもその一例です。
上野には松方コレクションを常設展示してある国立西洋美術館があり倉敷には大原美術館があります。箱根や長野の美ケ原には大規模な彫刻の野外展示もあります。
そして地方のそれぞれの県にも立派な美術館がありす。以前何度も訪れた山梨県立美術館は、ミレーに代表されるバルビゾン派の絵画を蒐集、展示している立派な美術館です。同じ敷地に大きな文学館があり樋口一葉や太宰治や芥川龍之介や夏目漱石などの肉筆が展示してあります。尚、樋口一葉の両親は甲州の出身なのです。
それでは先週撮って来た山梨県立美術館、文学館の構内の紅葉の写真を示します。
1番目の写真は山梨県立美術館です。1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として有名です。
最初の収蔵品のミレーの《種をまく人》をはじめ、ミレーやバルビゾン派の画家、ヨーロッパの主要な風景画家、ならびに山梨ゆかりの画家の作品を収集し展示しています。
所蔵品の総点数は現在約1万点で、常設展示は年4回展示替えを行っています。
2番目の写真は美術館の前の広場です。岡本太郎やザッキンやムーアの大きな彫刻が野外展示されています。この広場を挟んで文学館があります。
3番目の写真は山梨県立文学館です。平成元年十一月三日に開館いたしました。
樋口一葉や芥川龍之介、飯田蛇笏等の資料を収集・保存し、展示しています。
丁度、太宰治の妻だった津島佑子の特別展を開催していました。
4番目の写真は美術館の2階から見た西側の庭で岡本太郎の大きな彫刻が展示してあります。周囲に甲斐の山々が見えます。
5番目の写真は美術館の南側の庭の紅葉です。ここは何時もは美しい水を湛えた池になっていますが、間もなく冬が来るので水を抜いています。
6番目の写真は美術館の2階の窓から見た東側の庭の紅葉です。
7番目の写真は広大な無料駐車場をぐるりと囲んでいるイチョウの黄葉です。
写真に示したように山梨県立美術館を囲んでいる樹々の紅葉や黄葉の写真を撮りながら展示も鑑賞して来ました。
その展示品の概略を簡単にご紹介します。
まず美術館は広い第一の常設展示室から始まります。そこにはミレーの絵画が多数展示してあります。1975年の開館以来、毎年買い集めて来ただけあってミレーの絵画が数十枚展示してあるのです。ミレーの絵画の収集としては国内随一です。
題二展示室はバルビゾン派の風景画だけを集めて展示してあります。パリの近くのバルビゾンに住んでいたコロー、ミレー、テオドール・ルソー、ドービニー達のことをバルビゾン派と言います。これにクールベを加えてもよいと思います。
その絵画を一言でまとめれば写実的に描いた美しい自然の風景画です。1830年から50年位の絵画です。これの終わる頃、重なるようにして印象派が隆盛するのです。
日本画にも美しい風景画が多いので、バルビゾン派の絵画は私たちにも分かり易く大変好まれます。
第二展示室の終りの部屋には静物画だけが展示してあります。静物画も深い精神性が感じられなかなか良いものです。
このように展示がミレーの農村風景、バルビゾン派の風景画、そして静物画だけと3つに分類して展示してあるところが良いのです。下手に印象派の絵が混じっていない点が学芸員の見識です。
西洋の絵画は中世の暗い宗教画から15世紀のルネッサンスで、モナリザを描いたレオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロの絵画へと人間中心のものに変貌しました。
そして雑に言えば、バルビゾン派の絵画へ、そして印象派の絵画から近代抽象画へと発展していったと言えます。
8番目の写真は常設展示の絵画の例です。この写真は美術館のHPです。
この美術館では並行して、「狩野芳崖と四天王 ー近代日本画、もうひとつの水脈ー」という特別展を平成29年11月3日(金・祝)~12月17日(日)に開催しています。
狩野芳崖の《悲母観音》(明治21年 東京藝術大学蔵)は是非見たかったのですが、展示期間が12月2日~17日なので見ることが出来ませんでした。
さて山梨県立文学館ですが、ここも何回か訪れました。
今回は津島佑子の特別展でしたので家内だけ観に行きました。津島佑子の母、石原美知子は井伏鱒二の媒酌で太宰治と結婚しました。
家内は石原美知子に関心があったようです。甲斐出身の石原美知子の祖先の人々を描いた津島佑子の大作「火の山-山猿記」の全原稿、ビデオによる講演の肉声に触れて、たいそう感動した様子でした。展示では父の太宰治にはほとんど触れず、「津島佑子」を独立し卓越した作家として紹介していたそうです。父の有名さに頼らない学芸員の見識が立派です。
尚、津島佑子は1947年生まれ、2016年没で本名は里子です。
この「津島佑子展ーいのちの声をさかのぼるー」は平成29年9月23日(土・祝)から11月23日(木・祝)まで開催しています。
この特別展の他に文学館には樋口一葉などの資料の他に、山梨の俳人、飯田蛇笏、飯田龍太の詳細な資料が常設展示してあります。
以上のように山梨県立美術館と文学館は紅葉や黄葉が美しい上に、内容が充実していますので是非お出掛けになって下さい。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)