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【一口紹介】
■出版社/著者からの内容紹介■
ある日突然、作家の素直な息子が悪魔に豹変した。
家庭とは、これほど簡単に崩壊するものか。作家とは、かくも過酷で哀しい職業なのか。
編集者とは、こんなにも非情な人種なのか。鬼才の新境地!
■内容(「BOOK」データベースより)■
売れない作家の袴田勇二は、同居していた母の民子が死んで以来、急に暴力的になった息子の浩に翻弄され続けていた。
妻の君江までよそよそしくなったばかりか、袴田の唯一の味方だった娘の詩織が浩の不良仲間に凌辱され、完全に家庭崩壊の危機に直面していた。
いったいなぜ、素直な息子が悪魔に豹変したのか?稀代のストーリーテラーの新境地。
■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)■
新堂 冬樹
1966年生まれ。金融会社勤務を経て、現在は都内各所でコンサルタント業を営む。第七回メフィスト賞受賞作「血塗られた神話」(講談社ノベルス、講談社文庫)でデビュー。
【読んだ理由】
知人に借りて。
【印象に残った一行】
『人間誰しも、よい自己と悪い自己が共存している生き物です。とくに幼児は、よい自己が顕著に現われるタイプで、捨て猫をかわいそうに思い、拾ってきたり餌をあげたりする優しさがある反面、虫を踏み潰したり、爆竹を蛙の口に入れて爆破させるような残酷な面も併せ持っています。この話でいきますと、捨て猫に対しての幼児はよい自己が現われている状態で、虫や蛙に対しての幼児は悪い自己が現われているというわけです。ようするにボーダーライン患者は、よい自己と悪い自己の区別とコントロールができない人のことを言います。普通は、成長していく過程で好対照の性質を持つふたつの自己が己に内在していることを認識し、悪い自己が顔を覗かせようとしたときには抑制できるものですが、わるい自己の存在を認識できていないボーダーライン患者にはそれができません。』
【コメント】
子を持つ父親として、世にもおそろしく、哀しい、悲しい作品である。

