575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

久里浜と馬堀の砂よ昔の夏     朱露

2012年08月08日 | Weblog
    三浦半島の海水浴場で静かな海だ。
    戦争になり父母の在所真鶴へ疎開。
    四年の私と一年の弟と知らない女。
    真鶴の荒磯に慣れるまで涙を流す。


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立秋とは言えども   鳥野

2012年08月07日 | Weblog
今日8月7日は「立秋」、いよいよ秋、と思えど、風の音にも雲行きにも
気配さえ感じられません。
それどころか、予想の気温は36度と最高です。

そこへ、涼風を吹き込んでくれた一首。

 ・ さえずりのさざなみのまたさざなみの波は七色かがよう信濃

中日歌壇8月5日、松田宗匠の入選歌です。

選者の小島ゆかりは、「サ音とナ音が、まさに波のようにすばらしいリズムを
伝える」と評しています。

なんという爽やかさ。平仮名表記を主とし、その中の置かれた漢字の力。
力量が伺えます。

何の囀り?信濃のどの辺り? 想いは限りなく広がります。
繰り返し味わって、さらに快さの染み透る作品、と言えましょう。

                  鳥野

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天災のあとに人災が来る      遅足

2012年08月06日 | Weblog
山田洋次監督推薦の喜劇映画「台風騒動記」を見ました。

話の発端は、のどかな海辺の町を襲った台風十三号。
家が倒れ、田畑も流されましたが、町長はじめ、町会議員たちは、
被災した町民たちをホッタラカシにして、談合。
台風に便乗、倒れなかった小学校を倒し、建設費として
一千万円の政府補助金を騙し取ろうというもの。
建築業者や町長の座を狙っている助役もからんで・・・

この映画、最初、字幕に曰く

 天災より天災の後がこわい

そして最後に曰く

 天災のあとに人災が来る


原作は「台風十三号始末記」
愛知県の渥美半島に住んでいた杉浦明平さんのルポルタージュ。
昭和三十一年の映画でした。

今日はヒロシマ忌。テレビの中継を見ながら
ヒロシマ、フクシマの人災に思いをはせました。
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縦縞のハンカチ横にする手品      狗子

2012年08月06日 | Weblog
私も出来るインチキ、と朱露さん。

おしゃべりを採りいれて人気を博した手品を連想しました。
ハンカチという題詠に手品との取り合わせ!
しかもインチキ(?)手品とは面白い句です。

この手品、ハンカチが正方形だからこそ面白い。
丸形ではパンチがありませんね。
ハンカチのスタンダードは正方形と決めたのは、
かのフランスの王妃、マリー・アントワネット。
ヨーロッパ社交界のファッション・リーダー。
それ以前は、円形や長方形など様々だったそうです。

そのマリー・アントワネットの誕生日にちなんで、
十一月三日は「ハンカチーフの日」とだそうです。

                     遅足



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合歓の咲く湯涌温泉      遅足

2012年08月05日 | Weblog
金沢の奥座敷と言われる湯涌温泉へ行きました。
この温泉、1300年の歴史があるとか。
お目当ては、公共の湯「白鷺の湯」です。
一人350円というお値段。
平日とあって、地元の人たちが温泉を楽しんでいました。
無色透明、なめらかなお湯です。

白鷺の湯の裏手にあるお寺の境内に歌碑が。

  湯涌なる山ふところの小春日に
     眼閉ぢ死なむときみのいふなり

竹久夢二の歌だそうです。
この「きみ」は誰なの?
金沢は夢二の奥さんの生れた所。でも奥さんではありませんでした。
愛人の彦乃さんと遊びにきたそうです。恋の逃避行?
君とは彦乃さんのこと。
幸せのあまり、もう何時死んでもいいわ、という歌なんでしょうか?

彦乃さんは、東京の絵草紙店で夢二と出会ます。
そして、親の反対を押し切って京都で同棲。
金沢に旅行。この時が二人の一番幸せだった時。
この旅の後、病に倒れ、二十五歳でその生涯を閉じたそうです。

幸福の絶頂で自らの死を予感していたのでしょうか・・・
合歓の花がしずかな風に揺れていました。
                    (写真は歌碑です)

  合歓の花しずかにしずかに目を閉じて死なんと誘う夢二の女



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ハンカチを持ちかへて子等帰り道    結宇

2012年08月05日 | Weblog
子供たちが学校からの帰り道に、ハンカチを持ち替えている?
あるいは、右手に持った手提げと左手のハンカチと
持ち替えているのでしょうか?

作者からは「実景ではないのです。心情としては幾人かの子供です。 
昔は、家の子も含め、分団で集まって登校したりしてましたよね。
すっかり様変わりで・・・」という返事。

 ひだりてから みぎてににもつ もちかえて 
         またあるきだす ときの優しさ

持ち替える、ということを詠った村木道彦さんの歌です。
持ち替えることによって、気分を新たにする、という意でしょうか。
たしかに身に覚えのある気がします。頭ではなく身体の記憶です。

句の場合も、さあ!下校、という気持ちを整えるための
無意識の行動かも知れませんね。

17世紀のイギリスの詩人、リチャードウェストの詩。

  鼻水のでているお鼻をば、ソクラテスがしたように
  帽子でふいてはならないよ、着物でふいてはならないよ
  いつでも用意にもっている ハンカチーフでおふきなさい
  ゆびでも袖でもいけません そんな子供は叱られます

300年前ですって!
紳士の国・イギリスならではの詩ですね。   遅足

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ハンカチに想いをそっとプレスして      郁子

2012年08月04日 | Weblog
女性の思いでしょう。
そんなワイフがあれば・・・と、結宇さん。
きっちりと、角を立てて、逃げないように、
畳み込みました、と鳥野さん。

高校時代の片思いを詠んだと作者。
このハンカチを持っていく日は、
何時も彼に会えた・・・のだそうです。

家事というのはルーチンな仕事。
身体が無意識のうちにこなしているのですが、
その無意識から、ふっと特別な思いが湧くことも・・・
ちょっと怖いですね。
                   遅足


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私よりひと足遅い蝉の朝      朱露

2012年08月04日 | Weblog
      私は五時に起きて黙々と動く。
      シャワー・新聞・朝食の用意。
      二人しか居ないので楽なもの。
      一人じゃ困るので一生懸命だ。

              



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過疎の地の村おこしとて蕎麦を蒔き     廣秋

2012年08月03日 | Weblog
先週、金沢へ花火を見にいってきました。
東海北陸道を荘川ICで降りました。
以前は、荘川村でしたが、今は高山市になっていました。
ここで昼食をと、蕎麦店「おかだ」に。
そこで出会ったのが、この句です。
句を詠んだのは、お店のご主人の知人。

とろろ蕎麦を注文。とろろは、認知症に効果のあるとか。
クセのない、しっかりした蕎麦でした。
蕎麦は、春蒔きと夏蒔きがあるそうですが、
秋の蕎麦の方が粒が大きいので、普通は夏蒔き。
蕎麦の花が咲くのは初秋に入ったこれから。
荘川のダナ高原には15ヘクタールの蕎麦畑があり、
まもなく花盛りとか。
先を急いでいたので立ち寄れませんでした。
今度は是非行ってみたいと思っています。

なお、蕎麦刈・蕎麦の花など、蕎麦は秋の季語です。

                     遅足
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ハンカチを畳んで握る診察台     すみ

2012年08月03日 | Weblog
患者としての心得?!と、朱露さん。
歯医者さんに行く時には、一大決心。
この服に、このハンカチと、決意も新たに、と亜子さん。

お医者さんの前に座ると誰でも緊張しますね。
とくに診察の結果を聞くときは・・・
ハンカチを握った手に力が入ります。
こんな時にハンカチはドラマの名脇役です。
患者さんのココロを映し出しています。
しかし、今のお医者さんはパソコンの方ばかり見ているようですから
患者さんのハンカチには目がいかないんでしょうね。

「検査の結果はなにもありませんでした」と、なるのか。
「ちょっと精密検査を」となるのか。緊張の一瞬。
そういえば、身内の結果を聞く時のほうが緊張しませんか?

                        遅足

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鉄塔と団地の彼方雲の峰     朱露

2012年08月02日 | Weblog
    多米山脈の東浜名湖から来る雲。
    積乱雲つまり入道雲の団体旅行。
    先頭はもう名古屋へ入ったかな、
    という様子が我が家から見える。


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伊吹山   麗

2012年08月02日 | Weblog
日曜日に標高1377メートルの伊吹山に出かけました。
いつも新幹線の車窓から眺めるだけの伊吹山。富士山のような独立峰ではないので全体像がイメージしにくい山ですが名前が気に入っています。
伊吹山。何かの息吹を感じられそう。イヌワシの姿も見られるそうで多くのカメラマンがショットを狙っていました。

山頂付近の駐車場から約20分登っただけですが一応頂上を極めました。
日本武尊の像がありました。
伊吹山で亡くなり白鳥になったという伝説があるそうです。

このあたりでは、秋の声が一番早く聞こえるところかも?

    伊吹山新涼の風吹いている

NHKのオリンピックのテーマソング「風が吹いている」をパクリました。
内村選手金メダルおめでとう!
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今日から八月です。     遅足

2012年08月01日 | Weblog
歳時記をめくっていたら「極暑」という季語が。

 酷暑なり写楽の貌をして歩む   千手和子

連日の猛暑日。テレビでみる皆さんの顔もそういえば・・・

しかし、すぐお隣にこんな季語が。「涼し」です。
これは夏の季語なんですね。
本来の涼しさは秋のもの。秋の涼しさは「新涼」と言います。
しかし暑さのなかで、ほんの少しの涼を感じ取ってきた先人。
いわば涼の先取りですね。

 イアリング一つを外す一つ涼   小高沙羅

 すずしさは母のすずしさ母の国   遅足

母の故郷は豊田市足助町。昔は東加茂郡足助町でした。
夏には、名古屋より数度は気温がひくく、朝夕は肌寒いくらい。
夏休みに遊びに行くのが楽しみでした。
母の名前は「すずゑ」でした。




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ハンカチの出番の減りて色なき日   静荷

2012年08月01日 | Weblog
これも老年の一種愚痴(失礼)を含んだかの感あり。
誤りがありましたら御免なさい、と結宇さん。

ハンカチは人生のさまざまな場面に顔を出す脇役。
中世のヨーロッパでは、女性が、戦さにでかける騎士に、
イニシャル入りのハンカチーフを贈り、愛を告白したそうです。
日本でも恋人とのデートに欠かせないハンカチ。
さらに冠婚葬祭などの時にも。

しかし、外出の機会もめっきり減って、
ハンカチの出番もめっきり減ってきました。
ココロのときめくコトも少なくなりました。
色なき日々、せめて色鮮やかなハンカチーフを持って出かけたいもの。

                       遅足




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