後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

白崎謙太郎著、「小網代ヨット史」の貴重な歴史的価値

2019年07月27日 | 日記・エッセイ・コラム
2019年07月24日 に『白崎謙太郎著、「日本ヨット史」の貴重な歴史的価値』を掲載しました。今日は続編として『白崎謙太郎著、「小網代ヨット史」の貴重な歴史的価値』を送りいたします。
先日ご紹介した「日本ヨット史」には明治維新前後の草創期の頃から第二次大戦後までのまでの日本のヨットの歴史が詳しく書いてあります。
そして今日ご紹介する「小網代ヨット史」には第二次大戦後から現在までの日本のヨットの歴史が書いてあるのです。
ですから、この2冊の本を読むと明治維新から現在までの日本のヨットの歴史が理解できます。
はじめに一つだけ説明します。「小網代ヨット史」は沖に係留したヨットのことを書いた本です。
設備の整ったヨットマリーナに陸置きしたヨットことは書いてありません。
沖に係留したヨットの持主こそ本物のヨットマンなのです。

1番目の写真は三浦半島の油壷の沖に係留されているヨットの写真です。自分で撮った写真です。

2番目の写真は同じく三浦半島の葉山マリーナに陸置きしてあるヨットの写真です。自分で撮った写真です。

3番目の写真の手前がシーボニアマリーナに陸置きしたヨットで、遠くの海に整然と沖に係留したヨット群が小網代ヨット倶楽部のヨットです。この写真は他からお借りしました。

さて白崎謙太郎著、「小網代ヨット史」の内容をご紹介します。
この「小網代ヨット史」は小網代ヨットクラブから刊行された本です。
「小網代ヨットクラブ」http://koajiroyc.jp/から購入出来ます。
日本で外洋ヨットをなさっている方々は「舵」誌に渡辺修治さんが連載していた「ドン亀ものがたり」をご記憶のことと思います。白崎謙太郎さんはその渡辺修治さんのヨットの弟子でした。
この『小網代ヨット史』は戦後から現在までの日本のヨットの広範な記録が整然と紹介してあります。
この本は小網代ヨットクラブの 創立60周年記念誌として出版されたのです。
白崎さんは「小網代ヨットクラブ」の会員です。小網代湾は三浦半島の先端近くにあるヨットの泊地です。3番目の写真にその風景を示してあります。
この本は決して小網代湾のヨットだけではなく、全国の外洋ヨットの戦後の歴史が書かれています。
この本の内容は次の通りです。
(1)イギリス海軍退役中佐のA.A.マッケンジーが外洋ヨットの取り扱い方や外洋ヨットレースのルールなどを教えてくれた戦後黎明期の歴史が詳しく書いてあります。
(2)渡辺修治、福永昭などが小網代湾でヨットクラブ、「小網代フリート」を結成し、それが現在の「小網代ヨットクラブ」に発展した歴史が客観的に描いてあります。
(3)日本の伝統的漁村文化を背負った漁師たちと根気よく話し合い、円満にヨット用係留地と倶楽部ハウスを作った経緯が詳しく書いてあります。
(4)外洋ヨットの係留方法や外洋でのレースの爽快さが余すところ活き活きと書いてります。

私はこの本を手に取っていろいろな感想が熱く胸に湧き上がってきました。
嗚呼、自分の25年間のヨットの趣味は何と軟弱な趣味だったのだろうか!休日の朝、霞ヶ浦の岸壁に係留してあるヨットに家内と乗り、沖を帆走して風が強くなった来たら港に逃げ帰るという軟弱な趣味だったのです。
しかし沖に係留してあるヨットではまず岸から小舟で渡って行かねばなりません。台風が来たら安全な場所に避難しなければなりません。ヨットの保守、管理は全て自分の手でしなくてはいけないのです。ですから沖泊のヨットの持主はヨットのことの全てを熟知します。本物のヨットマンなのです。
その上、沖に係留するためには近辺の漁業組合と円満な友好関係を築く必要があるのです。

日本の漁村文化では沿岸の海を所有しているのは漁協なのだという伝統があります。
海の貝や海藻や魚は地元の漁師の所有物だという伝統的な考え方なのです。
その漁村の沖にヨットを係留するのです。
ですからこそ近辺の漁業組合と円満な友好関係を築く必要があるのです
このような漁村文化の小網代湾に多数の外洋ヨットを整然と係留するためには1955年以来、漁協との円満な話し合いがなされて来たのです。
そして2006年6月に小網代湾の漁協敷地に「小網代ヨットクラブ」のクラブハウスが完成したのです。
この「小網代ヨット史」には単にヨットのことだけでなく地元の漁協との友好関係の重要さが書いてあるのです。
それも沖に停泊するヨットにとって重要なことなのです。
いずれにしても白崎謙太郎著、「小網代ヨット史」は感動的な本です。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
===参考資料================
現在の日本の漁港におけるヨットの係留の実情。

漁協や市区町村役場で尋ねてみてください。
認識しておくべきことは、
 ・条件の良い漁港は係留可能であっても空きが無い。
 ・市区町村の広報で募集を行うときもあるが、応募者が非常に多い。
 ・市区町村が直接関与しない場合は、漁協の組合員の保証人が必要な場合が多い。
係留したい漁港の管理者や漁協の組合員等に知り合いがいると情報を教えてくれます。
【重要なこと】
仮に係留できたとしても、漁港では台風等の対策は全て自己責任です。
マリーナのように修理、保守管理をしてくれる人はいません。
漁港の設備は組合員以外は通常使えません。
上架用の施設や給油も利用できないことが多いです。
船底塗装はビーチングで、給油はポリタンクを運んでということになります。