東大で教えた社会人学―人生の設計篇文芸春秋このアイテムの詳細を見る |
『一旦、会社に依存して生きてしまうとそこから抜け出すのは難しい。会社の歯車として働いているうちに特定の業務に関する能力やスキルは磨かれるが、それはその会社で通用する能力やスキルでしかない。逆にどんな能力があっても使わない能力は消えていく。会社に依存して生きているうちに自立するための能力は失われ、会社への依存度がさらに高まる。いつ会社が倒産したりリストラされるかわからない時代に、会社に依存して適応する生き方は得策ではない。そうであるならば、いつでも会社の枠を飛び出して自立できる能力を磨き、信頼できるマンネットワークを構築しておくべきだろう。』
『本講義で語られているようなことは、昔は自分の親や周りの大人たち、会社の上司や同僚、さもなければ部下から、ごく自然に学ぶことができた。人間関係が希薄になってきたこの頃は、それぞれが孤立すようになって、社会で生きていく上で何が大切で何が必要なのかを学ぶ機会が極端に減っている。孤立して何も知らずにいることは、人生の過ごし方としてとても貧しい。もったいないことだ。』
『集団に属した個ではなく、独立した個になる。個人一人一人が独立してものを考え、価値観を持ち、行動して、精神的にも能力的にも自分を高める。そして、その独立した個人が作り出す集団、それこそが次世代の日本を担う最も強い集団になる---。草間氏も、そして私もそう考えている。』
(本文より)