575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

水に輪があらはれ寒くなりにけり  鴇田智哉

2010年11月07日 | Weblog
小石を投げたのか、水面に輪があらわれて広がっていく。
ふっと寒さに気付く。

普通なら、水の輪をつくった原因のほうを詠むのに
その情景の主語をあえて外して詠む。

寒さが水の輪になってひろがっていくようにも感じられる。
不思議な効果がでている。

水の輪がなぜ起きたのか?は、読者の想像にまかされている。

             

  文字が手を覚えてゐたり花の昼

登場人物は一人なのか?二人なのか?
また、どんな文字を書いているのか?
そこが書かれていない。
書かれていないことによって不思議な空気が
立ち上がってくる。

虚子の大根の葉の流れる速さを詠んだ句も同じ技法。
575という小さな器に、大きなものを盛る手法。
しかし、「それでどうしたの?」と言われかねない。

そう読んでくれる読者なくしては成り立たない・・・

                   遅足

コメント
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