今日の記事は昨日掲載した、「同性婚を差別しない欧米、差別する日本の文化の特徴」の続編です。
以下に同性婚をしたある日本人の経験を描いた一通の手紙をご紹介します。書いたご本人のご承諾は頂いております。
この手紙は同性婚をしたOZさんが昔親友だったISさんへ送った手紙です。
同性婚をしたある日本人の苦しみと悲しみを皆様にご理解して頂きたいのです。こんな苦しみや悲しみの無い日本になるように祈りつつお送りいたします。
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ISさんへ、
2年前の暮、貴兄に「さようなら」というクリスマスカードをお出し致しましたね。
近年、貴兄にお会いする時、いつも、敬語を使われますし、また、私の目をそらして喋られます。また、よく、私と二人きりでは、バツが悪いのか、共通の知り合いの女性を連れて来られますね。貴兄のお気持ちはわかりますが、私、そう言う義理か厄介で、お会いいただくのでは意味がないので、あのカードをお出ししたと言うわけです。
しかし、なんの説明もしなかったものですから、ちゃんとご挨拶をして、お別れするのが筋かと思い直し、今こうして、キーを叩いております。
もう、私のことなど、思い出したくもないというところでございましょうが、まあ、しばし、お付き合いのほどをお願いいたします。
私、生まれたのが昭和20年2月25日。なんでも、大雪の日だったそうです。貴兄は、その8日前に生まれておられます。
貴兄と私、中学3年の時、1年だけですが、同じクラスになり、家が近かったこともあり、よく、昼食時など、一緒に歩いて帰りましたね。
その後、就職されてからも、色々お付き合いをいただき、またお世話になりました。
又、貴兄、良い女性にめぐり合われ、結婚。そして、すぐに良い子供さん三人を、又今は多くのお孫さんにもめぐまれておられることと思います。
実にいい家庭を築かれましたね。これは、私のように、あまり愛情の通わない家庭に育った者にとっては、実に羨ましい限り。
じゃ、自分が結婚して、そのいい家庭というのを持てばいいんじゃないかということになりますが、私には、それがどうしてもできなかったのです。
だって私「真性同性愛者」なんですもの。100%ゲイ。女性に、性的魅力をかけらも感じたことはありません。
そんな男が、結婚などしてもうまくいく筈がありません。女性に気の毒で、失礼です。世の中に、そういう失敗例はいくらでもあります。まあ、失敗例でなくとも、日本に同性愛者って、いくらでもおられます。悶々と生きておられる方も多くおられます。日本人の場合、結婚しておられることが多いので、気づかれないだけのこと。
でも、貴兄は、私に「結婚」のことを盛んに勧められるので、仕方なく「これは、本当のことを言う以外に手はない」と思い、貴兄に「告白」したのです。
貴兄からすれば、「嫌なことを聴かされた」と言うところでしょうね。何か重荷に感じられたかもしれません。そうだとすれば、ごめんなさい。ただ、貴兄には、私のことを理解して欲しかったということも事実です。
しかし、それ以外にどんな手があったと言うのですか。モゴモゴ言って、嘘ばかりの生活をしろとおっしゃるのでしょうか。
又は、虚偽の結婚をして、表面的に、「良い市民」と見せかける。
わたしに、それはできません。わたし、嘘をつくのが下手なんです。しかし、日本にいた20代後半、主にわたしの結婚問題に関して、どうしても嘘をつかざるを得なくなり、挙句、人様に多大のご迷惑をおかけすることになってしまいました。なけなしの信用も、完全に落してしまい、「四面楚歌」。
それで、これは、「人生をやり直す」しかないと思い、期限のない、「ヨーロッパ放浪旅行」に出たのです。4ヶ月のこの旅行、結果的に功を奏し、その翌年、英国に舞い戻り、75歳の今に至っています。
英国に再度きたのは、私、30歳の時でしたが、その時誓ったのは、「これからは嘘をつかないで生きていこう、自分にも人様にも、」ということでした。
ご存知の通り、私「結婚歴」がありますが、あれは、完全に間違い。
結局、向こうから「別れ話」が出、離婚しました。
尤も、この経験から得たものは大きく、女性のことも少しはわかってきたと思います。おかげで、今、日本には女性の友達が何人かおられます。よく電話でお話しします。女性は、どんなことにも、耳を傾けてくださるので、楽しいです。そして、皆さん、私がゲイであることをご存知です。非常に良い関係。
2月24日(月)から、京都のYKさんがロンドンの我が家に来られます。5泊くらい。貴兄、ご存知だと思います。ちなみに、YKさんは、勿論私の性向をご存知です。
最後に。以下のこと間違っていれば、ごめんなさい。
私、自分より年配の男性とばかり付き合うので、私は、それらの男性に「タカって」生きているのでは、と言う印象を、貴兄お持ちではありませんか。
そうだとすれば、それは誤解です。私、7歳の時、父を亡くしました。57歳でしたが、永らくガンを患い、白髪で、頬はこけ、70歳くらいの老人に見えました。その姿が、瞼に焼き付き、それから、70歳くらいの、父親像を慕う様になったのです。
貴兄、私の英国人の相方、二人にお会いになりましたが、はじめの人ジャックさん、お金は私の方が持っていましたよ。二人目のコリンさん、この人も極めていい人でしたが、3年前になくなりました。12月8日、追悼のパーテイをしました。
どうぞ、皆様とともに、お元気で。お過ごしください。
5月にまた帰国しますが、今回は、長姉の一周忌があるので、参加します。昨年、94で亡くなりました。他の親戚にお会いできるのが楽しみです
この文章、最後までお読みいただけたかどうかはわかりませんが、私のこと、どの様にお思いになるかは、貴兄次第です。
私の様に、ここまではっきり言う男は当然、日本には住めません。だから、英国に住んでいるのです。早々、
2月17日 ISさんのお誕生日に、 あなたのかつての友人のOZより、
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今日の記事は少し重い内容だったので気分が晴れるように間もなく咲き出すモクレンの花の写真をお送りいたします。昨年の3月に撮った写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
以下に同性婚をしたある日本人の経験を描いた一通の手紙をご紹介します。書いたご本人のご承諾は頂いております。
この手紙は同性婚をしたOZさんが昔親友だったISさんへ送った手紙です。
同性婚をしたある日本人の苦しみと悲しみを皆様にご理解して頂きたいのです。こんな苦しみや悲しみの無い日本になるように祈りつつお送りいたします。
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ISさんへ、
2年前の暮、貴兄に「さようなら」というクリスマスカードをお出し致しましたね。
近年、貴兄にお会いする時、いつも、敬語を使われますし、また、私の目をそらして喋られます。また、よく、私と二人きりでは、バツが悪いのか、共通の知り合いの女性を連れて来られますね。貴兄のお気持ちはわかりますが、私、そう言う義理か厄介で、お会いいただくのでは意味がないので、あのカードをお出ししたと言うわけです。
しかし、なんの説明もしなかったものですから、ちゃんとご挨拶をして、お別れするのが筋かと思い直し、今こうして、キーを叩いております。
もう、私のことなど、思い出したくもないというところでございましょうが、まあ、しばし、お付き合いのほどをお願いいたします。
私、生まれたのが昭和20年2月25日。なんでも、大雪の日だったそうです。貴兄は、その8日前に生まれておられます。
貴兄と私、中学3年の時、1年だけですが、同じクラスになり、家が近かったこともあり、よく、昼食時など、一緒に歩いて帰りましたね。
その後、就職されてからも、色々お付き合いをいただき、またお世話になりました。
又、貴兄、良い女性にめぐり合われ、結婚。そして、すぐに良い子供さん三人を、又今は多くのお孫さんにもめぐまれておられることと思います。
実にいい家庭を築かれましたね。これは、私のように、あまり愛情の通わない家庭に育った者にとっては、実に羨ましい限り。
じゃ、自分が結婚して、そのいい家庭というのを持てばいいんじゃないかということになりますが、私には、それがどうしてもできなかったのです。
だって私「真性同性愛者」なんですもの。100%ゲイ。女性に、性的魅力をかけらも感じたことはありません。
そんな男が、結婚などしてもうまくいく筈がありません。女性に気の毒で、失礼です。世の中に、そういう失敗例はいくらでもあります。まあ、失敗例でなくとも、日本に同性愛者って、いくらでもおられます。悶々と生きておられる方も多くおられます。日本人の場合、結婚しておられることが多いので、気づかれないだけのこと。
でも、貴兄は、私に「結婚」のことを盛んに勧められるので、仕方なく「これは、本当のことを言う以外に手はない」と思い、貴兄に「告白」したのです。
貴兄からすれば、「嫌なことを聴かされた」と言うところでしょうね。何か重荷に感じられたかもしれません。そうだとすれば、ごめんなさい。ただ、貴兄には、私のことを理解して欲しかったということも事実です。
しかし、それ以外にどんな手があったと言うのですか。モゴモゴ言って、嘘ばかりの生活をしろとおっしゃるのでしょうか。
又は、虚偽の結婚をして、表面的に、「良い市民」と見せかける。
わたしに、それはできません。わたし、嘘をつくのが下手なんです。しかし、日本にいた20代後半、主にわたしの結婚問題に関して、どうしても嘘をつかざるを得なくなり、挙句、人様に多大のご迷惑をおかけすることになってしまいました。なけなしの信用も、完全に落してしまい、「四面楚歌」。
それで、これは、「人生をやり直す」しかないと思い、期限のない、「ヨーロッパ放浪旅行」に出たのです。4ヶ月のこの旅行、結果的に功を奏し、その翌年、英国に舞い戻り、75歳の今に至っています。
英国に再度きたのは、私、30歳の時でしたが、その時誓ったのは、「これからは嘘をつかないで生きていこう、自分にも人様にも、」ということでした。
ご存知の通り、私「結婚歴」がありますが、あれは、完全に間違い。
結局、向こうから「別れ話」が出、離婚しました。
尤も、この経験から得たものは大きく、女性のことも少しはわかってきたと思います。おかげで、今、日本には女性の友達が何人かおられます。よく電話でお話しします。女性は、どんなことにも、耳を傾けてくださるので、楽しいです。そして、皆さん、私がゲイであることをご存知です。非常に良い関係。
2月24日(月)から、京都のYKさんがロンドンの我が家に来られます。5泊くらい。貴兄、ご存知だと思います。ちなみに、YKさんは、勿論私の性向をご存知です。
最後に。以下のこと間違っていれば、ごめんなさい。
私、自分より年配の男性とばかり付き合うので、私は、それらの男性に「タカって」生きているのでは、と言う印象を、貴兄お持ちではありませんか。
そうだとすれば、それは誤解です。私、7歳の時、父を亡くしました。57歳でしたが、永らくガンを患い、白髪で、頬はこけ、70歳くらいの老人に見えました。その姿が、瞼に焼き付き、それから、70歳くらいの、父親像を慕う様になったのです。
貴兄、私の英国人の相方、二人にお会いになりましたが、はじめの人ジャックさん、お金は私の方が持っていましたよ。二人目のコリンさん、この人も極めていい人でしたが、3年前になくなりました。12月8日、追悼のパーテイをしました。
どうぞ、皆様とともに、お元気で。お過ごしください。
5月にまた帰国しますが、今回は、長姉の一周忌があるので、参加します。昨年、94で亡くなりました。他の親戚にお会いできるのが楽しみです
この文章、最後までお読みいただけたかどうかはわかりませんが、私のこと、どの様にお思いになるかは、貴兄次第です。
私の様に、ここまではっきり言う男は当然、日本には住めません。だから、英国に住んでいるのです。早々、
2月17日 ISさんのお誕生日に、 あなたのかつての友人のOZより、
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今日の記事は少し重い内容だったので気分が晴れるように間もなく咲き出すモクレンの花の写真をお送りいたします。昨年の3月に撮った写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)