楽しくて危険でなく、お金もそれ程かからない。そんな趣味も長続きします。囲碁将棋、絵を描く趣味、音楽鑑賞、読書などなどいろいろあります。
ところが時々危険な目に合い、それを乗り越えるのでますます楽しみが深まる趣味もあります。そのような趣味も長続きするものではないでしょうか?
一つの例としてヨットの趣味をご紹介いたします。昨日、のどかに出港したのに、沖で突風に吹かれ命の危険を感じながら港に逃げ帰りました。沖から港まではエンジンで帰りましたが、その間の30分ほどが怖かったのです。沖で傾く船の上で、マストにしがみつきながらメインセイルをやみくもに引きずり降ろしました。安全に係留してから、「ああ、怖い思いをするからヨットは面白い。とても止められない!」、と同行した家内とうなずき合いました。
とにかく出港時は風が無かったので、下の写真のようにセイルを上げてから舫い綱をときました。これは風が少しでもあったら、やってはいけない禁じ手です。でもそれ程、風が無かったのです。
港の外でも暖かい陽が射し、静かな東風が一定の速度で吹いています。素晴らしいセイリングをのんびりと楽しみました。艇速は4ノット(時速7Km)前後です。近くを小型ヨットが追い抜いて行きます。
とにかく、のどかなセイリングが2時間続き、沖から帰り始めました。返り始めてしばらくして、追い風が強くなってきました。そこでジブを巻取り、メインだけで追い風を受けて帰ります。
次第に波も立ち始めました。落水が怖いので家内にキャビンに入って貰いました。
と、その直後物凄い突風が後ろから吹きはじめたのです。艇速が7ノット以上になります。これは危険信号です。すかさず360度回頭し、船首を風に立て、マストにしがみ付きながらメイン・セールを下します。ところが強風でセイルが引っ張られマストから降りません。半分くらい降ろしてから、諦め、そのまま、エンジンで帰港します。
半分下がったセイルがマストやサイドステイに絡みながら風を受けて船が大きく傾きます。
物凄く恥ずかしい姿です。他のヨットマンが見たら笑うでしょう。
横転する恐怖で手がこわばります。でもメインシートをくり出しながら風を流し、風をだましながら帰港を急ぎます。7ノットで走りますが、遅遅として港へなかなか近付きません。
こういう時は写真も撮れません。荒れる水面と強風。帆がマストにからまりヨタヨタ走っているので写真を撮る余裕も有りません。ご想像にお任せいたします。
こんな怖い思いは時々いたします。それをしのいで港へ帰った時は、「ああ、生還した!」という歓びが全身を満たすのです。これがあるからヨットが止められないのです。
皆様はどのようなご趣味を楽しんでいらっしゃるでしょうか。(終わり)